ストッキングは今後、割高なフォーマルアイテムとして細々と残るのではないかという話
2025年9月30日 商品比較 1
枕詞のように使われる「縮小し続けるストッキング市場」という言葉だが、実際、国内のストッキング市場はどれほど縮小しているのか。
ストッキング・靴下業界関係者以外に正確に数字を把握している人は少ないだろうと思う。
その疑問を解消してくれる記事がこれである。
《もう少し知りたい》アツギ、消費変化や経営環境の激変に苦闘 抜本改革を目指す新中計 | 繊研新聞
主力事業のストッキング市場はピークの10億足からコロナ禍前で既に3億足近くに縮小していたが、その後の5年でさらに半減し、現在は1億3300万足に。
コロナ禍以降で需要の激減した商品の代表例がストッキング。服装規定の廃止、カジュアル化をはじめとするトレンドの変化、テレワークの増加などで、業界全般が苦戦。工場の閉鎖や縮小、一部破綻する中小メーカーも相次いだ。
とある。
2024年で国内市場は1億3300万足という規模である。
一部の例外を除くと、概ねほぼ女性しか使わないので、平均で成人女性が1人2~3枚ずつ買っているということになる。
ただし、これはあくまでも平均である。全く買わない人も相当数いるだろうし、年間で5足、10足と買う人もいるだろう。
記事内のグラフを引用して貼り付けておく。これを見てもらえばわかるように、2020年のコロナ禍で市場規模がほぼ半減してしまった。

2023年からはコロナ自粛が本格的に解除されたものの、ストッキング需要はほぼ横ばいを続けており、増える兆しが無い。恐らく2025年もほぼ横ばいで終わるのではないかと思われる。
ストッキングメーカー各社は今後も厳しい運営が続く。
ストッキングの代表的な大手メーカーというと、アツギ、グンゼ、福助あたりだろうか。この中ではアツギがダントツで経営が厳しいといえる。
グンゼはレッグ事業部の中にストッキング以外に通常の靴下もあるし、靴下市場自体は大きく減ることなく堅調な推移を見せている。また、グンゼはメンズとレディースの肌着も大手であり、仮にストッキングが縮小し続けても靴下、肌着で経営は成り立つ。さらにいえば、異業種である機能ソリューション事業やメディカル事業が好調なので何なら繊維事業そのものが無くなっても経営が成り立つ。
福助も同様に靴下もそれなりに強いから、ストッキングが無くなったとしても企業は存続しやすいだろう。
しかし、アツギは他の2社に比べて靴下や肌着が弱い。実際のところはどうかわからないが、弱いイメージが定着してしまっている。そのため、ストッキングが仮に無くなってしまえば経営に大ダメージを受けることになるのは明白である。ストッキング市場縮小のダメージをモロに食らってしまう。
コロナ自粛によって多くの生活習慣が変わったが、元に戻ったものもあれば戻らないものもある。
ストッキング需要も戻らないものの一つだろう。ストッキング需要同様にコロナ自粛の際の生活習慣が根付いたものとしては、家族葬、昼飲みがあるだろう。
以前だと社会的地位の高い人が盛大な葬儀を行うのは当然だったが、コロナ自粛によって家族葬・親族葬が増えた。自粛明けも盛大な葬儀が回復することなく、家族葬・親族葬が主体となっている。
夜の会食が控えられたため、窮余の策として昼飲みが始まった。夜にだめなものが昼ならなぜ良いのかは理解に苦しむが、始まってしまったものは仕方がない。
コロナ自粛明けも多くの居酒屋が昼飲みを継続しているし、逆に昼飲みをしている人たちを奇異な目では見なくなった。
閑話休題
国内ストッキング市場が2010年代後半と同じ3億足までに回復することは今後もあり得ないだろう。ましてやピーク時の10億足には絶対に回復しない。
クールビズやビジカジ化と同様に楽なことがいったん広まってしまえば、特殊な社会環境が産まれない限り、それが廃れることはほとんどない。
記事にも書かれているように、生足やカジュアル化の「楽さ」がこれほど広まってしまえば、特殊事情が産まれない限り、再度ストッキングを履こうという人はほとんど出てこないだろう。
とはいえ、家族葬・親族葬は絶対に無くならないし、その他の冠婚葬祭も無くなることはないので、ストッキング市場はゼロにはならない。
多分1億足とか1億足を少し下回る辺りで底打ちになるのではないかと個人的には見ている。
その間に大手も含めてストッキング市場から撤退するメーカーも相当数出てくるのではないかと思う。特にストッキング無しでも経営が成り立つ企業は状況によってはストッキング市場から撤退するのではないだろうか。
ちなみにストッキングの話題はSNSで何故か定期的に炎上しがちだが、タビオなんかはストッキングの売上高が全社売上高の5%にも満たないほどなので、今後、需要の低迷が続くならストッキングから撤退する可能性は低くないだろう。
ストッキング市場が現状維持から微減くらいで推移してくると、ストッキング以外での売上高を稼げるメーカーは躊躇なく撤退し、残った何社かで増えないパイを分け合うことになる。
ただ、このままストッキング市場が縮小し続けていると、当たり前の話だが、メーカー側も減産し続けることになる。減産し続けると、生産ロット数量がまとまらなくなり、製造コストが割高となってストッキングの店頭販売価格が上がることになる。今後、ストッキングは冠婚葬祭の時だけに使う割高なフォーマルアイテムみたいになって細々と残るのではないだろうか。
大昔、ストッキングが高価だった時代は、手に入れられなかった貴族の婦人が脚の後ろに黒く線を引いて、ストッキングを履いてるように見せかけた、って話を聞きましたw
しかし、これほど需要が激減しているんですねぇ。女性も、真夏に暑苦しいストッキング履きたくはないでしょうし、本当に冠婚葬祭とかかしこまった時にしか使わないアイテムになるのかも?
ちなみに、自衛隊の徒歩行軍では、股擦れ起きないようにストッキング履いてる隊員とかいました。私は特に何も対策してませんでしたがw
あと、ブーツのつま先を光らせるのに、最後の仕上げでストッキングで磨くという技もあり、自衛隊の売店で四角く切ったストッキングの切れ端が売ってたりすることもあります。