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南充浩 オフィシャルブログ

底打ち感が出てきた?ファッション専門学校への入学者数

2025年9月8日 ファッション専門学校 0

先日、入学者数が3年ぶりに増えたと答えたファッション専門学校の校数が微増したという記事が掲載された。

服飾系専門学校の入学者 「増えた」が3年ぶりに上回る | 繊研新聞

繊研新聞社が全国の服飾系専門学校に行ったアンケート調査(有効回答35校)によると、25年4月の入学者数は「増えた」37%、「減った」34%と拮抗(きっこう)しつつ、3年ぶりに「増えた」が「減った」を上回った。入試制度の見直し、SNSを活用した発信の強化などの成果もあり、減少傾向はやや落ち着いたものの、大学や他分野の専門学校との競合が厳しい状況が続いている。

とのことで、よく読むとファッション専門学校全体の入学者数が増えたわけではなく、増えたと答えた学校数がやや増加したということで、減ったという学校数も引き続き多い。

増えたと答えた学校数は全体の37%で、減ったと答えた学校数は34%でほぼ拮抗しているがわずか3%だけ「増えた」と答えた校数が多い。ちなみに記事内のグラフでは「変わらない」と答えた学校もあり、だいたい20%くらいを占めている。

 

 

そう考えると、決して「ファッション専門学校への進学人気が回復した」わけではなく、

1、下げ止まり・底打ち

2、専門学校間の優勝劣敗の格差が広がり、強い学校が弱い学校から入学者数を奪った

3、前年比なので前年度までの入学者数が少なすぎた

という状態にあると考えられる。

また、記事内には「国内の18歳人口が微増する年度だった影響もあるほか」という指摘もあり、単純に18歳人口が微増した分、37%の専門学校への入学者数が微増したとも考えられる。

 

 

記事内では。増えたと答えた校数は13校、減ったと答えた校数は12校と言及されており、構成比で見ると3%も増加しているが、実数で見るとわずかに1校差しかなく、ほぼ同数であり、これが実態だと考えられる。(これが数字のマジック)

記事内では

「大きく増えた」と答えたのは2校。大阪文化服装学院は、装苑賞ほか国内の主要3コンテストで1位を獲得するなどの実績を評価され、クリエイション系2学科の志願者が大きく伸長。名古屋ファッションは「全国規模のコンテストでの入選や就職の実績、時代性に沿った教育内容、立地や施設の良さなどの効果的な販促で、47%増と大幅に増加した」と答えた。

と指摘しており、たしかに大阪文化服装学院は、イベントなどを積極的に開催しているばかりでなく、情報発信も強化しており、外野の当方ですらそれらを見かけることが多いから、学生やその親御さんにとっては強いアピールとなっているのではないかと思われる。

 

 

この記事内にグラフがあるが、それが結構興味深い。

まず、アンケートに答えた学校数だが、基本的に年々減少している。21年から25年までとなっているが、21年は42校で、25年は35校である。23年と比べると24年は校数が1校増えて37校となっているが、それ以外は減少傾向が続いており、さらにいうと21年を最後に40校を割り込み続けている。

 

このアンケートに答えたり答えなかったりする学校はあるものの、実際にファッション専門学校の校数は全国的に減少傾向が続いていると考えられる。

 

 

続けて下のグラフだが、「増えた」と答えた学校は常に就職率100%であり、減ったと答えた学校は就職率が80%とか80%未満、無回答・不明となっていて、就職率が芳しくない。変わらないと答えた学校は就職率90%となっている。

普通に考えて、ファッション専門学校は就職のために進学するのだから、就職率80%程度の悪い学校に進学したいという生徒とその保護者が増えるはずもない。就職できない専門学校に進学して金を払う意味など皆無である。

逆に就職率100%の学校は入学者数が増える傾向だし、90%の学校は前年維持傾向なので、いかに「就職率」が進学のバロメーターとなっているのかがわかる。

 

 

もしかすると、派手なイベントや著名なゲスト講師を呼ぶよりも、就職率を100%に高める方が、専門学校の入学者集めには効果的ではないだろうか。

専門学校の学費は通常の私立大学と同じかそれ以上である場合が多く、生徒個人の財力だけで進学できるケースは少ない。費用は保護者が負担する場合が多いから、保護者は就職率の高い学校を選ぶことが多いだろうと考えられる。

 

 

記事の後段には、課題がまとめられている。

「減った」と答えたのは12校。理由で多いのは「少子化と高等教育無償化の流れを受けた大学志向の強まり」「アパレル業界の将来性への不安」「美容系やアニメ、IT系の専門学校を志望する高校生の増加」など。ファッション分野の人気低下により、他分野や他校との差別化が難しいビジネス系や2年制の志望者は減少傾向だ。

 全般に4年制学科は好調で、目的意識の高い層は獲得できている半面、志望度の低い〝ライト層〟の取り込みに苦戦。ドレスメーカー学院は「ここ数年、減少傾向だったファッションビジネス科の募集停止の影響か、入学者が減少した」。

とのことで、現状認識としては正しい内容だが、消費者(進学者)観点から考えると、極めて当然の内容ばかりで、これらを克服できないファッション専門学校は淘汰されるのは必然だとしか思えない。

 

例えば、大学志向の強まりは当たり前で、プロ野球やサッカーJリーグでも大学からの入団というのが増えている。卒業後の進路変更を考えると、つぶしが効くと世間的に認知されている大学卒業資格を持っておきたいと考えることはリスク低減においては当然の結果だろう。

また「ライト層の取り込みに苦戦」とあるが、ライト層こそ、当方は専門学校ではなく大学へ進学するか就職した方が良いのではないかと思っている。その方がライト層がアパレル業界就職後、進路変更する際につぶしが効きやすいのではないか。さらにいうとライト層こそ、業界に長く定着するかどうかもわからない。そんなライト層の若者の未来を取り込んで固定させるのは、進学者の保護者目線に立てばいかがなものかと思えてくる。

 

 

今回のアンケート結果では入学者数増加と答えたファッション専門学校数が微増したものの、今後も入学者数が大きく増加することは考えにくいため、ファッション専門学校の淘汰はさらに進んで、全国の校数は減るだけ減って落ち着くという未来になるのではないだろうか。

 

 

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