伸び悩んでいて存在感が薄くいから消え去りそうな印象の「フォーエバー21」
2025年8月29日 企業研究 0
スタート当初は華々しくメディアに採りあげられたものの、続報が続かないと多くの人からその存在を忘れ去られてしまうということが世の中にはよくある。
衣料品業界でもそんなブランドは決して珍しくない。
業界メディアの風習からすると、続報されなくなったブランドというのは、えてして商況が不調である場合がほとんどである。体感的にいうと90%くらいの確率である。
個人的にそんなカテゴリーに入ってしまっていると感じるのが、再々上陸を果たしたフォーエバー21である。
2023年2月に再々上陸を果たし、各メディアがこぞって掲載したものの、その後はさっぱり噂さえ聞かなくなっていた。第1号店の内見会には当方も参加したのだが、その後、業界内で噂も聞かなかったため、すっかり忘れ去っていたら、先日こんな記事が掲載された。
再々上陸から1年半あまりで店舗網を縮小 「フォーエバー21」の新宿・横浜の2店舗が閉店
「フォーエバー21(FOREVER21)」が、日本国内の店舗網を縮小する。東京・新宿の「ルミネエスト新宿店」は9月7日、神奈川・横浜の「相鉄ジョイナス店」は9月15日をもって閉店することが発表された。今回の閉店により、国内で営業を続けるリアル店舗は「ららぽーとTOKYO-BAY店」(千葉)をはじめ、5店舗体制となる。
とのことで、一気に2店舗を閉鎖するというのだから、よほどに不調だったのではないかと推測される。
店舗の閉鎖は、一概に商況不振とは限らない。入店している施設との契約が終了する場合もある。だが、フォーエバー21の場合、一気に2店舗の閉鎖だから2店同時に契約終了というのは考えづらい。新宿と横浜という人口の多い地域にもかかわらず、売れ行きが芳しくなかったための撤退だと捉えた方が実状に近いのではないかと思われる。
再び日本市場に姿を現したのは2023年2月。アダストリアの子会社であるゲートウィンが運営を担い、3度目の上陸を果たした。新展開では、ターゲットを10代後半から30代前半に絞り込み、平均商品単価は約4,000円、客単価は約5,800円と想定。従来よりも高めの価格帯に設定することで「安さだけでなく、質とデザイン性を両立させたブランド」として再出発を図っている。
とのことだが、この2年半の間にたったの7店舗しか出店できず、そして今、2店舗が閉鎖されて5店舗体制となる。正直なところ、平均商品価格4000円という低価格の想定だが、5店舗では生産ロットがさほどまとまりにくいことから、この価格を維持することは相当に厳しいだろう。
有体にいえば、展開店舗が少なすぎてロットがまとまらないから製造コストを抑えにくい。平均価格4000円を実現するためには粗利益を薄くするか、無理やりに製造コストを叩くか、のどちらかしか方法がない。そのどちらを選んだとしてもブランドの売れ行きにプラスになることはないから、今後の商況はさらに厳しくなる。
で、フォーエバー21の再々上陸当初の目標はどうだったかというのを振り返ってみよう。
「フォーエバー21」がアダストリアと提携で日本再上陸 23年春にSCに出店し28年2月期に売上高100億円を目指す
まあ、見出しだけで十分だろう。
再々スタート当初の目標は28年2月期で売上高100億円である。スタートから5年で100億円を目指すというわけだが、すでに半分の2年半が終わっている。2年半で5店舗の残存である。売上高100億円を達成するには、最低でも40~50店舗くらいの店舗数は必要になるから、のこり2年半で少なくとも35~45店舗の追加出店が不可欠になるが、現在までの成り行きを見ていると、実現することはほぼ不可能に近いだろう。
現在のフォーエバー21はアダストリアとその子会社が企画生産しているが、米国本社は今年3月に2度目の経営破綻してしまった。
フォーエバー21が再び破産申請、米事業終了の可能性高まる – BBCニュース
本国である米国でフォーエバー21は復活することはかなり難しくなってしまったといえ、さらには日本も決して順調とは言えない売れ行きと推測される。
個人的に日本の売れ行きが厳しいのではないかと思える事象として、アダストリアの公式通販サイト「アンドエスティ」内のフォーエバー21の商品ページの薄さである。
8月27日現在、他のレディースブランドは「新作商品」が多数並んでいる。9月末まで確実に厳しい残暑が続くとはいえ、 夏のバーゲンも終了した今、新商品の入荷のタイミングである。従来通りの秋物なのか、残暑向けの夏秋企画なのかは別として本格的に新作を投入する時期であることは変わりない。
その「新作立ち上げ時期」にもかかわらず、このサイト内ではフォーエバー21の新着アイテムは現時点でわずかに5型しかない。他の同サイト内のレディースブランドは新着アイテムが30型とか50型とか入荷している。
さらにいえば、この新着アイテムも「キャンペーン」というマークはついているものの、すでに定価から60%以上も値下げされている状況にあり、当方には「閉店セール」にしか見えない。

もちろん他のレディースブランドの新着アイテムは定価販売である。
普通に先入観無く眺めても「売れ行き不振による大幅値下げ販売」と感じる人がほとんどではないだろうか。個人的には、記事にあった店舗網縮小というよりも、近々全店閉店してもおかしくない雰囲気とさえ感じられてしまう。
ではフォーエバー21が再ブレイクしなかった理由はどこにあるのだろうか?
1、定価が飛びぬけて安いわけではなかった
2、商品もデザインや機能で飛びぬけた特徴があるわけでもなかった
という2点に集約されるのではないかと思っている。価格は決して高いとは言えないが、びっくりするほど安いわけでもない。価格は確実にジーユーやアメリカンホリックの方が安い。
またデザイン面でも決してダサいわけではないが、ジーユーやその他アダストリア内のレディースブランドと大きな違いはなく際立った特徴も無いから、わざわざフォーエバー21を買う必要性が無い。
今のフォーエバー21と同じような価格で同じような商品なら他のブランドも掃いて捨てるほどショッピングセンター内にはあるし、価格面ではジーユーとかアメリカンホリックとかハニーズの方が安い。
結局はショッピングセンター内に数多あるレディースカジュアルブランド群に埋没してしまったといえるのではないだろうか。
もしかすると、9月以降にテコ入れで大量に新型商品を投入するかもしれないが、現在のままのペースで変わらないとするなら、フォーエバー21はそう遠くない将来に全店閉店して再々撤退することもあり得るのではないかと思えてくる。
そんな夏の終わりである。