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南充浩 オフィシャルブログ

暑いと秋冬衣料品が売れないのは万国共通という話

2025年8月21日 天候・気候 0

お盆前は全国的に雨が続いて猛暑がおさまった。まあ、湿度が高くてムシムシしたのだが。

ところが、お盆休みのなかばごろから猛暑が復活をした。汗っかきの当方としては、もう吸水速乾Tシャツしか着用できなくて、暦の上では立秋だが、とてもではないが秋用の服を買う気にもなれない。

何なら、半袖Tシャツでも綿100%の物はいまだに買う気にも着る気にもなれない。最高気温が28度くらいにまで下がらないと綿100%半袖Tシャツは着られない。

 

 

国内消費者の衣料品購買傾向もどんどん体感温度に則するようになっている。

今買ったら明日着られるくらいの体感温度で買う人が当方も含めて増えていると感じるし、実際に売れ行きのデータもそのようになっている。

これによって、アパレルメーカーも小売店も夏の高温化・長期化によって、夏服の販売期間を長く設定し始めており、8月下旬にコテコテの秋冬物を立ち上げる小売店も減ったし、納入するブランドも減った。

9月末までは毎年暑いので、業界も消費者も夏物への意識でほぼ統一されているが、問題は10月である。

 

 

例年なら10月の半ばごろには暑さもおさまり、長袖を着る人も増える。当然、秋物・冬物衣料品が動き始めるのだが、昨年のように11月中頃まで暑さが続くと、10月になっても長袖を着る人は増えないし、秋物衣料品も動かない。

消費者からすると、先物買いで秋物を買う必要性を感じないが、あと1か月以内に暑さもおさまるだろうから、半袖の夏服を買うまでもないという判断に落ち着いてしまう。手持ちの半袖夏服を着ていれば事足りると考える。

 

 

 

こうした購買行動に、業界内からは「季節先取りで買う消費者が減った」と嘆く声も一部からは引き続き見られるのだが、職業的にはその嘆きも理解はできるが、汗っかきの暑がりという消費者的立場としては、嘆かれてもどうしようもない。

そこで、ふと、海外ではどうなのだろうと思っていたらこんな記事を先日拝読した。

フランス 熱波が消費・供給に影響 | 繊研新聞

フランス各地で猛暑が常態化しつつある。8月中旬、南仏各地では軒並み40度を超え、複数都市が観測史上最高を更新した。かつて例外的だった40度超えは00年以降284回に達した。ここ数年は6月や9月にも及び地域も拡大。猛暑が消費行動を変えている。

6月の熱波では専門店来客数が前年同月比4.3%減少し、実店舗売上高は落ち込む一方、ECは4.2%増えた(仏小売統計)。英国の調査では、晩夏~初秋の気温が例年より1度高いだけで女性用衣料売り上げが週当たり約1270万ユーロ減るとの試算もあり、高価格帯の秋冬物は需要が先送りされやすい。

とのことだ。

日本に限らず、欧米、中国、韓国で近年猛暑が続いているのは繰り返し報道されている。ただ、衣料品の購買傾向についてはあまり報道されていなかったので、これは新鮮だった。

 

 

この記事によれば、フランスとて日本の消費者と同様に体感温度に則した衣料品の購買傾向が増えているといえる。いくら、ファッションの国と呼ばれようが、猛暑なのに秋冬物を着る人は少ないし、先んじてわざわざ購買しようという人は減るということがわかる。

逆に、日本に旅行に来ている欧米系と思われる人たちの服装を見ていると、季節名ではなく、体感温度で着る服を選んでいる人が相当数いることがわかる。真冬の冷え込みがキツイ日でも半袖Tシャツ1枚で歩いている白人系が少なからずいる。彼らからすれば1月とはいえ、寒く感じないのだから冬服を着る必要性を感じないということだろう。

 

 

 

結局のところ、本場ヨーロッパとはいえ、衣料品の売れ行きや着装は気温に左右されやすい。

国内よりも欧州で積極的に販売を行っているセーターブランド「CTプラージュ」の展示会に年に何度かお邪魔することが多いのだが、その際「セーターは冷え込みがキツいヨーロッパだから日本よりも売れやすい」という話になる。ウールや獣毛のセーター類は、暖冬が続く日本では年々売れにくくなっている。低価格マスブランドでウールやカシミヤを含む獣毛セーターを継続しているのは、今やユニクロと無印良品しかない。

 

そのユニクロ、無印良品でさえ、1月の正月明けにはそれらを大幅に値下げして売り切る努力をしている。それくらい売り切れにくい。日本の東京や大阪、名古屋で寒さが実際に本格化するのは、正月明け以降になるから、買う側とすれば値下げされたときに買うのがベストタイミングということになりありがたい。しかし、販売側とすれば値下げによって粗利益が低下するので、値下げはなるべく避けたいところである。しかし、値下げしないことには売り切れない。

 

 

これまでのヨーロッパ、北アメリカの熱波・猛暑は、日本に比べて短期間で終了することが多かったらしい。CTプラージュによると、2週間前後で猛暑がおさまることが多かったとのことで、2週間程度なら着装にも購買にもさして大きな影響は出ないから、従来通りの秋冬物販売が成り立っていた。だが、記事にあるように猛暑が日本と同じくらいに続けば、いくらフランスとはいえ、秋冬物の立ち上がりは鈍くなるというわけである。

そういう意味では購買行動は万国共通ということだろう。

このまま、猛暑期間の長期化が定着すれば、ヨーロッパ・北アメリカの衣料品購買傾向も供給傾向も変わらざるを得なくなるだろう。

 

 

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