グンゼの国内生産4拠点の閉鎖はアパレル事業部の構造改革の始まりに過ぎないだろうという話
2025年8月7日 決算 1
肌着・靴下の大手グンゼが国内4工場を閉鎖して、アパレル事業部で早期退職を募集するという衝撃的な発表があった。
グンゼが一部アパレル工場を閉鎖、国内生産拠点は宮津工場のみに 早期退職の募集も
グンゼが、インナーウェアの工場の一部を閉鎖すると発表した。併せて、アパレル各事業の企画 ・営業部門を集約した事業部「アパレルカンパニー」では希望退職も募集する。
同社は2026年中に、国内の4つの生産拠点を閉鎖。同社の梁瀬工場と連結子会社 養父アパレルは同年3月末日までに、東北グンゼと非連結子会社 矢島通商は同年12月末日までに、それぞれ操業を停止する。ウェアの国内生産拠点は宮津工場のみとなり、閉鎖する工場の機能は同工場と海外関係会社工場に移管する。
希望退職プログラムは、アパレルカンパニー在籍の満40歳以上の社員を対象に実施。退職加算金の支給や、希望者に対する再就職支援などの優遇条件を提示している。なお、募集人数は明らかにしていない。
とのことである。
これは先日発表された2026年3月期第1四半期連結決算を受けてのことで、減収大幅減益だった。
グンゼの2026年3月期第1四半期(2025年4〜6月)連結決算は、売上高322億4000万円(前年同期比3.4%減)、営業利益18億600万円(同13.3%減)で減収減益。最終損益は14億7000万円の赤字となった。アパレル事業の不振が主な原因としている。
報じた各メディアの論調を文面だけから見ると「アパレル事業(肌着、靴下など)が不振なので構造改革します」と読めるのだが、実際、肌着・靴下業界関係者からすると「ついに始まったか」という思いを強くしたに違いない。
当方にとっても付き合いの長いグンゼという会社だが、肌着・靴下の大手メーカーであることは昔から不変だが、近年はアパレル事業の営業利益率の悪さが続いている。
ザックリとまとめると、売上高がだいたい1300億~1400億円あり、そのうちの半分弱の売上高がアパレル事業である。ここまでは文句のつけようがないのだが、問題は営業利益で、4事業あるうちでアパレル事業は、機能ソリューション事業、メディカル事業よりも少ない期が多い。要は売上高は多いが、ほとんど儲からないという状態が恒常的に続いている。
今回の第1四半期決算資料を見てみよう。

これを見ても分かるように、売上高でいうと4事業部で最大の147億6300万円もあるのに、営業利益は3億6300万円しかない。しかも前年同期比で35・6%減という大幅減益である。売上高が30億1800万円しかないライフクリエイト事業部と営業利益額はたったの1億円強しか変わらない。
伝統とか祖業とかいう観点を除いて考えると、アパレル事業がグンゼ社内では最も非効率的な事業だということになる。経営者・経営陣とすればその「非効率事業」を改善するために動くことは企業経営にとっては当たり前であり、今回の国内4工場閉鎖はその流れにある。
とここまでならよくある「低収益なアパレル事業の改革」でしかないが、肌着・靴下業界関係者が「いよいよ」と感じるのは、別の理由がある。
グンゼの社長は定期的に役員から昇格交代してきたが、これまでの歴代社長はアパレル事業部出身者だった。しかし、現社長はアパレル事業部出身者ではなく、機能ソリューション事業部の出身である。
そのため、就任当初から業界関係者は「アパレル事業に大ナタが振るわれる可能性が高い」と分析指摘してきた。ただ、「伝統」であり「祖業」であるだけに、びっくりするような大ナタが振るわれることはなく、現在に至っているのだが、それでも業界関係者各氏は「いずれ、アパレル事業部は大幅縮小されるのではないか」との見方を崩さなかった。
現社長も何度かお会いしたことがあり、会見などで接していると公式の場では決して悪辣なお人柄とは感じない(そんなに懇意ではないから私生活はわからないが)が、それでも長らく検討してきた結果、改善が見られなかったため、いよいよ踏み切ったという印象が強い。
ちなみに、2025年3月期連結決算のセグメント別の資料も貼ってみる。

アパレル事業部の営業利益はこれほどに低く、25年3月期だとライフクリエイト事業部よりも1億3000万円も低く、4事業部中で営業利益額は最低である。
にもかかわらず、売上高は607億8200万円もあり、4事業部で最大である。アパレル事業部の収益性の低さが伺える。
恐らく業界関係者もアパレル事業部の構造改革は今回が終わりではないと思っていることだろうし、当方もそう思っている。今回で終わりではなく、今回が始まりに過ぎないだろう。
グンゼのアパレル事業は、主要卸売り先が量販店、GMSとなっていたが、特にGMSを中心とするスーパーマーケットは全体的に衣料品販売の縮小が続いているため、この販路での業績向上はハッキリ言って難しい。百貨店販路をこれから拡大しようとすることも不可能だろう。ブラジャー類メインなのでいささか商材が異なるが、百貨店販路に強かったワコールの近年の不振ぶりを見てもそれは明白だろう。
そのため、グンゼは自社直営販売とネット通販を強化し始めており、それら新販路は毎シーズンの伸びはあるものの、売上高はまだまだ小さく600億円の事業を支えられる規模感は無い。
外野から眺めている身からすると、グンゼのアパレル事業が短期間でV字回復できる要素は全く見当たらない。そのため、直販やネット通販を地道に育てながら中長期的な収益性の改善を図るほかないが、その途上にあっては、アパレル事業は今後も構造改革を続けざるを得ないだろうし、今後は不採算販路からの撤退や事業全体の縮小なども二の矢・三の矢の政策が実施される可能性が高い。
グンゼに限らず、大手メーカーや大手ブランドによる繊維製品の国内生産は今後減ることはあっても増えることは二度とないだろう。
まずは、一般購買者には訳分からない多数のブランドと、似たような製品の整理をしたら良さそうっすけど、色々しがらみあるんですかねぇ?
しかし、こんなに営業利益率が低いのは何が原因なんだろう?
うちのダメ工場なんかだと、値付けがテキトーで原価管理もテキトーで儲かってないですが、グンゼ規模でそんなことないでしょうし。謎ですね(´・ω・`)