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南充浩 オフィシャルブログ

衣料品業界で大手専門店チェーンの寡占化が強まっているという話

2025年8月5日 トレンド 0

ウェブ内やSNSだとアンチ低価格ブランドの声を少なからず見かけるが、実際の店頭に行くと、大手低価格ブランド店は平日昼間でもそれなりに客数がある。

一方、同じ低価格帯でも大手ではないブランドは閑散としている場合が少なくない。

 

当方が観察している店でいうと、ユニクロ、ジーユー、ワークマン、それから衣料品以外の方が売れ行きが好調な無印良品などは、平日昼間でもそれなりに入店客数がある。

一方、ライトオンなんかは平日は入店客数がまばらである。

あくまでも当方の体感的には、ファーストリテイリングやワークマンなどの大手低価格専門店チェーンの占有率はかなり高まっていると感じられてならない。

 

 

ときどき、衣料品関係で相談を受けることがあるのだが「どこか好調な売り先はないですかね?」と問われても「世間一般的な好調さ」でいうなら、大手低価格専門店チェーンくらいしかないので、納入数量はある程度見込めても価格が見合わない。

当方の周囲には、比較的中低価格向けのORMメーカーやODM関係者が多いので、彼らからすると売り先に困っているという現状になってしまう。

もちろん、小規模で売れているブランドはあるが、そこが一定規模にまで成長できるかというと、今の市場の常態ではその可能性は極めて低いと考えている。

現状維持から微増は可能だが、急成長は難しいだろう。

 

 

そんなことを考えていたら、繊研新聞に次の2本の記事が掲載されて、概観としては当方と同じのようである。

24年度専門店売上高 中堅以下が苦戦、大手による寡占化進む | 繊研新聞

繊研新聞社が実施した「24年度専門店ランキング調査」がまとまった。前年と比較可能な101社合計は5兆202億8500万円で前期比4.7%増。大手企業の好調が全体の伸びをけん引し、19年度実績も2年連続で上回った。粗利益率、販売・管理費率も改善しており、全体としてコロナ禍の低迷期からの脱却を裏付ける結果となった。

 

とある。

これに加えて

専門店大手と主要業態の売上高 大手の好調続く 業態・企業間格差が大きく | 繊研新聞

繊研新聞社が実施した「24年度専門店ランキング調査」は、83社合計の売上高が4年連続増加、コロナ前の19年度実績と比べても2年連続で上回った。売上高合計の7割を占める上位10社が全体の伸びをけん引した。一方で、19年比では減収の専門店が全体の5割強を占めるなど、回復速度にはまだばらつきがある。過去10年間の売上高推移を見ても、大手各社と主要業態それぞれの成長性に差が出ている。

郊外・低価格が成長

19年の不振を受け、商品、販売政策の立て直しに着手したしまむらは20年から増収が続く。作業着で培った低価格と高機能を一般向けカジュアルに落とし込んで業績を拡大しているワークマンは10年連続で売上高を伸ばした。

 

となっている。

 

もちろん小規模ながらも好調ブランドはあるだろうが、記事は当方の体感とだいたい合致する。

 

特に「売上高の7割を上位10社が占めている」というのは驚くとともに、体感的には納得できてしまう。

 

 

ちょっと話はズレるが、欧米諸国の経済成長率が順調だと言われるが、日本とは比べ物にならないほどの格差があり、上位の成長率が高いので全体を引き上げているという構図がある。これは中国も同様である。

衣料品の国内専門店の状態はそれに近いということになる。

 

 

この状態が大きく変わることがあるかと問われると、個人的には直近では無いだろうと思っている。

衣料品というのは1枚買えば、大人服なら特殊な使い方をしなければ2年くらいは持つ。その間、ほかの店の商品をわざわざ買うなんていうことはよほどの衣料品好きしかない。

そうなると、最初に1枚か2枚買った店やブランドだけが売り上げを稼げることになる。衣料品業界は強烈な椅子取りゲームだと当方は感じている。

 

 

同じくらい新規参入障壁が低いのが飲食店業界で、同様に生き残り競争が激しいが、衣料品ブランドよりも多くが成り立っているのは、食事は1日に複数回摂るものだからだろう。昼に食べても夜にもまた食べなくてはならないから、一人の人間が最低2~3度は一日に利用する場合がある。「消え物」ならではのメリットだといえる。

 

さらにいうと、マス層の興味や娯楽は年々分散化傾向にあり、衣料品の支出順位は上がらない傾向にある。

よほどの衣料品好きでないと、最優先での支出先とはならないのが現状だと当方は認識している。この傾向が強まることはあれ、短期的に弱まるとはちょっと思えないので、この大手寡占状態は今後しばらく覆ることはないだろう。

 

大手の中から脱落者が出ても、準大手の中の1社がそこにおさまるだけなので、新進ブランドがどんどん伸びて多様化するとは到底思えない。

 

 

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