ファッション需要獲得を目指すワークマンが法人FCを解禁するのは当たり前という話
2025年7月23日 企業研究 0
ワークマンの店舗数の95%前後がフランチャイズ経営であることは広く知られていた。
このフランチャイズ経営はこれまで「個人経営」に限定されていた。これもまあそれなりに知られているのではないかと思う。
ただ、個人経営限定では、現在のワークマンが目指しているファッション化路線には対応しづらくなってきたというのも事実である。
実際、5年くらい前にすでにワークマン社内の人から「ファッションビジネスに強く(ユニフォーム業界ではないという意味)て個人経営フランチャイズをやりたいという人はいないでしょうかね?」と雑談がてら尋ねられたことがあった。まあ、そんな人材は当方の知る限りはほとんどいない。
ただ、すでにその頃には、ファッション化路線と個人経営限定のフランチャイズ経営が噛み合わなくなってきたというのは間違いないだろう。
そこで、ついにワークマンはフランチャイズ経営の法人化を解禁した。
当方は、実情に沿った措置だと評価している。
だが現在、人手不足による個人FC募集の限界を迎えている。まず同社が注力しているWorkman Colors業態は、毎年40店舗の出店を予定しているものの、経営を担う個人FCが40人も集まっていない。さらに、重点出店地域としていた人口5万~10万人の過疎地では、募集が難しい状況となっている。
一方で、中型以上のモールからの出店要請は、継続して声がかかっているという。だが、直営によるモール出店の売上目標を4億円以上に設定しているため、これまでワークマン側にとっての条件を満たせる出店先が限られていた。
だが、以前に出店要請を断った80カ所のモールでも2億5000万円強の売上が見込めるという。しかし、この金額をクリアするにあたって、個人・家族経営では売場の維持が難しいと判断。法人FCにとっては魅力的な条件になると考えた。
とのことで、当然の推移だといえる。
従来のワークマンは、地方路面店、郊外型路面店で作業服関連を販売してきた。この場合、ファッション客はほとんど無く、ファッション販売経験の無い個人経営フランチャイズでも対応が可能だった。
住宅街の一角にあるコンビニや、住宅街の近隣にある理髪店みたいなイメージで、ほぼ決まった客層が周期的に買い替え・買い足しするという販売で成り立っていた。
作業服という商材も多少はファッション性が求められるが、それほどその割合は強くない。となると、別にファッション性に敏感である必要もないから、誰でもフランチャイズ店経営はしやすかった。
ところが、ワークマンはファッション化に舵を切った。これも需要総数に天井がある作業服だけでは成長が見込めないという判断から来たもので、成長を重視するのであれば当然の措置だったといえる。
ファッション化するということは、品揃えに関してもある程度のファッション性の知識や感性は必要となるし、記事中でもあるように都心・郊外を問わずにファッションビルやショッピングセンター内へのテナント出店が求められる。
また、それによって、決まった物を決まった人が決まった周期で買いに来るという販売スタイルではなくなり、不特定多数の人が不特定な周期で不特定な数量を買うという販売スタイルに変わる。
これはカジュアルファッション衣料やトレンドファッション衣料を扱ったことがない人には慣れるまでに相当の時間がかかり、とてもではないが個人経営者では対応できない。
また、売上高も記事中にあるように年間2億円とか3億円が見込めるわけだから、商品の仕入金額もそれくらいが必要不可欠になる。毎年、1億円とか2億円の仕入れ資金が必要となるため、よほど資金繰りが上手いか、豪胆な人でないと個人経営し続けるのは難しくなる。
個人よりも動かせる金額が大きい法人の経営でないと対処が難しいことは明白である。
なお、法人FCの資格は、他のFC店を複数運営した経験があるか、モール内店舗で複数の運営代行経験がある法人に限られる。
とされており、他社がときどき使う「販売代行店」システムを本格的にワークマンも取り入れたということになる。
直近で決まっているのは2社で、スタイルエージェントがダイナシティ小田原・フォレオ大津一里山・イオンモール神戸北を担当し、SIがイオンモール津田沼をFC経営する。
各店が個人のフランチャイズ経営であることは、資金繰りの面からも不利になりやすいと同時に、ファッション衣料の販売では必要不可欠となる「商品の店舗間移動」ができないというデメリットもあった。なぜなら、各店の商品は各店のオーナーが自腹で仕入れた物なので、不振品番を他経営者の他店に移動するなんてことはできにくいからだ。
しかし、法人による複数のフランチャイズ経営が可能になったことで、この複数フランチャイズ店の間だけは不振品番商品の「店舗間移動」が可能になる。
現時点でいうとスタイルエージェントが経営する3店舗間では不振品番の店舗間移動は可能になる。そのため、不振品番の処分販売が進みやすい可能性が高まったといえる。
Workman Colors店を毎年40店舗オープンする目標はそのままに、個人FCによる地方中心の路面店の出店数を、年間20~25店舗に下方修正する。代わりに、法人FCによる都市近郊の中型・大型モール内店舗を15~20店舗増やしていく。法人FCは約10社を募集して、各社が毎年2店舗ずつ出店する計算だ。
Workman Colorsの売上目標は、路面店が2億円、モール店が2億5000万円~3億7000万円。法人FCが年20店になると、当初計画した売上に対し、年間20億円が上乗せされて経営効率が改善される見込みとなる。
とのことで、都市近郊のモール内店舗は今後は法人フランチャイズ経営で出店となる。これはファッション化を目指すワークマンにとっては正しい販売体制の構築が始まったといえる。
今後のワークマンの課題はネット通販をどうするかである。以前から何度も指摘しているように、ネット通販は本社直轄となっているので、ネット通販が伸びすぎると各フランチャイズ店から強い反発がある。そのため、ネット通販はすぐに品切れとなって再販にあまり積極的ではないので、実店舗で買えなかった人の受け皿にはなりにくいという現状がある。
今後、ワークマンが公式ネット通販をどのようにするのかに注目したい。