バーゲン開始時期の情報価値が薄まった理由
2025年7月9日 トレンド 0
ファッション雑誌を読まなくなってもう15年以上になる。
それでもたまにメンズファッション誌を店頭で速読スピードで眺めることはあるが、そんなに買ってまでじっくり読みたいとは思わない。
何せ大学を卒業するまで衣料品に興味が無かったので、勉強のためにメンズファッション雑誌を就職後から毎月購読していた。
当方が購読していたころは、毎年7月号くらいで「夏のバーゲン開始時期一覧」が掲載されており、〇〇ビルは7月〇日スタートという情報をチェックしていた。
90年代~2000年代半ばごろのことである。
この間にユニクロブームがあったり、ツープライススーツストアが誕生したりしていたが、やはりまだブランドへの需要もあり、値下げ品が店頭で買えるのは夏冬のバーゲン時期に限られていた。
そのため、バーゲン開始時期は重要な情報だった。
当方ごときの人間でさえ、バーゲン開始日には開店30分くらい前から並ぶこともあったほどだ。
しかし、2000年代後半くらいになると、当方はバーゲンに行かなくなった。まだ冬のバーゲンは2012年ごろまで行っていたが、夏のバーゲンは2000年代後半で行くのをやめた。
理由はさまざまあるが、メンズの夏物は半袖Tシャツか半袖シャツ、半袖ポロシャツくらいしかバリエーションが乏しく、手持ちが揃うと買い足す理由がなくなる。たまに夏でもキッチリと重ね着をしておられる古き良きファッション好きも見かけるが、当方は暑くて重ね着することは不可能だと悟った。
それに夏のバーゲンは冬と違って、クリスマスも正月も関係が無いから購買意欲を掻き立てられない。そのためか、2000年代半ばを過ぎると夏のバーゲンの客入りは肌感覚として如実に減少していて、閑散としていることが増えた。
それに加えて最大の理由は、ユニクロ、ジーユー、その他のSPA型低価格ブランドが増え、夏冬の特定の時期にかかわらず、常に値下げ品が買えるようになったことだと思っている。
さらに、2010年代以降はネット通販も普及して、ネット通販では低価格SPAの実店舗以上に毎日売れ残りの値下げ品を見つけることができるようになった。
当方もこの2つの理由で完全にバーゲンに行くことは無くなり、2012年以降は冬のバーゲンすら行かなくなって今に至るが、全く何の不便も感じていない。
もう二度と冬のバーゲンに行くこともないだろう。
一方、メディアではいまだに夏冬のバーゲンはそれなりに報道されている。
もちろん、情報だから報道する必要性はあるのだが、マス層の関心は相当薄らいでいるのではないかと思う。冬のバーゲンは正月やクリスマスと絡むので、まだ高揚感を感じる人も多いだろうが、夏のバーゲンはほとんど関心が無いのではないだろうか。
百貨店の夏のクリアランスセールは例年並みの6月末にスタートした店舗と7月中旬からに分かれた。多くの店舗が6月27日の開始だったが、三越伊勢丹は7月11日に後ろ倒しする。阪急うめだ本店や松屋銀座本店は前年と同様に7月18日から実施する。需要のヤマは2段階になる見通しだ。
セールの売り上げや集客力は年々縮小傾向にある。開始時期の先行、後行を問わず、長く暑い夏に対応してプロパー販売を強化する考えに変わりはない。先行実施した店舗はSCなど競合店との対抗策で、例年通りの開催時期に決めた。ただ、セールと並行して正価品の品揃えを強化する。
とあり、これはこれで事実なのだろうが、冬のバーゲンにすら行かなくなった当方にとってはほとんど別世界のように感じられる。
恐らく、百貨店でしか買わないという層がそれなりにまだいるのだろうと思われるが、その層が拡大することは今後もないだろうと個人的には見ている。今後はせいぜい大都市旗艦店を支える程度が残るくらいだろう。
ただ、記事中にも「SCなど競合店との対抗策で」ともあるから、ショッピングセンター、ファッションビルの夏バーゲンも視野に入れての提言、対抗策だと思われるが、ショッピングセンター、ファッションビルにはユニクロ、ジーユーを筆頭に低価格SPAが多数入店しており、年がら年中、売れ残り品を値下げ販売しているのだから、夏バーゲンへの消費者の関心は相当低いのではないかと当方は見ている。
わざわざ混雑するバーゲン時期に行かずとも、いつでも値下げ品が買えてしまう。
暑さと人混みが嫌いな当方としては行く理由が全く見当たらない。
また、先述したように2010年代から急速にネット通販が普及しており、各ネット通販では実店舗以上に年がら年中値下げ品が売られている。何なら3年くらい前の売れ残り品まで値下げ販売されている。
これはネット通販で「本当のアウトレット品」を値下げ処分販売するブランドが増えたためである。逆にネット通販こそそういう何年も前の売れ残り品の処分場として相応しいという認識すら各ブランドが持っている。
バーゲン時期にしか値下げ品が手に入らないというのは、最早百貨店向けブランドくらいに限られており、百貨店向けブランドにこだわらない層は、日々低価格SPAの処分品を買うか、ネット通販の値下げ品を買うかで満足しているだろう。
情報としては報道するべきだが、恐らく、バーゲン開始時期に対する消費者の関心は相当薄れており、一部の根強い百貨店ユーザーだけが注目しているのではないだろうか。