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南充浩 オフィシャルブログ

高価格化だけを追求して入門者向け商材を捨てることの弊害

2025年7月7日 トレンド 0

諸々のコスト上昇に合わせてそれなりに販売価格を上げることは重要ではあるが、上げすぎたり上昇率が高すぎると大衆からの支持は離れやすくなる。

支持率がゼロにはならないが、コアなファン層に限られるようになるし、下手をするとコアなファン層すら離反する可能性もある。

これはすべての事柄に共通していると感じる。

 

 

以前「価格を上げろ」と主張していた有名コンサルが、自分のコンサル料を上げすぎて仕事の依頼が激減したと聞いたことがあった。

企業側の予算も天井知らずではないから、高すぎるコンサルとは契約しなくなるのは当たり前である。コンサルの料金設定としては激安にする必要はないが、ある程度のところで上昇はストップさせる方が賢明だといえる。

これはコンサル料に限ったことではなく、全ての商材・サービスに関しても同様だろう。

 

 

以前にもご紹介したが、25年になって毎月の訪日外国人数は増加しているが、百貨店の免税高級品は毎月大幅な前年割れを起こしている。

訪日外国人が全員百貨店で免税高額品を買うことはないが、分母が増えているのに、売上高が減少しているのは前年実績が高かったこともあるが、やはり高額品への購買意欲が減退していると考えた方が良いだろう。

大手百貨店/6月売上高三越伊勢丹9.1%減・H2O12.0%減、免税売上高が大幅減

6月も免税売上高は各社ともに大幅減少である。

7月以降もこの傾向は変わらないと見ている。

 

 

これは百貨店高額品への購買意欲減退ということもあるだろうが、ラグジュアリーブランドそのものへの購買意欲減退という理由もあるだろうと思われる。

ラグジュアリー 市場がさらに縮小へ Z世代離れで価格戦略の転換が迫られる

この記事は日本市場のことではなく、世界市場で論じており、世界的にラグジュアリーブランドが前年割れに転じていることを報じている。

とはいえ、ブランドごとには格差があるだろう。グッチが近年苦戦していることは報じられているが好調を維持しているブランドもある。しかし、トータルすると前年割れに転じている。

2024年には、世界のラグジュアリー市場の売上高が約4230億ドル(約60兆9000億円)から4180億ドル(約60兆2000億円)へと減少し、2020年を除けば、過去15年間で初めての縮小となった。ベインは、2025年の市場規模がさらに2〜5%縮小すると予測している。

とある。

売上規模は相駆らず60兆円と莫大だが、約7000億円くらい減収となっている。2025年はこれよりもさらに下がるというわけで、分母自体は変わらずに巨大だが、成長神話は完全に崩壊したといえる。

記事中にもあるように「過去15年間」伸び続けてきたわけだから、成長神話は終わったといえる。また2024年は世界的にもコロナ自粛が終わり、消費が復活しているのだから、普通なら売上高の増加が見込まれる。

にもかかわらず、売上高が減少しているのだから、ラグジュアリーブランド市場が飽和状態に達しているのではないかと思われる。また支持する消費者も減少していると考えられる。

 

 

その理由を記事に沿って見てみよう。

ラグジュアリーブランドがZ世代にアピールできなかった理由のひとつは、富裕層の顧客への依存を強め、価格を引き上げ続けた結果、「背伸びしてでも買いたい」と考える層を締め出してしまった点にある。

たとえば、欧州におけるラグジュアリーアイテムの価格は、過去5年間で61%も上昇している。同時に、ディオール(Dior)の一部の工房におけるコストや労働環境の実態を明らかにしたイタリアの調査のように、高価格を正当化する前提に疑問が投げかけられる事例も出てきた。

 

とある。

個人的には「Z世代」に限らず、全世代で「背伸びしてでも買いたい」という層は減少していて、特に日本国内では著しく減少しているのではないかと思っている。

ちなみに、当方自身がZ世代ではないのに「背伸びしてでも買いたい」とは1ミリも思っていない。

 

 

「ラグジュアリー業界は、この2年間で5000万人の顧客を失った」とレバト氏は述べている。

「彼らはもはや贅沢を楽しむ余裕を失い、購入をやめてしまった。ブランドは、こうした顧客との関係を再構築するために、エントリープライス帯の商品、つまり昨年は展開していなかった1000ドル(約14万4000円)以下のバッグのような製品を再投入しはじめている。ただし、大衆の熱狂を再び呼び戻せるかどうかは、各ブランドの手腕にかかっている」。

とあり、この5000万人という数字が正確なのかどうか当方ごときにはわからないが、相当数の消費者が購買意欲を無くしていることは事実なのだろう。

 

 

その最大の理由はラグジュアリーブランドが年々価格を上げすぎたことにあるだろう。

一定の価格帯を突破して上がり続ければ、よほど金が有り余っている富裕層か、宵越しのカネは持たねえコアなファンしか買わなくなる。

いくら高所得者でもまともな金銭感覚の持ち主なら「ついて行けませんわ」と感じる。

 

 

ちなみに、日本の昔ながらの金持ちはあまり高額品を買わないことが多い。

これは贅沢を戒めて次世代の相続税分を貯金するためである。東京の港区ナンチャラみたいな成金は別として。

記事中にもあるように「ブランドはエントリープライス帯の商品の投入を開始した」とあるが、結局「初心者・入門者」を締め出して高級化のみを追求し続けた弊害が顕在化しているといえる。

逆にいうと買いやすい価格帯の初心者モデルが如何に重要かということである。

 

 

国内の繊維業者はいまだにラグジュアリーの高級化路線を信奉して後追いしようとしているが、高価格化だけを追求した結果、エントリープライス商品を投入せざるを得なくなった状況を直視すべきだろう。結局は高級化とエントリー化は両方が必要だということである。

 

 

 

 

 

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