訪日外国人数は増加の一途でも百貨店の免税売上高は前年割れに
2025年7月2日 トレンド 0
当方は関西に住んでいるが、京都市には滅多に行かない。
理由は京都まで行くのに時間がかかるのと、いつ行っても混雑が酷いからである。当方は暑さと人混みが大嫌いだ。報道やYouTube動画を観ていると、インバウンド観光客の混雑が京都市内はとりわけ酷い。
よほどの用事か仕事が無い限り、当方は京都市内に絶対に足を踏み入れたくない。
大阪市内もインバウンドは多いが、梅田が最も混雑しているように感じる。だからなるべく梅田には行きたくない。難波、心斎橋もインバウンド混雑はあるが、体感的に梅田よりもマシな気がする。天王寺になるともっとマシである。
そんなわけで「観光公害」という言葉も頻発するようになるくらいにインバウンド観光客は増えていると感じられる。
実際に統計を見てみると、2025年に入っても訪日外国人数は増えているようだ。
【図解】訪日外国人数、2025年5月は前年比2割増で過去最多の369万人に -日本政府観光局(速報)|トラベルボイス(観光産業ニュース)
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年5月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年比21.5%増の369万3300人となった。5月の過去最多を更新した2024年(実数:304万294人)を65万人以上、上回った。新型コロナが5類に移行した2023年5月(実数:189万9176人)と比べると94.5%増となり、ほぼ倍増した。
とある。
この記事に掲載されているグラフを見てみると、1月~5月まで毎月人数が前年を大幅に上回っていることがわかる。もうすぐ6月の統計も発表されると思われるが、恐らくは増加しているだろう。
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となると、1月~5月までの訪日外国人数は毎月、前年比を大きくクリアしており、増加の一途をたどっているとおいえる。
ところが、百貨店各社はこのインバウンド売上高が大きく減少している。
百貨店大手4社の6月度の売上高速報が出そろい、全社が前年同月の実績を下回った。円高に転じた3月以降、インバウンド(訪日客)による高額消費が落ち込んでおり、免税売上高は引き続き大幅な減収で推移した。
6月度の売上高は三越伊勢丹が前年同月比9.1%減、高島屋が同2.2%減、大丸松坂屋百貨店が同4.5%減、阪急阪神百貨店が同12.0%減だった。国内顧客は微増もしくは微減で収まっているものの、訪日客による免税売上高が大幅に落ちている。
免税売上高は三越伊勢丹が同38.6%減、高島屋が同35.9%減、大丸松坂屋が同31.4%減だった。阪急阪神百貨店の旗艦店である阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)は、同5割減と振るわなかった。
とある。この報道に限らず、各社とも免税売上高を前年比40%~50%も落としており、ほぼ半減しているといえる。理由には記事中にも「円高に転じた3月以降」とあるように、それまでの超円安基調が少し改善されたからと指摘されている。
ただ、それまでが1ドル=160円ペースだったことに対して、それ以降は現在まで1ドル=145円内外で、たったの15円ほどしか円高に転じていない。にもかかわらず、そこまで売上高が落ちるというのは、インバウンド頼みの販売が如何に危険なのかということがわかる。
今後、金利政策や経済政策によって、以前の1ドル=120円とか110円に戻れば百貨店の免税売上高はさらに低下することが如実に分かる。
そんな中、大丸松坂屋を運営するJフロントリテイリングは、テナント事業は金額はやや小さいものの好調に推移している。
「デベロッパー事業」の業績は売上収益が245億3400万円(38.0%増)、営業利益が22億8900万円(35.0%増)となった。
とある。
大丸松坂屋百貨店は都心百貨店でも、2000年代後半から早くもテナントリーシング比率を高めており、当時の業界メディアや百貨店関係者からは「邪道だ」と見る向きもあったが、今となってはそれが正解だったといえる。梅田店の増床改装時に誘致した「ポケモンセンター」や「トミカショップ」なんかもテナントとしての出店だったと耳にしている。
今回の百貨店のインバウンド売上高不振はコロナ禍を除くと2回目で、前回はちょうど10年くらい前の2015年・2016年あたりに起きた。
その当時の理由は中国人の「爆買い」が減ったことが理由として挙げられていた。今回は訪日外国人数が増えているにもかかわらず、百貨店免税店の売上高が大幅に減少している。もちろん、訪日外国人が全員百貨店で買い物をするということはないが、それでも分母自体は拡大し続けているのに売上高が半減に転じるというのは、なかなか厳しい状況といえる。本当に円安基調の緩和だけが理由なのだろうか。
従来の百貨店型販売にこだわって、テナント誘致を敬遠していると、今回のような急ブレーキがかかることもある。一本足打法よりは、リスクヘッジで形態を分散させておく方が有事には強いということがわかる。各旗艦店売上高では大丸松坂屋はあまり強くなく、伊勢丹新宿や阪急うめだ、髙島屋大阪のような各超巨大旗艦店に遠く及ばないが、分散手法は上手いといえる。
百貨店ビジネスに限らず、すべてにおいて逃げ道を作っておくことは極めて重要だということが改めてわかる。