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南充浩 オフィシャルブログ

アンケート調査記事から読み取れる「アパレル実店舗」の重要性

2025年7月1日 考察 0

前回に引き続き、アンケート調査記事について。

なかなか興味深いアンケート調査なので各ブランドはこれを分析精査すべきではないかと思う。

【お知らせ】ファッションに関する実態・意識調査(2025年5月定点ココロスタイルリサーチ) | リサーチ・市場調査ならクロス・マーケティング

今回は後半の「ファッションアイテムの購入方法」について見てみたい。前回も少し触れたが、要は実店舗で買うか、ネット通販で買うかという答えである。

以下にグラフを引用して貼り付けさせていただく。

 

 

 

 

前回も触れたが、全年代を合算すると実店舗の購入が62%で、ネット通販の購入が38%となっている。

ネット通販が全体的に4割弱に迫っているということになるが、ネット通販購入の中に「店舗で事前に確認し、ECで購入する」が9%含まれている。

実店舗が起点となっているこの項目を除くと純粋にネット通販だけで完結する人の比率は29%ということになる。

 

 

アパレル各社の発表では売上高に占めるEC比率がだいたい平均的に30%前後になっている場合が多いが、まさにそれを裏付けているといえる。

「店舗で事前に確認し、ECで買う」という購買行動は何故起きるのか?について考えてみたい。

1、ネット専用のポイントが貯まるから

2、ネット専用の値引きセールや値引きクーポンがあるから

3、実店舗で品切れだったから

4、実店舗で自分が欲しいサイズが品切れだったから(色柄が品切れの場合も)

あたりではないかと思う。

 

 

何かしらのメリットが無ければ実店舗で確認してからわざわざネットで買う人はほとんどいない。ネットで買うことがカッコイイ行為だと勘違いしている人なんて極少数だろう。

当方もユニクロ、ジーユーの商品を店頭で確認してからネットで買うことがある。

その場合、2か3か4かのどれかである。ユニクロとジーユーはポイント制ではないからだ。

2の場合は、ユニクロとジーユーは「5000円以上お買い上げで500円引きになるネット専用クーポン」を結構乱発する。防寒アウターを買う際にはこの「500円引きクーポン」を使うためにわざわざ売り場で実物を見ながらネットで買う。ただし、防寒アウターなどの高額品を買う場合だけで、ほとんどのクーポンは未使用で失効しているが惜しいとは思わない。1回で5000円以上の買い物をすることが稀だからだ。

それよりも多いのが3と4の場合である。

前回に実店舗で商品を見ていて、今回行くと完売していたというケースは多々ある。その際、ネット通販に在庫が残っていればそちらで買うのは当然だろう。

4の場合も同様で、自分の欲しい色柄やサイズが実店舗で品切れになっているのにネットで残っているなら、ネットで買う。ただそれだけのことである。

 

 

1の場合だと、恐らくは楽天とかAmazon、Yahoo!ショッピングのような大規模サイトに商品が掲載されている場合には起きうるだろう。例えば、タイオンダウンは楽天で買うと、ダウンベストでだいたい40ポイント前後貯まる。そうなると楽天ポイント欲しさに楽天で買うという選択肢になり得る。

 

 

この買い方については、若い層と中高年層では少し差があって、若い層の方がネットで買う比率が高い。

18~29歳でネットで買う比率は44%、30~39歳で49%、意外と40代も高くて40~49歳は45%となっている。だいたい半分弱がネットで買っていることになる。

ただ、これを指して「これからはネット通販しか勝たん」と言うのは少し早計になるだろう。「店舗で事前確認してから」という比率が10%前後どの年代も含まれているからだ。

18~29歳で9%、30~39歳で13%、40~49歳で12%もいる。これらは「実店舗が無ければネットで買っていなかった」という可能性が高い人々だと考えることができる。

この人たちの比率を引いた純ネット購買は、18~29歳で35%、30~39歳で36%、40~49歳で33%となってしまう。やはり、ネットだけで衣料品の購買を完結させる人は30%強しかいないということになる。

 

 

グラフを見ていただければわかるように50歳以上の年代はネットで買う比率は低い。しかし、人間は必ず年を取って死ぬから、後10年、20年後には今の上の世代はだいたい死んでいなくなり、若い層が新たな中高年層になっている。新たな中高年層は現在の購買行動を維持するだろうから、今の中高年層よりはネット通販を使う比率が高くなると考えられるものの、10年後・20年後でも現時点での結果とさほど変わらないだろう。

要するに、今の若い人たちは10年後、20年後になっても10%強の人は「実店舗で確認してからネットで買う」という購買行動を維持すると思われる。(よほど画期的な手法が生まれたり、環境が激変すれば話は変わってくるが)

 

 

となると、実店舗の重要性というのは今後もあまり変わらないのではないか。

2010年代後半に「ネット通販マンセー」みたいな風潮が強かったが、国内市場においては実店舗の重要性というのは、さほど落ちなかったといえ、現在の若い層も実店舗を相当利用していることがわかる。

2020年代になってから、多くのブランドはすでにそうしていることと思われるが、より一層、実店舗とネット通販の相互補完体制を強めるべきだということが今回のアンケート調査記事から読み取れる。

 

 

最後に蛇足になるが、「衣類購入時に重視する点」のグラフについても見てみる。

無印良品が失敗し、ユニクロが一部商品で打ち出している「ユニセックスデザイン」は3%しかいない。

ということは、無印良品がユニセックス商品を強化して失敗したのは極めて当然の結果だったということがわかる。何せ3%のマイノリティーをターゲットにしていたわけだから。

 

 

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