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南充浩 オフィシャルブログ

ファッション専門学生へのアンケート調査記事から見える嗜好と購買行動の差

2025年6月26日 ファッション専門学校 0

毎回、それなりに話題となり、情報としてもそれなりに重要なファッション専門学校生の好きなブランド、買う店のアンケート調査記事が掲載された。

今回は2つに分けられている。

26年春卒業予定者のファッション意識調査 よく買うブランドは「ジーユー」が2年ぶりに1位 | 繊研新聞

26年春卒業予定者のファッション意識調査 好きなブランドは3年連続「ヴィヴィアン・ウエストウッド」 | 繊研新聞

この2本である。

繊研新聞社が26年春卒業予定の服飾系専門学校生を対象に行った「ファッション意識調査」である。

 

 

恐らくは、結構な長文になるので2本に分けたのではないかと推測される。

ファッション専門学校生というのは、多くの場合、一般大衆に比べてファッション衣料に強い関心を持っている若者である場合が多い。

また就職先もファッション衣料関係である場合が多いから、業界に入ってくる若い人の嗜好を知るには良い資料となり得る。しかし、その一方で、一般消費者の嗜好とは合致しないこともあると考えた方が良いだろう。

 

 

まず「よく買うブランド」から見てみよう。詳細は元記事を読んでいただくことが最も正確である。

1位ジーユー (前年2位)

2位ユニクロ (同3位)

3位ザラ (同1位)

4位古着 (同4位)

5位ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシング (同9位)

となっている。

本文中にもあるように

「よく買うブランド」では、「ジーユー」が23年以来の1位に復活。長く大手SPA(製造小売業)と古着が独占していたトップ5の一角を崩し、「ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシング」が5位に食い込んだ。

これはかなり特徴的な動きといえ、前年9位だったことも意外だが、今年はさらに順位を上げて5位になった。またザラの人気は変わらず高いが、1位から3位に陥落しているので、変動があった。古着は変わらない。

ただ、得票数を見てみるとまた印象は変わっていて、1位ジーユー125票、2位ユニクロ111票と圧倒的で、3位のザラは86票だが、4位の古着が45票、5位のグリーンレーベルは36票となっており、トップ2、トップ3とは大きく票数が離されている。むしろ4位から下は団栗の背比べという得票数しかない。

 

 

ジーユー、ユニクロのトップ2はファッション好きの若者であってもいかに節約志向が強いかを表しているといえる。その一方で、店舗数も減少して国内売上高もピーク時に比べると減少したザラでの買い物が相変わらず多いのは、ファッション好きの若者特有の動きではないかと思われる。ユニクロよりも高いがデザイナー物っぽさがあるからこそザラを支持するファッション学生は多いのだろうと思われる。

一般大衆に比べるとザラの支持は高いといえるだろう。グリーンレーベルリラクシングの支持が上がったこともファッション専門学生ならではだと思われる。ザラほどのデザイナー物っぽさは薄いが、ユニクロよりも本格派っぽく(本格ではないが)て価格も抑えめというところが支持を集めているのではないかと思われる。

ザラ、グリーンレーベルと同様にデザインっぽさがあるのに価格が抑えめであるという共通点で支持が高いのが、13位に25票でランクインした「ハレ」だろう。前年は41位からの急浮上である。アダストリアのブランド群の中では最高値に位置するが、通常の高額ブランドに比べると価格は抑えめである。

 

 

 

次に好きなブランドの記事について見てみよう。

1位ヴィヴィアン・ウエストウッド (前年1位)

2位コムデギャルソン (同4位)

3位ディーゼル (同2位)

3位ハレ (同12位)

5位ザラ (同3位)

となっている。好きなブランドは買えるかどうかは別とした「好き」なので、ヴィヴィアン、ギャルソン、ディーゼルの人気が根強いことがわかるが、一方で、ハレとザラの強さもわかる。

ハレとザラはファッション専門学生が「買える価格帯」で、デザイナーブランドっぽさが実現されているブランドだと評価されているのではないか。

 

 

しかし、7位にユニクロ、8位にジーユーもランクインしており、好感度も決して低くはないことがわかる。

得票数については、1位のヴィヴィアンが74票と圧倒的で、2位のギャルソンが49票、3位が41票ずつ、5位が39票ずつ、7位35票、8位31票なので、3位から5位の得票数はほとんど同じで、7位、8位ともさほど開いていないことがわかる。「何か」が起きればすぐに順位が入れ替わるだろう。

 

 

興味深いのは「買い物をする場所」という項目で

1位 古着屋(同1位) 511票

2位 モール型ネットショップ (同2位)499票

3位 ファッションビル (同3位) 439票

4位 路面ファストファッション (同4位) 381票

5位 メルカリ、フリマアプリ(同6位) 365票

6位 駅ビル (同5位) 317票

となっていて、上位4位は不動だということがわかる。

 

ただ、解せないのが、古着屋が不動の1位で「買い物をする場所」に選ばれ続けているのに対して、「よく買うブランド」では古着は不動の4位である点だ。しかも古着の得票数は45しかなく、1位のジーユーより80票も少ないし、2位のユニクロより66票も少ない。3位のザラと比較しても39票も少ない。

このアンケート調査の項目はいずれも3つまで選べることになっているからその影響はあるだろう。

 

逆にいうと選んだ3つの中に「古着屋」が入っている学生が多かったが、その彼らは他の2つとして他の買う場所も選んでいたのだろう。また「よく買うブランド」も同様に古着を選んだ人が45人いたが、その45人は残りの2つとしてジーユー、ユニクロ、ザラのいずれか2つを選んでいたというケースが多かったのだろう。

 

 

ここから「ファッション専門学生に古着屋が人気」ということは可能だが、購買実態では当てはまりにくいといえる。古着屋は好きな場所だが、買う頻度や枚数はジーユー、ユニクロ、ザラに大きく劣ると考えられる。古着屋は好きだが、実際に買うのはジーユー、ユニクロ、ザラという行動を採っているファッション専門学生が多いのではないか。

 

繰り返すが、あくまでもファッション専門学生の嗜好と実働の調査結果であり、一般大衆に当てはまるかどうかは別である。そして、この嗜好を持った人の多くがファッション業界に就職することから考えると、ファッション業界人予備軍の嗜好と実働の調査結果だといえ、ファッション業界人が仕事として一般大衆向けに企画・販売する際には、業界人は自身の嗜好を反映させすぎないようにすることが重要なのではないかと思われる。

 

 

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