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南充浩 オフィシャルブログ

90年代のビンテージレプリカは「今後のビンテージ」になれるのか?

2025年6月24日 ジーンズ 0

数年前に比べると若者がジーンズに回帰してきたといわれている。

そのおかげで、ビンテージジーンズへの注目も回帰してきたと聞いている。

ビンテージジーンズ人気といえば、個人的には30年前の95年前後の熱狂ぶりを思い出すのだが、当方がすでに若者ではなくなっていること、ジーンズ愛好者ではなくなっていることを合わせて考えると、当時ほどの人気ぶりではないとどうしても思ってしまう。

 

 

95年当時を思い返してみると、ファッション雑誌では毎月ビンテージジーンズ特集が組まれていたし、テレビ番組でも頻繁に特集されていた。ちなみに当時はまだインターネットは普及していない。

だから、30年前ほどの人気ぶり・過熱ぶりではないと思ってしまうのだが、それでも久しぶりの人気の高まりだと話す業界人もおられる。

 

 

先日、ジーンズカジュアル業界に長く携わっておられる先輩に10年ぶりくらいでお会いする機会があった。

その先輩は当方よりも10歳くらいは年長だったから、現在60代後半から70歳くらいではなかったかと思っている。この先輩が先日、著名芸能人御用達と自称するスタイリストに私物のビンテージを「売ってくれないか」と打診されたのだそうだが、その買い取り価格が250万円での申し出だったという。

ただ、彼は「そういう価格での取引を良しとしない」という考えで断られたとのことで、ビンテージジーンズの価格は当たり前だが30年前と比べて高騰してきた。

 

 

商品の価格は、供給が減って需要が増えれば高騰するし、供給よりも需要が増えれば暴落をする。サンマでも野菜でもコメでも同様で、ビンテージジーンズ類も例外ではない。

95年当時も本物のビンテージジーンズは高額で30万円とか100万円というのは珍しくなかったが、現在はそこから最低でも2倍くらいの価格に跳ね上がっている。

需要が増えたというのが最大の理由だが、30年も経過しているので、現存するビンテージが減少したということも大きな要因といえる。

 

 

銅像とか石像、建物などに比べて、繊維製品であるジーンズは30年も経過すれば繊維の劣化によって使い物にならなくなる比率が高い。

ただでさえ少なかったビンテージジーンズがこの30年間でさらに減少したのはいうまでもないだろう。その分市場価格は上がる。

さて、ビンテージジーンズの定義とはなんだろうか。これは当方も含めて結構曖昧に使っていると感じられる。そこでウェブで検索してみたが、やはり曖昧で大きく分けると2つの答えが検索表示された。

Vintage Jeans 用語辞典 – JELADO

諸説ありますが、1870年代から1960年代までに世の中へ向けて発売されたジーンズを指します。

 

The Vintage Denims. – ヴィンテージの神様とのデニム修行。 | fashion | GIRL HOUYHNHNM

まずは「ヴィンテージの501というものは1978年以前に作られたものである」と覚えてもらえればいいと思います。78年を境にインディゴの染め方が変わって、色落ちが全く変わるから。

 

とある。1960年と78年ですでに18年もの開きがあるからかなり曖昧な区分だといえ、個人の認識によるところが大きいとわかる。

個人的には80年代になると、デニム生地の表面感がのっぺりとした色合いに変わるので、78年以前という認識の方が確実性が高いのではないかと思える。

 

 

今回のビンテージ人気回帰が今後どれほど続くのかはかなり不透明だと感じるのだが、今後も一定需要が続くと仮定してみると、これからビンテージジーンズ類の数量は減少の一途をたどる。繊維製品は年月が経過すればするほど壊れやすくなって行く。

逆に価格は上がり続ける。

古着人気の定着化によって、ビンテージジーンズ類の需要も定着するとなると、ますますレアな商品になってしまって普通の人では買えなくなるし、逆に販売サイドも取扱いが難しくなる。

それこそ、高額骨董品の世界になってしまうのではないかと思えてくる。そこで彼は

「95年を中心として各社が大量に市場供給した『ビンテージレプリカジーンズ』が新しいビンテージ商品になるのではないか」

という腹案を披露した。

 

たしかに90年代には、リーバイス、リー、ラングラーなどが自社のビンテージレプリカを発売していた。当初は細々という感じだったが、95年前後の熱狂によってその前後の年には結構な数量と型数を市場に投入していたことを当方も記憶している。

おまけにこの頃、エヴィスやドゥニーム、シュガーケーンなどの新興ブランドの知名度も飛躍的に高まるとともに、かなりの数量が販売された。

これらを合わせると、現在も相当数の商品量が古着として市場や家庭に残っているのではないかと推測される。

 

 

さらにいうと、製造されてからすでに30年前後が経過しており、95年当時のビンテージという定義も満たせる。それによって、ある程度の値ごろ感(と言っても数万円くらいの価格なるにだろうが)で多くの人に提供することが業界としては可能になる。

値ごろ感のある価格にすることで、新規ファンもある程度は入門しやすくなるから、この先輩のお考えは妥当ではないかと思えてくる。

 

当方はビンテージジーンズ類に何の興味も無いが、この考え方は理にかなっているのではないだろうか。

 

 

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