コロナ禍が過ぎ去っても衣料品の国内供給量が減少する理由を考えてみた
2025年6月19日 速報 1
2020年代に入り、国内の衣料品供給量は減少傾向にある。
2020年春にコロナ禍による長期営業自粛があったから、下がるのは当然ではないかと思われる方も多いのではないかと思うが、2020年よりもコロナ自粛が全面解禁となって2年目となる2024年の方が供給量は減少している。
となると、減少の理由はコロナ禍ではないということになる。
24年の衣類国内供給量、過去20年で最低を更新 輸入浸透率は98.6% | 繊研新聞
24年の衣類国内供給量は、コロナ禍の20年を下回った前年にも届かない最低水準となった。日本繊維輸入組合が公表した「日本のアパレル市場と輸入品概況2025」によると、国内供給量は前年比1.1%減の35億1204万9…
となる。
非常に中途半端なところで途切れているが、これ以降は有料ゾーンということなのだが、もう少し区切る部分を工夫できなかったのかと思う。
で、この記事の続き、特に数量の部分を補完したいと思う方はこちらの記事を読むと補完できる。
以前にもご紹介した記事だが、同じ統計結果の発表である。
同じ統計記事でも切り口を変えるとこのように変わるという実例といえる。
日本繊維輸入組合が13日に発表した「日本のアパレル市場と輸入品概況2025年版」で明らかにした。
24年の衣料品の国内供給量は35億1204万点で、そのうち輸入品は34億6193万点(同1.0%減)だった。国内供給量の98.6%を占める輸入品のシェア1位は、中国の19億2821万点だった。
とある。
途切れている部分の国内供給量は35億1204万点ということになる。これが前年比1・1%減と繊研新聞は補足しているわけである。
WWDの記事によると、輸入量も1・0%減となっている。
この国内供給量35億1204万点が、過去20年間の最低記録となり、コロナ禍の2020年をも下回る数量だったことになる。
同じ統計資料をWWDは国産比率重視で書いており、繊研新聞は供給量全体と数量ベースの前年比で書いている。
さて、コロナ禍をも下回る供給量を記録した理由はなんだろうか?
1、各社のMD精度が向上して仕入れ・製造する数量が減った(適量化できた)
2、様々な理由で消費者が衣料品を買う量が減った
大きくはこの2点ではないかと考えられる。
まず、1について考えたい。
各社の供給量は2020年代になってから減少傾向を続けており、先日も在庫処分店「ラックドゥ」の今堀社長のコメントをこのブログで紹介したが、
「売れ残り在庫品の量が減少しつづけており、かつては1型1万枚なんてざらにあったが、今は多くても1型200~300枚程度にまで減っている」
という。もちろん、ラックドゥがすべてのブランドの在庫処分を担当しているわけではないので、ブランド間で売れ残り量の格差は存在するだろうが、全体的に減少傾向にあると考えられるのではないだろうか。
その原因はマーチャンダイジングの精度が向上して、無駄な仕入れ・製造を行わなくなって適量化された可能性が高いと考えられる。
だが、全社が適量化に成功したわけではなく、24年秋冬商況でも「仕入れ・製造量が足りなくて売り逃しを起こした」とコメントしているブランドが複数あるので、売れ残り在庫を発生させることを恐れて少なめに仕入れ・製造するブランドが増えた側面もあると考えられる。
少し寄り道になるが、仕入れ・製造を少なめに抑えるブランドが増えた理由についても考えてみたいが、最大の理由は、過剰なプロパー販売信仰になるのではないかと思う。これは怪しげなMDコンサルたちに最大の責任があることは言うまでもないが、それを過剰に報道する業界メディアの姿勢にも問題があるといえると考えている。
プロパー消化率が高い方が優秀という構図が出来上がっていて、それを頭から信じる経営者も少なからずいる。そうなると現場のマーチャンダイザーやバイヤーは仕入れ量を少なめに抑えることになる。雇われている限りは経営者の意見には最終的に服従せざるを得ない。
その結果、「売れ残りは翌年まで持ち越せ」という意味不明な論調まで飛び出す始末である。売れ残りを抱え続けたとて、高値で売れる可能性は低いわけだから、年度内に損失を計上しない程度にまで値下げをしてさっさと売り飛ばすべきである。
閑話休題。
次に2についてだが、消費者が衣料品を買う数量が減っているのではないかと当方は感じる。
その理由だが
1、物価高や徴収される社会保障費の増大で可処分所得が減少している
2、衣料品への興味が薄れている人が多い
大きくはこの2点ではないかと個人的には考えている。
まず、1についてだが、これは多くの人が痛感しているのではないかと思う。優先すべき支出は食費であり電気代であり水道代でありガス代である。
衣料品は実用品以外は買わなくても生命への危険は無い。とすると、衣料品への支出を真っ先に削ることは当然である。おまけにファッショントレンドは5年以上大きく変わっていないのだから、買い替える必要も無い。
次に2だが、これは当方自身が強く感じている。
老化による意欲減退もあるのだろう、切実に欲しいと思う服やブランドが無くなった。例えば、今週から始まった猛暑だが、畏まった商談や会合以外は、ポリエステルやナイロン製の半ズボンで過ごすから、それ以上のボトムスは買う気が無い。2022年からユニクロのナイロンギアショーツを穿くようになったが、これを複数枚所有しているのでそれ以外のズボンを買う必要が無い。また昨年はジーユーのナイロンカーゴショーツを試しに2枚買ってみたがこれも具合が良かった。今年は猛暑前に1990円に期間限定値下がりしたユニクロのギアショーツの紺色と、990円にまで値下がりしたジーユーのナイロンカーゴショーツの昨年からの売れ残りのオリーブグリーンを買った。この夏はこれ以上ズボンを買う気が無い。

当方の意欲減退は老化によるところが大きいと思うが、以前よりも切実に欲しいと感じる服やブランドが減ったという人は少なくないのではないかと類推している。
それに加えて、洋服よりも優先したい趣味・娯楽が増えたこともあるのではないか。
動画や音楽配信への課金、魚釣り、キャンプ、登山、オートバイ、自転車、各種トレーニング、ガンプラ、昼呑み、などなど、趣味・娯楽が多様化している。洋服よりもこれらに強く興味を持ち支出を優先している人が業界人にも増えたという印象を受けている。
収入は有限だから、支出を削るとすれば洋服だろうし、そもそも趣味・娯楽に没頭すると洋服への興味は薄れやすい。
衣料品の国内供給量の減少傾向は今後も続きそうだと個人的には見ている。また消費者からの需要も大きく増えることは無いだろうとも見ている。
まあ、エコガーとかSDGs(ほぼ死語になりつつある)ガーとか主張している業界人やメディア関係者にとっては嬉しい限りの見通しではないのかと思っている。(笑)
そう。何もせず何も買わず、ぢっと家で過ごすのがエコでSDGs(´・ω・`)