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南充浩 オフィシャルブログ

製作費を「ほどほど」に抑えることと告知活動をすることの重要性

2025年6月5日 販促 0

最近、映画に関するユーチューバー動画をいくつか定期的に見ている。

と言っても、映画の内容批評もさることながら、ビジネス結果についての批評がメインとなる動画を気に入ってよく見ている。

この分野でも、

1、製作コストが高すぎると損益分岐点を越えることが難しくなる

2、知名度が低くて消費者に知られていないと選ばれにくい

という2つの点が他の分野のビジネスとも共通している。

 

 

海外の映画では最近はディズニーグループが一部の作品を除いて大爆死を連発している。

最近は、リロ&ステッチの実写版が大ヒットしたものの、その他は大爆死が多い。特に「白雪姫」は記録的な損失を計上している。

そんなわけでYouTube動画を観ていると、こんな内容がアップされていた。

「星つなぎのエリオ」が大爆死というものである。

 

 

恥ずかしながら「星つなぎのエリオ」なる作品が存在したことを初めてこの動画で知った。

で、動画を観てもらえばわかるが、初週の興行収入が3500万ドル~4500万ドルにしかならないだろうと米ビジネス誌で指摘されたという話である。

要するに初週の興行収入が日本円にすると50億~60億円程度にしかならないという話である。

これだけの売上高なら成功ではないかと思われるかもしれないが、製作費は公表されているだけで300億ドルかかっている。ザックリ450億円くらいである。

 

 

以前にも書いたが、映画ビジネスというのは売上高のだいたい半分くらいは映画館が取る。そして残った半分から製作費や広告宣伝費などを回収するという方式となっている。

なので、動画内でも言われいてるが、この映画が採算分岐点に乗るのは1000億ドルの興行収入だとされており、この初動ペースではとても追いつけないという指摘である。

 

 

ただ、映画が人気になってロングランで上映され続けられれば採算分岐点に到達する可能性は理論上あるが、実際、ほとんどの映画は初動で興行収入の大半を稼ぐ。クチコミが爆発して尻上がりに人気が出る作品もあるが、それはどちらかというと少数派である。

スタートダッシュが映画ビジネスの基本なので初週の興行収入がコケるとそのまま逝ってしまう可能性が極めて高くなる。

 

 

もちろん、製作費が低ければ興行収入が低くても利益は生じやすい。

だから製作費が1000万円くらいの映画なら数億円程度の興行収入でも儲けは生じる。

いかに費用をかけずにある程度の良い物を作って利益を稼ぐか、というのが映画ビジネスの基本だといえる。これは映画以外のビジネスも同様だろう。

 

 

この映画が売れないと言われている理由の1つに動画内でもいくつものコメントが出てきているが「全く知られていない」という点にある。

やはり「知られていない物は存在しないのも同然」なのである。

当方もこの映画の存在自体を知らなかったし、本場のアメリカ人でも知らなかったとコメントしている人が動画内でも多い。アメリカ人ですら知らない物を映画にさほど興味の無い当方ごときが知っているはずもない。

ディズニーピクサーという超大手企業の作品なのだから、もっと知られていても不思議ではないが、超大手企業でも広報・告知・宣伝を怠るとこれほど知られていないということになるというわけである。

消費者は「知らない」のだから、それを選ぶはずがない。「知らない」という時点で選択肢にも入っていないのである。

 

 

これも映画以外の他のビジネスにも共通する事柄だろう。

すべての事物は「知られていない」と選択肢にも入れてもらえないのである。だから知名度の高さは必要不可欠になる。

 

 

とはいえ、最近は、この「知られる」ことのみに最重点を置いた新進の衣料品ブランドが多々あると感じる。

針小棒大に話を盛ったり、信者ビジネスのような発信をしたり、炎上商法を狙ったり、と様々である。元々、衣料品ブランド界隈にはそういう胡散臭い側面が昔からあったことは否めない事実だが、近年は、製造加工業が立ち上げたブランドもそのような手法を取ることが増えていて、なかなかの惨事になっている。

 

 

特に製造加工業が立ち上げたブランドがそのような手法を取ると、なまじ生産者が言っているということで、その怪しい主張を信じてしまう人が増えてしまう。

まあ、これは衣料品や繊維に限ったことではないだろう。食品などでも同様ではないかと思う。

 

 

話しを戻すと、製作費が高くなりすぎると、損益分岐点も高くなりやすく、求める売上高も大きくならざるを得ない。

となると、「大作」を作る際も激安にする必要は無いが、「ほどほど」の水準に製作費を抑える必要に迫られる。

また、ディズニーピクサーのような超大手企業でさえ、広告・広報・告知を怠ると作品について全く知られなくなってしまう。

 

 

さらに言うなら、近年、この作品も含めてディズニー系の映画の多くが苦戦しているのは、行き過ぎたポリコレ思想を注入しているからだとされており、コンセプトとターゲット設定を間違えたのなら、どれほど高額な製作費をつぎ込もうと消費者には選ばれないということである。

ポリコレ思想は別として、これで失敗したのが衣料品でいうなら「アクティブシニア向けブランド」や「男女兼用服」ではないか。

 

 

まあ、そんなわけで製作費も広報活動もターゲット設定も凡事徹底することが改めて重要だといえる。

 

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