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南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロや無印良品の自社商品リユース事業が拡大できにくい理由

2025年6月4日 売り場探訪 0

ユニクロが昨年秋に本格的に自社製品のリユース事業に乗り出したものの、半年以上が経過してもまだ3店舗の出店に留まっている。

その理由については、4月11日に放送された「ガイアの夜明け」が詳しかったが、最大の理由は「採算性が取れない」ことにあった。

慈善事業やボランティアでない限り、採算性は何事にも必要不可欠で、ファーストリテイリングは特にその点はシビアである。

 

 

ユニクロのリユース事業は、洗濯をして綺麗にしてから売るという商品と、染め直して売る商品がある。ただし、どちらも相応の作業コストがかかる。

作業コストを吸収した店頭販売価格では、ユニクロの新品と比べてさほど価格差が無い。価格差がほとんど無い古着をわざわざ買いたいという人はそれほどいない。当方なんてまっぴらごめんである。

以前にも書いたが、この点、古着販売最大手のセカンドストリートは激安品が多い。500円・700円・900円の商品が多く、売れ行きが悪ければそれらが値札からさらに半額となるから、250円・350円・450円である。ここまで安ければ「古着だけど買ってみようか」という判断にもなる。

 

 

古着を染め直して販売するという事業の考え方自体はユニクロの専売特許でも何でもない。むしろ後追いである。

この発想自体は10年くらい前から業界に存在するし、多くの企業や工場が挑戦してきた。しかし、実際のところ染め直しのコストを店頭販売価格で吸収することは難しく、撤退した工場もあったし、開き直って高価格訴求をした工場もあった。

一定規模で継続できているのは、無印良品の「REMUJI(リ・ムジ)」くらいだろう。

これは2015年にスタートしてから、10年が経過した現在は全国34店舗の展開である。10年かけて34店舗にやっと拡大できたという事実から類推すると、やはり収益性が悪いということだろう。

収益性が良ければ、無印良品はその資本力を駆使してもっと急ピッチで出店数を増やすことができたはずだ。

 

 

収益性が悪いから、年に3~4店舗出店というちまちまとしたペースで継続してきたのだろうと考えられる。

個人的には、無印良品にとってこのリユース事業というのは、採算性や収益性よりも企業理念モデルという性質が強いと考えている。いわば収益性は悪いけど、企業コンセプトを示すために継続している事業だといえる。

そういうことが可能なのは無印良品という大資本のなせる業である。これはユニクロとて同様だ。

その昔、トヨタやホンダがF1レースに長年参戦し続けていたのと同様だろう。採算性や収益性よりも自社のスタンスをアピールする目的があった。

 

 

無印良品のリユース・リサイクル事業がビジネスとして成功したワケ

という記事が掲載されたが、ハッキリと言って「成功」とは程遠い状態だといえる。

なにせ10年もかかってやっと34店舗しか拡大できなかったわけである。

見出し自体は提灯クサイと言わざるを得ないのだが、内容的にはフラットな部分も多いのでそれなりに評価できる。

歩みをざっくりとまとめると以下のようになる。

開始当初のReMUJIは、回収した衣料品を藍色で染め直して全国で1店舗のみで販売する限定的な取り組みだったが、翌2016年には藍色に加えて黒色の染色を開始した。2021年に都市型旗艦店としてオープンした「MUJI 新宿」では、当時同社で最大のReMUJIの売り場を展開し、染色のカラーバリエーションを拡大。そのほか、染色ができない衣料を洗い直して古着として販売したり、ほつれや破れがあることでそれまで商品化の対象から外されていたアイテムにパッチワークなどの加工を施して再商品化するなど、取り組みを発展させてきた。

とある。

実際の出店ペースで言うと、着実に増やしたというよりは、スクラップ&ビルドが繰り返された結果であり、例えば、大阪・天王寺のハルカスウイング店は当初、リ・ムジのコーナーが設置されていたが、いつの間にか無くなっている。あまりにも売れ行きが悪すぎると撤退を余儀なくされるわけである。

 

 

リユース・リサイクルを謳う繊維事業や衣料品ブランドは数多くあるが、この記事でも触れられているように簡単ではない。リユース事業の難しさはユニクロ、無印良品の現状からも容易に察することができるが、リサイクルについても同様で、

その原因となっているのが、衣料品の構造の複雑さだ。リサイクルするためにはファスナーやボタンなどの付属品を取り除く必要があるほか、2種類以上の素材を複合した繊維を再び原料や繊維としてリサイクルすることは現代の技術では困難だという。

とまとめられている。

ここには書かれていないが、単一素材でリサイクルしても例えばリサイクルポリエステルの使用状況を見てもわかるように、「リサイクルポリエステル〇〇%使用(うち、リサイクルポリエステル〇〇%・ポリエステル〇〇%)」と必ず表記されている。それはとりもなおさず、リサイクルポリエステル100%では品質が悪すぎて着用に耐え得ないということを表している。リサイクルポリエステルを使用するためには必ず何10%かのバージンポリエステルを混ぜる必要が現時点ではあるということにほかならない。

リサイクルポリエステルを使用するためには、バージンポリエステルも必ず使わねばならないのが実態であり、それほどに繊維をリサイクルすることは現時点の技術力では難しいということになる。

 

 

 

そもそも、無印良品もユニクロも自社製品リユース事業が難しいのはコスト構造だけではないと考えている。

ユニクロも無印良品も冠たるブランドだが、その古着までを欲しくなるブランドかというと、当方はそこまで消費者は望んでいないと見ている。

ただでさえ、消費者はユニクロと無印良品の商品に埋もれて暮らしている。そこにさらに古着のユニクロ、無印良品を熱烈に欲しいと思う中毒者のような消費者がどれほどいるだろうか?当方はほとんどいないと見ている。

すでにユニクロ、無印良品に埋もれて暮らしているなら、安値の古着くらいは別ブランドを買いたいと思うのではないだろうか。全身ユニクロ、全身無印だとどう見てもファーストリテイリングの社員か良品計画の社員である。

 

社員コスプレがしたい人なんてさほどいないだろうから、古着になってまでもユニクロ、無印を買いたいとは多くの人は思わないだろうから、需要は大きくないと個人的には考えている。

需要があるとするなら、再販されていない過去のデザイナーコラボ品や過去のムジラボ品くらいではないだろうか。

気分転換に安い他ブランドの古着が欲しければ、それこそセカンドストリートで物色するという消費者がほとんどではないかと思っている。

 

 

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