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南充浩 オフィシャルブログ

阪急メンズ館のウルトラマンコラボ企画に思うこと

2025年6月6日 百貨店 0

アニメ、漫画、特撮とのコラボがぼちぼちと目につき始めたのが2010年代のこと。

実際のところは2000年代後半くらいから、キャラクターの顔をプリントしたTシャツが徐々に出始めていたらしい。

2010年代後半になると、あの新宿伊勢丹がルパン三世コラボやセーラームーンコラボを大々的に開催するようになり、時代は変わったと痛感した。

 

 

先日、大丸梅田店の5階がキャラクターフロアに変わったということをこのブログで書いた。

ターミナル駅隣接の百貨店5階フロアがキャラクターフロアに変わるのは前代未聞ではないかと思う。これはアニメ類(漫画・特撮含む)がいかにマス層に響くと思われているのかが伺いしれる。これまでファッション一辺倒だった百貨店ですら、ついにアニメ類の集客力を認めたということになる。

その一方で、大丸梅田は25年秋から縮小改装が始まる。ちょうど、このキャラクターフロアの目玉テナントであるガンダムベースも万博開幕に合わせて4月~10月までの期間限定オープンということで、改装前だから可能だったという可能性もある。

 

 

とはいえ、すでに3回、このガンダムベースに行ってみたが、今のところかなりの入場者数である。3回目に行った際が最も空いていたが、それでも並みのショップなら「盛況」といえるくらいの入場者数だったが、ほとんど待たずに入店できたという点で「空いていた」といえる。

そして、今月、阪急メンズ館が東京・大阪でウルトラマンシリーズとのコラボキャンペーンを開始した。

【阪急メンズ大阪】阪急メンズ&ウルトラマン コラボレーションキャンペーンを6月4日(水)よりスタート! | 株式会社阪急阪神百貨店のプレスリリース

記事を読んでもらえればわかるが、このコラボはいくつかの企画を期間内に行うという形式となっているが、特徴的なことはまず、全体を通して約1か月間と比較的長い期間行われるという点にある。

次に特徴的なことは、百貨店の「顔」ともいえる1階フロアも使って行われるという点にある。

 

 

大丸梅田に関しては、先述したように秋から始まる縮小改装までの半年間だからこそ5階を転用できたという可能性がある。また、大丸梅田は2011年に増床改装した際、上層階にポケモンセンター、トミカショップをテナント誘致していたという実績もある。

メインフロアではないが、10階以上の高層階にすでに2011年からポケモン、トミカというキャラクターショップをテナント誘致していたわけで、キャラクターに対して耐性が早くからあったことがわかる。

また、傘下の心斎橋パルコのオープンに際しては、ゴジラや少年ジャンプなどのキャラクターショップを多数テナント誘致しているから、その時点でキャラクターの有効性の高さを認識していたことがわかる。

 

 

そのような背景が相まって、大丸梅田5階のキャラクターフロア化につながったと推察できる。

一方、阪急百貨店としては今回の1か月間に及ぶウルトラマンコラボはかなり異例といえるのではないだろうか。阪急はこれまで「ファッション重視」の姿勢を崩さなかったし、特に「メンズ館」はその中でもさらにお高く止まったファッション重視という印象が一般的には強い。

男性の方が女性よりも一般的にはファッションに関する興味が低い割合が高く、実際に衣料品市場では女性服の方が男性服よりも売り上げ規模が大きい。

そういう男性市場だからこそ、ファッションコア層のこだわりは女性よりも強い部分があり、イケてるとかイケてないとかにやたらと五月蠅くてめんどくさい。

 

 

当方からすれば、そのこだわりと、「HGUCのリバイブZガンダム」と「HGUCのZガンダム0088版」との微細な差にこだわるガンプラファンは同類だと思える。

そういうメンズファッションコア層の一画を顧客とする阪急メンズ館が1階を使って1か月間もウルトラマンコラボ企画を行うというのは、驚くほかない。

阪急とすればメンズ館の顧客にウルトラマンは「ある程度響く」と判断したわけである。10年前までならこの判断は無かっただろう。昔なら「ウルトラマン?ダサっ」という反響だったのではないかと思える。

 

 

当方は百貨店に対して何の親近感も思い入れも無いが、百貨店ファンの業界人の多くは、「昔は家族で楽しめる場所だった」と懐かし気に語る。

家族で楽しめるということは、子供も楽しめるということになるが、ファッション一辺倒になって屋上遊園地も玩具売り場も書籍売り場も廃止した百貨店は到底子供が楽しめる場所ではなかった。

当方は子供の頃、玩具売り場・書籍売り場の無い商業施設に母親と同行するのは苦痛でたまらなかった。オバハンが延々と服を選んでいるのを待たされるのが退屈で仕方が無いからだ。それなら自宅でテレビを見ているか本でも読んでいた方が一億倍楽しかった。

その頃の苦痛を今でも鮮明に覚えているが、多くの子供は今も同様だろう。服を見るのが楽しくてたまらないという子供は少数派である。

そんな売り場に「子供も含めた家族」を呼び込もうとしても無駄でしかない。

 

 

逆に言うと、アニメ類とのコラボが大々的になり始めた今の百貨店の方がまだ子供連れでも楽しめる可能性が出てきたといえる。

ファッションコア層からすればアニメ類とのコラボなんてと感じるかもしれないが、「家族連れ誘致」という目的に対しては最も理にかなっているのではないかと思う。

アニメ類とのコラボを強化する方が、家族連れ客を呼び戻せる可能性が高いのではないだろうか。家族連れ客を誘致したい百貨店はアニメ類とのコラボ企画を充実強化すべきだろうと思っている。

 

 

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