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南充浩 オフィシャルブログ

コックスの増収増益の好調理由が興味深かったという話

2025年6月2日 企業研究 0

低価格帯ブランドの報道となると、だいたいがユニクロ、しまむら、ジーユー、無印良品、アダストリア、ワークマンあたりがほとんどでたまにハニーズ、ウィゴーあたりが加わり、別枠でシーインとTemuが取りざたされるという印象がある。

そんな中、先日、繊研新聞が珍しくコックスを取り上げていた。短い記事だが興味深い点があった。

コックス、品番絞り価格維持で増収増益 「これが一番勝てる戦略」 | 繊研新聞

である。

 

 

24年度までの3カ年計画を終えたコックス。7期続いていた赤字を22年度に黒字化、以降も増収増益を続け収益体質を固めた。21年5月に就任、3カ年計画の2周目に入る三宅英木社長は「これが一番勝てる戦略」として、「ポストユニクロのナンバーワンファミリーカジュアルブランドを目指す」と話す。

とある。

取り上げた理由は、決算が好調だからである。22年度に黒字化を達成して以来、増収増益を続けている。

 

ちなみにコックスの25年2月期連結決算は

売上高 153億200万円(対前年比2・8%増)

営業利益 12億6300万円(同5・4%増)

経常利益 13億2300万円(同5・2%

当期利益 11億9600万円(同4・8%増)

となっており、経常利益こそ減益となったが、それ以外は増益している。

特に本業の儲けを表す営業利益が増収を続けているのは、本業が好調だからである。

 

 

好調の要因が興味深い。

同社の「イッカ」や「イッカ・ザ・ビューティフルライフ・グリーンストア」は、この間の原価上昇のもとで価格を維持してきた。品番数をかつての4分の1程度に絞り込んで精度を高めるだけでなく、東南アジア生産の活用を広げて一品単価の上昇を避けてきた。そして、ユニクロを含め他社が引き上げてきたことから、メンズ、レディス、キッズが揃う業態の中でユニクロと「同じ価格帯で勝負ができる唯一の存在になった」という。このポジションを生かすものだ。

すでにSC内でユニクロに近接するような店は売り上げが良くなっているとしており、商品開発のほか接客力向上に力を注ぎ、ユニクロをベンチマークに成長を目指す。

 

とある。

ポイントとしては2つある。

1、品番数を4分の1程度に絞り込み

2、徹底的にユニクロをベンチマーク

である。

マーチャンダイジングの基本として「品番数を増やす危険」を説かれる。商品の選択肢はある程度は必要だが、選択肢を増やしすぎても消費者は選びにくいし、売る側は在庫管理がしにくくなる。

品番数がやたらと多いブランドは短期的には売れ行き好調になるかもしれないが、中長期的には過剰在庫で苦しむことがほとんどである。

 

 

「おもしろさ」だけを追求して品番数をやたらと広げるのはド素人の悪手でしかない。

品番数を絞って決算内容が悪化したならそれは間違いだが、品番数を絞って増収増益を連続達成しているのだから、その施策は正しかったといえる。

 

 

 

次に「徹底的なユニクロのベンチマーク」である。

衣料品業界はやたらと「クリエイションが~」と言う割には、売れ筋アイテムが現れると、あっさりとそれに追随してコピー商品を作るというのが通例となるダブルスタンダードな思考をする業界である。

実際に普段はお高く留まっている百貨店ブランドが裏では「ユニクロで大ヒットした商品」に追随するのは業界ではよく見かける。

ただ単に追随するだけでは意匠登録的にまずいと思うのか、クリエイションガーの表面上だけのちっぽけなプライドが許さないのか、またはその両方なのかわからないが、追随しつつも余計な物を差し込むことが多々ある。

 

 

その結果、想定ていたほどには売れないということがこれまで少なからずあった。

コックスの場合、堂々と「ユニクロをベンチマークして」と言えるほどストレートに追随出来ている点は評価に値する。

記事内では出店立地もユニクロの近接が増えているようだし、掲載されている商品画像を見ても、ユニクロっぽいトラッドカジュアルにまとめているし、何なら価格帯も合わせているので、消費者からすればユニクロの代替品となり得やすいといえる。

さらにいうと、増収増益とは言っても、売上高は153億円程度なので、そんなに超メジャーなブランドでもないから、ユニクロに飽きたときに気分転換に買うのにちょうど良いポジションだともいえる。それにユニ被りはあってもコックス被りはまず考えにくい。

 

 

さて、今後だが、現在の社長がやり手なのは21年に就任して以来、黒字化を達成して、増収増益を続けていることからもうかがえるが、中期経営計画も堅実である。

㈱コックス 25年2月期 決算発表補足資料

これを読むとわかるのだが、当初の計画で達成できたところと達成できなかったところの区別が明快である。

そして26年度から28年度の目標が毎年売上高5億円ずつの上乗せである。これは現在の市況や景況感と照らし合わせてみると非常に堅実な目標数値ではないかと思える。

メディアや投資家には、ブチあげるような目標立案が受けるのだろうが、現在の低価格ゾーンのアパレル市場を見ると5億円ずつの増収というのが現実的だと当方は思う。もっとも、この5億円増収も実現できない可能性は低くないのだが。

 

 

コックスの店舗数は会社概要によて現在176店舗だとわかる。ということは、1店舗当たりの平均売上高は1億円未満だということになる。

ユニクロをベンチマークとは言いつつも、売り上げ規模は全く違う。153億円規模しかないからこそ、今後の伸びしろはまだ期待できるのではないかと思う。

 

 

ご存知のようにコックスはイオンの子会社である。先日、イオンの某子会社の社長と雑談する機会をいただいたのだが、その社長は「人事異動は急だからあと何年今の会社に居られるのかわからない」と仰っていたが、恐らくは、コックスとて同様だろう。

就任直後に黒字化を達成し、以降増収増益を続けている敏腕の現社長もいつ何時異動になるのかわからない。コックスの最大の懸念材料は、現社長がいつ人事異動でいなくなるのかわからないという点ではないかと思えてならない。

 

 

 

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