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南充浩 オフィシャルブログ

グンゼの25年3月期決算はアパレル事業の収益性が悪化した

2025年5月15日 決算 1

昨日、グンゼの25年3月期決算が発表された。

売上高 1371億1700万円(前年同期比3・2%増)

営業利益 79億2100万円(同16・9%増)

経常利益 81億8000万円(同20・8%増)

当期利益 62億7900万円(同22・9%増)

と増収大幅増益だった。

決算内容としては申し分ない。

 

 

しかし、セグメント別の売上高と営業利益を見ると、感想は異なる。

グンゼには4つの事業部がある。プラスチックフィルムなどを製造販売する機能ソリューション、メディカル、我々が良く知るところのアパレル、そして不動産やスポーツクラブのライフクリエイトである。

それぞれの業績を見てみると。

機能ソリューション 売上高522億400万円(同6・6%増)

メディカル 売上高129億4900万円(同10・7%増)

アパレル 売上高607億8200万円(同1・1%増)

ライフクリエイト 売上高120億500万円(同6・4%減)

となっていてライフクリエイト以外は増収である。とはいえ、アパレルの伸び率は低い。

 

さらにそれぞれの営業利益を見てみると、

機能ソリューション 営業利益72億500万円 (同19・5%増)

メディカル 営業利益24億3000万円(同22・0%増)

アパレル 営業利益7億5300万円(同48・6%減

ライフクリエイト 営業利益9億8800万円(同18・7%増)

となっており、アパレル以外は大幅増収で、アパレルだけが大幅減益に終わっている。

 

 

祖業であり、世間的に最も知られた事業でありながら、アパレルは最も利益を稼げない事業になってしまっている。

売上高に関してはアパレルが半分近くを稼いでいるのに対して、営業利益ではアパレルの構成比はわずか7%にとどまり、ライフクリエイトよりも営業利益額が低い。ちなみにアパレルの営業利益率は1・2%に終わっている。

 

 

アパレルがここまで苦戦した理由は主に2つ挙げられている。

1、急速に円安傾向が進んだ

2、主販路だった量販店(総合スーパー)の不振

である。

グンゼのアパレル(肌着、靴下、パジャマなど)はこれまで、大手総合スーパーへの卸売りがメイン販路だった。百貨店販路はゼロではないがほとんどないに等しい。

そしてこれまで直営店はほとんど無く、現在出店を進めている最中である。たしかに総合スーパーの衣料品売り場の現状は厳しい。昨年前半にイトーヨーカドーが自社のカジュアル平場を廃止して、アダストリアに丸投げをして「ファウンドグッド」を導入したことは随分と話題になったが、この苦戦傾向はイトーヨーカドーに限ったことではなく、多くのスーパーに共通している。

スーパーの衣料品売り場苦戦の最大の要因は、ユニクロ、ジーユ―、しまむらなどの低価格専門店に客を奪われていることにある。

イトーヨーカドーも靴下や肌着の売り場は維持すると発表しているが、その靴下・肌着の需要も随分と、ユニクロ、ジーユ―、しまむらに奪われている。

 

 

また、円安についていえば、2022年のウクライナ戦争が始まるまでは120円台・130円台だったが、急速に円安が進み、昨年の一時期は160円台まで下がった。現在は145円前後で推移しているものの、海外生産比率の高いグンゼのアパレル製品は円安が進めば進むほど収益性は悪化する。

そして、アパレル事業の収益性が低いことは今回の25年3月期に限ったことではなく、ここ数年間はずっとその傾向が続いている。

 

 

そのため、業界内からはかねてから「グンゼはアパレル事業を廃止、大幅縮小するのではないか?」との憶測が聞こえ続けている。

たしかに「経営効率」だけを考えると、機能ソリューションとメディカルの2分野に特化した方が高効率である。売上高は今より半減近くになるが、利益率は大幅に上がる。

少ない手間で多くの利益が稼げるのだから、ドライな経営陣なら廃止ないしは大幅縮小を迷わないだろうと、当方でさえ思ってしまう。

 

 

今のところ、アパレル廃止という選択は無いらしく、アパレルの改革として

1、販路を見直し、ECを含めた直販の強化

2、ブランド数60%削減、SKU数25%削減

3,在庫削減

などを掲げている。

 

これらの施策は極めて妥当だといえる。

実際グンゼは肌着、靴下で極めてブランド数が多い。当方もすべてのブランド名を把握していない。不採算なブランドは廃止するのが当然だろう。

ブランドが減れば、当然SKUも在庫も減る。

 

 

ただ、商品面で言うなら、グンゼの肌着類はユニクロにも無い優れた物が少なからずある。

当方が愛用しているのがYGやインティーなどのカットオフ肌着である。袖口と首元が切りっぱなしになっている。それによって上にシャツやTシャツを着用しても響かない。

ユニクロもエアリズムで一時期カットオフを発売したものの、現在は続いていない。続いていないということは続けられない理由があったと考えるべきで、技術的、コスト的に厳しかったのだろうというのが個人的な意見である。

そんなわけで、愛用しているカットオフ肌着を継続してもらうためにもアパレル事業の収益性は何とか改善に成功してもらいたいと思う今日この頃である。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2025/05/15(木) 1:29 PM

    私もグンゼのカットオフTシャツをYシャツとか着る時に着てますが、家にある4枚は全部違う種類ですw
    色は、肌色のやつですが、材質の割合が微妙に違ってたり、脇の下に汗取りパッドが付いてたり
    首周りがUだったりVだったり。
    Amazonでしか買ったことはないんですが、検索すると似たようなヤツが色々出てきて、どれがどういうものなのか良く分かりません。カットオフ以外でも大量に品番があって、普通の人は絶対に把握できそうにないです。
    あ、あとカットオフのも肌色、ピンク色が微妙に違うのが何種類もあったりしてカオス。

    商品開発してる人は何を考えているんですかね?w

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