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南充浩 オフィシャルブログ

大丸梅田店の生き残り策はガンダムベースとキャラクターフロアの常設化しか残されていないのではないか?

2025年5月13日 売り場探訪 0

先週金曜日の夕方、梅田で夕方に飲み会があったので、少し早めに梅田に到着し、大丸梅田店5階のガンダムベースを再び訪れた。

到着したのは17時20分ごろである。

平日の夕方ということと、オープンしてからすでに1カ月弱が経過しているということもあり、前回訪れたときほどには混雑していなかったが、それでもまずまずの賑わいだった。

今回もLineで入場整理券を取ったが、待ち時間は5分くらいで入場できた。相変わらず10分おきくらいに20人ずつ入店させるという仕組みである。

夕方18時を過ぎると恐らく、仕事帰りの人々が大丸梅田店に足を伸ばすので、ビル全体が少し賑わうと思われるのだが、あいにく仕事終わり前の17時20分だったので、大丸梅田店全体としては閑散としていたが5階はガンダムベースを中心にそこそこの入店客があった。ガンダムベース内には中国系だけでなく、今回は白人系の旅行者も複数入場してガンプラの箱を抱えていたのだから、ガンプラ人気恐るべしである。

 

 

 

「売りやすい物を売る」という視点からすると、大丸梅田店が5階にガンダムベースを中心としたキャラクターグッズフロアを作ったのは正解だといえる。

以前にも書いたが、都心ターミナル百貨店の5階にキャラクターフロアを作るのは異例中の異例である。5階はファッションフロアと相場が決まっている。

そこで大丸梅田店5階は以前は何のフロアだったのか気になったので過去の記事を調べてみた。2011年に増床リニューアルオープンしており、その際、5階がキャラクターフロアでなかったことは内見会にも参加したので記憶している。

 

 

調べてみると、直近では大丸梅田店5階はフェムテック売り場だった。このフェムテック売り場は2019年11月に開設され、2025年1月に閉鎖されている。5年間の営業活動だったわけで、恐らく売れ行きは芳しくなかったのだと推測される。

大丸梅田店のフェムテック売り場「ミチカケ」営業終了していた オープンから5年

 

大丸松坂屋百貨店の大丸梅田店は、大阪・関西万博に向けてインバウンドの取り込みも念頭に、5階フロアの段階的な改装を進めている。それに伴い1月14日、フェムテック売り場「ミチカケ」の営業を終了した。

「ミチカケ」は2019年11月に営業をスタート。“女性のリズムに寄り添う”をコンセプトに、約900㎡の売り場に生理グッズやセクシャルグッズなどを集積・販売した。

(中略)

ただ、それから消費者の価値観やニーズが変化する中で、「“女性のための”という形でターゲットを限定する売り場のあり方、コンセプトも含めて時代に合わせた再検討が必要」との考えの下、営業終了を決めた。現在のところは、別の形態での再スタートやフェムテック商品の別の売り場の取り扱いなどの計画はないという。

とある。

「価値観やニーズが云々」と閉鎖理由が述べられているが、間にコロナ自粛期が挟まっていたとはいえ、たったの5年間でフロア全体が無くなってしまうのだから、価値観云々の問題ではなく、売れ行きが悪かったと考えた方が適切だろう。

この記事が掲載されたのが25年2月だから、その2カ月後にはキャラクターフロアになって、ガンダムベースがオープンするとはこの時点でもまだ秘匿されており、メディア側は予想さえしていなかっただろう。

 

 

 

今回のキャラクターフロアの目玉であるガンダムベースは4月にオープンして、万博が終了する10月に閉店となる。半年限定のポップアップという位置付けになっている。

オープン後1か月しか経過していないが、今のところは通常の婦人服売り場よりははるかに集客ができている。おまけに一人で複数のガンプラを買う客ばかりなのだから、客単価も相当に高いと思われる。

ファッションという分野にコダワリが無い経営者なら、このままガンダムベースを含むキャラクターフロアを常設化した方が経営効率が高いと判断するだろう。

 

 

とはいえ、仮にも百貨店の大丸梅田店がなぜ5階をキャラクターフロアに改装したのか。例えばもっと上の階に持って行っても構わないわけである。なにせ、13回にはポケモンセンター、トミカショップがリニューアルオープン時からあるわけでその前後の階にした方が来店客の回遊利便性も向上する。

しかし、それをしなかったということは、フェムテック売り場の業績が他の階よりもよほど厳しかったのではないかと個人的に推測している。

さらに、大丸梅田店は25年秋から売り場面積の縮小を打ち出しており、このプランも関係していたのではないだろうか。

大丸梅田店、売り場面積4割減 計6フロアから退く

大丸松坂屋百貨店は、JR大阪駅直結の大丸梅田店の売り場面積を4割縮小する。入居するサウスゲートビルディングの大規模改装に伴うもの。現在、地下2階から地上15階までの6万4000平方メートルで営業しているが、地上10〜15階から退く。2025年秋から段階的に工事に着手し、29年のグランドオープンを予定する。

とある。

25年秋といえば、ガンダムベースの営業が終了するのが25年10月である。さらにいうと秋から改装するなら、たった半年間のためにフロア構成を大きく入れ替えるよりは、例え百貨店として不格好であっても空いた5階に詰め込んだ方が効率的である。

 

 

 

2011年に増床リニューアルオープンしたが、25年秋からの縮小によってリニューアル前の広さに戻る。14年かけて元の広さに戻るのだから、増床リニューアルは単なる徒労に終わったというほかない。

1983年に開業した大丸梅田店は、2011年に売り場面積を1.6倍に増床して現在の姿になった。しかし梅田地区は阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)や阪神梅田本店に加えて、11年開業のルクア大阪、13年開業のグランフロント大阪、今年開業したイノゲート大阪、JPタワー大阪(キッテ大阪)など複合施設が増え続け、集客競争が激化していた。大丸松坂屋の主要店舗の売上高がコロナ前の20年2月期を上回る中、大丸梅田店の25年2月期の予想は590億円(20年2月期は643億円)とふるわない。11年の増床前に近い面積に戻し、再出発することを決めた。

とのことだが、縮小理由は売り上げ不振である。増床しても売上高は増えなかったばかりか、直近だと5年前よりも売上高が減少しているのだから不振ぶりがすさまじい。

大丸梅田店は阪神百貨店梅田本店よりも売上高は低いのである。

 

 

縮小リニューアルのフロアプランはまだ発表されていないが、現在の5階の賑わいぶりを見ていると、このキャラクターフロアの階がどこになるのかわからないが、残すのではないかと思う。ポケモンセンターやトミカショップも客入りは堅調だから、合体させて同一フロアにするか、前後のフロアにまとめるかするのではないかと思う。

恐らく、大丸梅田側はキャラクターフロア、特にガンダムベースは常設化したいだろう。ただ、バンダイナムコ側の意向はわからない。バンダイナムコ側が合意すれば、秋以降の改装でガンダムベースは常設化するのではないかと思う。

通常の衣料品中心のフロア構成では阪急うめだ本店はおろか、阪神百貨店にも及ばないのだから、大丸梅田は割り切ってキャラクター系に特化した駅ビルになれば良いと思う。その方が消費者としても使い分けができるし、他の百貨店・駅ビルとの差別化も果たされるだろうと思う。

 

 

 

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