
フォロワー数・チャンネル登録者数の多さと知名度の高さは必ずしも比例しないという話
2025年5月2日 トレンド 0
業界のニュースの一つとして「人気インフルエンサー〇〇氏とコラボ、契約」というものがある。
ただ、このインフルエンサー〇〇氏というのを当方はだいたいが知らない。現在のインフルエンサーの傾向としてはYouTubeでチャンネル登録者数〇万人、インスタグラムのフォロワー数〇万というものが多い。
恐らく、消費者に直接働きかけやすいSNSとして認定されているのがインスタグラムとYouTubeなのだと思われる。
ただ、この「人気インフルエンサー」というのが、当方や当方の上世代が想像する「人気」とはちょっと異なるというのが実状である。
当方やその上の世代の「人気〇〇」というと、タレントや俳優、歌手で、それこそ国民全体に認知されているというケースが多かった。
現在でもそのような「国民的知名度」を誇るタレントや俳優、歌手などはいるが、その人数は昔に比べてかなり減ったと体感している。
で、人気インフルエンサーになるとフォロワー数やチャンネル登録者数の多さと知名度の高さが全く比例しないということがまま見受けられる。
2020年春のコロナ自粛によって、YouTubeを視聴する人が圧倒的に増えたとされている。当方もその一人である。現在は自宅にいる時はほとんどYouTubeを視聴して過ごしている。
テレビ番組は離婚した12年前からほとんど観なくなっている。理由はバラエティー番組が嫌いだからである。ある意味においてYouTube漬けの当方でさえ、人気ユーチューバー〇〇氏をほとんど知らない。理由は、YouTubeからのお勧めに全く挙がってこないからである。
これはインスタグラムでも同様で、フォロワー数〇〇万の有名(とされる)インスタグラマーの投稿も当方のインスタグラムにはほとんど挙がってこない。
なので、当方が彼らの存在や名前を知るのはだいたいがスキャンダル報道によってである。
スキャンダルが報道されて初めて「へー、こんなインフルエンサーもいたのか」と知るわけである。
人気ユーチューバーの走りとされているヒカキン氏くらいはお名前と顔は存じ上げている。ただ、彼のYouTube番組は見たことが無い。YouTubeからのお勧めにも挙がってきたことが無い。
だから、顔とお名前は存じ上げているものの、どんな内容の番組なのかは全く知らない。そして、別段知りたいとも思わないし、知らねばならないとも思わない。
先日、たしか2月ごろだったと記憶しているが、八潮市の陥没事故に対しての発言によって人気ユーチューバー兄妹が炎上したという事件があった。
実はこの「人気ユーチューバー兄妹」の存在を当方はこの炎上事件によって初めて知った。この事件が無ければ当方は今でもこの「人気ユーチューバー兄妹」を名前はおろか、存在すら知らないままだったと確信している。
人気インスタグラマーも同様で、「インフルエンサー〇〇氏のインスタグラムに大反響」と報道されて初めてその投稿を見てみるというのが常態化している。
そのニュースが報道されるまでは、その投稿の存在すら知らないし、見たこともない。
先日、香川県在住の人が関西に出張に来られたので久しぶりにお会いした。
その人がお住いの香川県内の町で、町おこしとして人気ユーチューバー〇〇氏を招いてイベントか何かを開催したことがあったという。
その人気ユーチューバー〇〇氏のお名前をその方のお話で当方も初めて知ったのだが、地元の人々も同様だったという。たしかチャンネル登録者数は30万人くらいだったはずだ。
チャンネル登録者数30万といえばかなりの人数で、地方の県庁所在地市の人口と同じくらいである。
人数だけで考えるとすさまじいが、その知名度は本人や周囲が想像しているよりもはるかに低いことが多い。
実際、その町の住人の多くは「あの人だれ?」という反応でそのイベントはひどくシラけたまま終わったそうである。多分、当方がその場にいても「あの人だれ?」と口走っていたことだろう。
インスタグラムも同様で、ブランドの展示会にお邪魔した際、そこにたまたま人気インスタグラマーと呼ばれる人もたまたま来場していることがある。しかし、ブランド担当者から「〇〇さんです」と教えてもらっても、当方には全く予備知識が無いというケースは珍しくない。
先の町おこしイベントもそうだが、チャンネル登録者数、フォロワー数だけでインフルエンサーを選んでも全く知られていない、興味を持たれないということが少なからずある。
そのため、最近は「契約するインフルエンサーをフォロワー数、チャンネル登録者数の多さだけを判断基準として選んではいけない」と言われるようになったわけである。
YouTubeにせよ、インスタグラムにせよ、アルゴリズムによって当方も含めた視聴者に「お勧め」を提示するという仕組みになっている。
当方なら、普段観ている番組によってプロ野球OB、ガンプラ、経済解説、腰痛緩和ストレッチ、くらいしか提示されない。ヒカキン氏や炎上した〇〇兄妹の番組は一度も提示されたことが無い。コムどっとしかり、フィッシャーズしかり、である。辛うじて名前だけは存じ上げているものの、番組を観たことは一度も無いし、お勧めとして挙がってきたこともない。
有名人を起用してプロモーションするのは昔からの常套手段ではあるが、SNS時代になって、有名人の細分化がより進んだといえる。よほどの超大物を起用しない限りは、特定の嗜好を持つ人々のみに刺さるという結果になりやすい。効率的ともいえるが、広く全体的に知らしめたいという目的をかなえることは安易な起用では成し遂げられなくなった。起用する企業側・ブランド側もインフルエンサーに対する一定の知識を持っておくことが自衛につながる。