
カットソー類の着用比率が増えているという話
2025年5月1日 トレンド 0
早くも4月が終わり、2025年も3分の1が過ぎてしまった。
こちらは特段なんの進歩もなく、ただひたすらに年齢を重ねているわけだが、それにしても今年の4月は不安定な気温だった。
史上最速で夏日、真夏日を観測した日があった反面、半ば以降に激しい寒気が襲来して季節外れの涼しさ(寒さ)が続いた日もあった。
直近で言うなら、4月28日・29日である。
関西では午後から強い雨が降り気温が下がり、夜は肌寒くなった。恐らく低気圧の影響だろうと思われるが、翌日29日は晴れたものの、この時期としては異例の涼しさとなった。
5月1日は昼間は夏日になるものの、2日は午前中の雨で涼しくなると予報されている。その一方、3日は夏日にまで気温が上がるという具合に、寒暖差が激しい。
近年はゴールデンウィークといえば、夏日・真夏日の暑さが続くことが多かったため、今年は異例といえる。
4月と5月頭だけで予想するのは早計に過ぎるが、この気温の変化を見ていると、今夏は当初の予報通りに猛暑になるのか疑わしくなってくる。以前にも書いたが、その後の気象庁が発表したエルニーニョ監視速報では「平年並み」の予報が最も高い60%の確率となっていて、もしかすると、暑いことは暑いが、猛暑ではなく平年並みの夏になるのではないかとも思えてくる。
ただ、この気温差なので羽織タイプの服が重宝されやすい。
当方はよほどの夏日・真夏日でない限り、着脱可能な薄手の羽織りタイプの服を用意していることがほとんどになった。
当方が愛用する薄手の羽織り服は
1、ナイロンやポリエステルの一重の軽量アウター
2、綿やポリエステルの薄手のカーディガン
の2タイプとなっている。
いわゆる、綿100%とか綿高混率の中肉以上の布帛アウターは滅多に着用しなくなった。例えていうならジージャンタイプ、カバーオールタイプの羽織り服である。
それらは現在、絶賛タンスの肥やし中である。
で、長袖Tシャツや薄手の裏毛スエット類(フーディー)、薄手のダンボールニット類(フーディー含む)をベースにして、寒ければその上から羽織り、暑ければ脱いでリュックに収納するという形式を採っている。
当方が薄手の羽織りとして合繊アウターかカーディガンを愛用し、ジージャン類をタンスの肥やしとする理由は、適当にリュックに収納してもシワになりにくいことがある。また、ジージャン類に比べるとはるかに軽量であるということもある。
逆にジージャン系のアウターも着用することが減ったし、インナーとしては綿主体のシャツを着用することも減った。
繊研新聞に先日、こんなコラムが掲載された。
暑すぎる夏と秋、それほど寒くない初冬。今年の下半期もそんな気候が予想されている。昨年の秋冬は肉厚のセーターや量感のあるダウンジャケットから遠ざかってしまった。おしゃれ好きが本領発揮するのは、服を重ねて仕上げる冬のスタイリング。それがあまり見られなくなったのは少々寂しい。
昨年冬のインナーは、ほとんど半袖Tシャツで事足りた。その上にセーターを重ね、軽いアウターを羽織っていた。あったかインナーが必要になったのは1月に入ってから。3月は少しずつ春の装いを取り入れるようになったので、完全防寒の時期はほぼ2カ月間だった。
そんな気候を考慮して、25~26年秋冬は長く着られるアイテムを充実するブランドが増えている。立ち上がりは透け感のあるブラウス。軽いハイゲージセーターも需要が高い。「求められるのは、10カ月間着られる便利アイテム」という。
とある。
「ブラウス」とあるから、書いた方は女性なのだろうと思われる。
メンズとは着装はやや異なるが、印象的なのは「インナーはほとんどTシャツ」という箇所である。年老いたメンズたる当方の着装を思い返してみても、インナーはほとんどが半袖か長袖のTシャツ類になっている。その上から、天候の不安定な春には、軽量アウターか軽量カーディガンを羽織って調節している。
メンズの場合は布帛シャツをアウター代わりに着用することもあるが、インナーとして布帛シャツを着用することは減ったと感じる。このコラムも
秋のアウターは「シャツ以上ジャケット以下」。アウターは必要だけれど、分厚いものは時期が限られる。重ね着次第で、いかようにも着られる服が重宝するというわけだ。
と続いているので、シャツジャケット的な羽織り服が必要不可欠とされていることがわかる。
実際、製造加工段階でも「全般的にカットソー類(裏毛含む)は好調」と伝えられる一方で、「羽織り用の布帛は厳しい。特に厚手布帛は厳しい」との声が聞こえてくる。
カットソー類はインナーとしては布帛よりも汗を吸水しやすい。さらに洗濯をしてもシワになりにくい。この二点を利便性と捉える人が当方も含めて多いのだろうと思われる。寒ければその上から厚手のニットを着用すれば保温性も高い。
本来は布帛の独壇場だったメンズビジネススタイルにおいても、ジャージー素材のスーツやインナーTシャツ姿が普及している。またインナー用としてジャージードレスシャツも随分と広まっている。
気候的な要因と生活スタイルの要因の両方を合わせて考えると、今後ますますカットソー類(いわゆる編み物)の需要は増えると考えられる。一方、布帛の需要が伸びる要素は、スポーツ的なアイテムを除いてあまり見当たらない。布帛生地の製造加工業者の置かれた状況が好転することは考えにくい。