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南充浩 オフィシャルブログ

業界に染まり切っていないからライト層の取り込みが成功しているのではないか?

2025年4月24日 企業研究 1

古着ブームと銘打った取材であまり触れられないのがゲオの「セカンドストリート」で、個人的には下北沢の個人経営の古着ショップを取材・特集するよりもはるかにその動向はマス層を左右すると思っている。

そんなことを書こうとしていたら、偶然にこの記事がアップされたのでついでにご紹介したい。

「セカンドストリート」、国内外1000店舗突破 シンガポールや香港に初進出で海外展開を加速

「セカンドストリート」は、2016年に500店舗、18年に600店舗、22年に800店舗の出店を達成。海外では25年3月末時点で、アメリカに47店舗、台湾に39店舗、マレーシアでは23店舗、タイは4店舗出店しており、各国のニーズに合わせた店舗展開を進めている。

とある。

個人的には海外市場には微塵も興味が無いので国内について見てみると、22年に800店舗達成で、ゲオの公式サイトによると、24年3月は838店舗となっていて、25年3月は計画で898店舗となっている。

この計画が達成されたのかどうかは不明だが、公式サイトには「850店舗以上」と明言されているから、24年3月時点での店舗数よりも増加していることは間違いないだろう。

 

 

 

850店舗というと現時点でのユニクロの国内店舗数よりも多い。予定通りの898店舗を達成しているとするなら、ユニクロよりも100店舗多いことになる。

値ごろな価格で古着を買いたいというライトなマス層需要のほとんどがセカンドストリートが獲得しているのではないかと考えられる。

正規品において店舗数の多さでは、しまむらが圧倒的だが、立地は郊外・地方・ロードサイドに偏っていて都心は弱い。一方、セカンドストリートは郊外から都心まで満遍なく出店しており、ユニクロに近い形だといえる。

 

 

店舗数の多さと出店立地の満遍なさから考えると、ライトなマス層の古着需要はほぼセカンドストリートが獲得し切ったのではないかと個人的には思えてくる。

いくら環境ガー、古着ブームガーとメディアとイシキタカイ系が叫んだところで、古着需要は新品需要に比べて圧倒的に少ない。その中でセカンドストリートが全国850店舗前後を展開しているのだから、その占有率は相当に高いと考えるべきだろう。

 

 

環境ガーと言う点においてはもう一つの注目ジャンルが不良在庫品を引き取って販売するオフプライスストアだが、こちらも市場全体は小ぶりだが、その中においてはゲオの「ラックラック」が現在29店舗と他社よりも抜きん出て店舗数を伸ばしている。次点がパルの「ローカスト」の17店舗である。

リユースとオフプライスという2分野において、ゲオが1位を占めており、リユース市場はセカンドストリートが国内覇権を握ったと言っても過言ではなく、オフプライス市場は今後どのようになるのかはまだ不透明だが、ラックラックが最終的には国内覇権を握るのではないかと個人的には考えている。

 

 

今更、新品衣料品市場にゲオグループが参入する可能性は低いのではないかと見ているが、すでに古着は独走態勢に入っており、オフプライスでも業界トップになる可能性が高いとなると、その存在感はかなり大きくなる。

ゲオの2分野での躍進の原因は様々あるだろうが、個人的には「良い意味でも悪い意味でもファッション業界に毒されていない」ことが最大の要因ではないかと見ている。

業界に染まった人だとどうしても「高額ブランド」「ハイブランド」を扱いたがるし、自ブランドや自店もそこを最終目標地点として目指すことが多い。

しかし、前回でも触れたように「ラックラック」では高単価過ぎる物は地方では売れにくいという分析に基づいて「ハイブランド・デザイナーズブランドの取り扱いをやめた」のである。

これは業界に染まった人からすると驚きの決断だろう。

しかし、その結果売れ行きが伸びて店舗数が増えているのだから、ゲオが設定したターゲット層には合っているということになり、今のライトなマス層の志向と合致しているといえる。

 

 

最近、メディアで取り上げられているゲオの新品服にもその点が感じられる。

「ゲオのスウェット 658円」の衝撃 ペラペラなのに、なぜ「週に1万着」も売れるのか:週末前に「へえ」な話(1/4 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン

2024年10月に発売したところ、週1万着ペースで売れている。2月中旬に25万着を突破し、3月には30万着の大台に乗りそうだという。

上下のセットで「1098円」。「さまざまな商品が値上げしているのに、スウェットが1100円ほど? しかも上下で?」と驚かれたかもしれないが、実は春が近づいていることもあって、現在は値下げをしている。メンズは768円、レディースは658円だ。

とある。定価で上下セット1098円のスエットセットを発売したところ、毎週1万着ペースで売れる大ヒットとなっている。

 

 

理由はこの記事も含めて他記事でも触れられているが、

1、圧倒的な安さ

2、コスト削減重視であえて「ペラペラの生地」を採用した

2点にある。

圧倒的安さというのは自然と目を引く。ジーユーですら上下セットが1990円くらいになっているご時世において1098円という価格は魅力である。

そして、自宅専用と割り切ることでペラペラの生地を採用することでコストを下げている。

 

 

ユニクロ、ジーユ―でさえ通常のアパレルは本来はルームウェアや寝間着でしか利用されないと思われるスエット上下にすら「ワンマイル機能」を持たせようとする。たしかにその利便性はあるが、そのためには相応の生地を採用せねばならない。しかし「自宅専用」と限定すれば、生地がペラペラだろうと、他記事で触れられているように生地が薄くて乳首が目立とうが構わないわけである。

SNSで話題、ゲオ「上下セット1098円スウェット」を“外出時に着られない”理由。「凹凸が浮きぼりに…」(週刊SPA!) – Yahoo!ニュース

たとえばライトグレーは、「乳首の凹凸」が浮きぼりになってしまいます。また同時に、股間の“モッコリ感”も気になりました。家族同居の場合、ツッコミの嵐が予想されるでしょう。

とある。

しかし、この割り切り方はファッション業界に染まった人や組織では実現できなかっただろう。

 

 

現在、ライト層の取り込みを模索しているアパレルやショップは多い。ライト層が取り込めないとすべての分野は先鋭マニア化して衰退する場合がほとんどである。ゲオのライト層の取り込み方は、それを模索しているブランドやショップにとっては大いに参考になるのではないかと思っている次第である。

 

 

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 comment
  • 元古着屋 より: 2025/04/28(月) 11:28 PM

    セカストは各店舗がセカストECにアップすると自動的にYahooや楽天にもアップされます。で、古着の強みで(同商品が少ない、あってもコンディションが違うので)店舗ごとにカニバらないことが大きいかと。某ワークマンのように直営もFCも関係ないし。

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