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南充浩 オフィシャルブログ

オジサン・オバサンの利用者が増えると若者の関心は次に移るという話

2025年4月25日 トレンド 0

一時期に比べるとジーンズを着用している若い男女が増えたといわれる。

実際に2020年代に入ってから、それ以前の2010年代半ばと比べると増えたと感じる。2010年代半ばの若い男女はスラックスやジョガーパンツを穿いていることが多く、ジーンズは50代以上の中高年男性が穿いていることが多かった。

そこから5年以上が経過して、2020年代の若い男女はジーンズを穿くことが増えた。

 

 

これが昔からの「ジーンズブーム」「ジーンズ復活」とは異なり、核となるようなブランドが無い。また核となるようなデザインも無い。ワイド、レギュラー、細身、スラックスタイプとなんでもござれである。

また、ブランドも多様で低価格ブランドから古着、高価格ブランドまで何でもありで、ジーンズ復活というよりもデニム生地で作られたパンツに注目が集まっているというのが実態ではないかと思う。

デニム生地パンツが若い男女に再注目された理由は様々あるだろうが、1つには、2010年代半ばのスラックス人気から中高年世代がスラックスを穿き始めたため、20年代の若者にとってスラックスはオジサンズボンになってしまったからではないか、というものが挙げられる。

中高年世代が若者トレンドを取り入れると、その世代の若者は次のアイテムへ移行する。これは今も昔も変わらないが、昔の方がその動きは顕著だっただろう。

 

 

2010年代後半に人気絶頂だったハイテクスニーカーの人気が沈静化して、2020年代前半から若い男女はローファーやワークブーツと言ったクラシカルな靴に先端トレンドが移ったのも、ハイテクスニーカーを中高年層が履き始めたことが理由の1つなのかもしれない。

そんな話がこのコラムでも書かれている。

《視点》フーディーとインスタ | 繊研新聞

 「今は若者にジップアップの方が断然人気」。商品の売れ行きなどを毎月取材しているセレクト店の店長が、メンズのパーカの動向を教えてくれた。

少し前まではプルオーバー、いわゆるフーディーが人気だったので、変わった理由が気になった。どうやら大人が着用するシーンがいろんな形で増え、若者からすると「おじさんアイテム」になってしまったようだ。その前にハーフジップがヒットしたことも、ジップアップ浮上要因の一つだといわれている。

 

とのことで、論争が起きるほどに普及したフーディー人気に陰りが見え始めているという話である。

以前にも書いたが、フーディーというアイテムは当方が大学生の頃、30年前に若者に大流行していた。その後、2000年前後くらいから完全に売り場から姿を消してしまった。

2016年に連続テレビドラマ「スペシャリスト」で主演の草彅剛氏が毎回衣装として着用していたのを見て、10数年ぶりのなつかしさを感じ、再流行し始めているのを実感した。

じゃあ、空白の10数年間はみんなは何を着ていたのか?というと、フルジップアップパーカである。平たく言うと前開きのスエットパーカで、老若男女問わずに普及した。

 

 

現在の売り場はどうかというと、ユニクロやジーユーを見ると両方売っている。ただ、売り場構成的に多いのはフーディーでフルジップパーカは少なめになっている。

マストレンドは明らかにフーディーといえる。

20年のコロナ自粛を契機にYouTube番組をよく見るようになった。以前から書いているように現在50歳~70歳くらいまでの往年のプロ野球名選手のチャンネルをよく見ている。

世間的にいうと初老とジジイである。この方々も結構な頻度でフーディーを着て出演されている。もうそうなるとフーディーは完全にオッサン・ジジイも着る服だといえる。

一昨日、ついに55歳を迎えてすでにアラフィフでもなくなってしまった当方もこの5年間くらいでやたらと手持ちのフーディーが増えてしまったため、2024年下半期以降はフーディーを買っていない。

手持ち枚数が増えすぎたこともあるし、当方ですらもう飽きている。

 

 

利便性の点で言うなら、当方はフルジップパーカの方が好きである。

最大の利点は着脱のしやすさにある。外出しているときにフーディーは脱ぎにくい。特に「ちょっと暑くなった」からと言って簡単に脱げる物ではない。その点、フルジップは圧倒的に着脱が楽で、外出時でも簡単に着脱できる。

そのため、当方は絶対に汗をかかないと思われる状況と季節しかフーディーを着用して外出しない。冬場でも鍋料理を食べるような飲み会にはフーディーを着用して出かけない。鍋料理を食べると必ず暑くなって汗をかく。そのためほとんどの場合は上に着ている物を脱ぐ。その際、フーディーでは脱ぐのが不便なので、フルジップパーカを着用して会場に向かう。銭湯しかり病院しかりである。

 

 

2025年下半期以降は揺り戻しがきてフルジップパーカが増えるのではないだろうか。若者は「オジサン服」として敬遠し始めた上に、当方のような老人でさえ、フーディーには飽き飽きしている。(捨てずに着るけど)

となると、目新しいフルジップパーカの方が今後しばらくは注目を集めるだろう。

 

 

このコラムによるとインスタもやや陰りが見える部分があるという。

そういえば、ある小売業トップが、「大人向けのレディスブランドでインスタグラムを活用した動画配信が浸透してきた」と話していた。ファンを楽しませ、売り上げが大きく伸長している。

半面、「同じ手法で先行していた若い客層向けブランドは、そのやり方では以前ほどの勢いが出なくなってきた」そうだ。「インスタグラムの次というものはまだ見えていない」とも。

 

これもフーディーと同様で、オジサン服ならぬ「オバサンSNS」化し始めているので若い女性が少し逃げ始めているという部分が大きいと考えられる。

 

 

とは言っても、2010年代前半までのようにマストレンド化が終了しても完全に売り場から消えたり、着用者が消滅したりということはないだろう。

スキニーが今でも一定数残っているように多様化・多極化しているからフーディーも必ず一定数残るだろう。

とはいえ、先端層が火を点けて若者が追随して、オジサン・オバサンが取り入れ始めたら、先端層と若者は次のトレンドに移行するというサイクルは昔から変わらないし今後も変わらない。しかし、前時代のトレンドが完全消滅せずに一定数残り続けるという点は、供給側にとって以前よりも「読みにくい」時代になったといえる。

 

 

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