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南充浩 オフィシャルブログ

今夏はエルニーニョもラニーニャも発生しない可能性が高いという話

2025年4月18日 天候・気候 1

気温というのは、一つの季節の中でも高い日と低い日があるが、近年は同じ月内での寒暖の差が激しい。

4月も13日~15日の大阪は雨も降って初冬を思わせる寒さだったが、17日からいきなり最高気温25度越えとなった。この高温は19日まで続き、20日は一旦落ち着くものの、21日・22日はまた最高気温25度越えの夏日と予想されている。テレビの天気予報でも伝えていたが、17日は早朝の気温と日中の最高気温の温度差は20度にも上ったというから、体調にも大きな影響を与える。

4月17日の時点で最高気温25度~27度という暑さは、この先が思いやられるが、23日以降は平年並みの22度前後で推移するという予報がでていて、再び夏日になるのは5月の連休からになるようだ。

 

 

さて、衣料品は一部の先端層向け商品を除くと売れ行きは体感気温に大きく左右される。そしてその左右されるっ度合が年々強くなっている。

余談だが「夏でもダウンが売り切れる」と某コンサルがドヤっていたカナダグースだが、今月25日に日本初のアウトレット店をオープンする。カナダグースを担当したわけでもなく、買い物として真夏に行列に並んだだけの人がなぜドヤるのかさっぱり理解できなかったのだが。

 

カナダグース、日本初のアウトレットストアが誕生 | 株式会社カナダグースジャパンのプレスリリース

カナダグースは、2025年4月25日(金)、神戸三田プレミアム・アウトレットに日本初のアウトレットストアをオープンします。

とのことで、再上陸した当初のビジネス規模は小さかったので(販売枚数は少なかったので)、真夏に10何万円のダウンを予約するために並ぶような少数の奇特な人達へ売りさばけたが、それから年月が過ぎてビジネス規模が拡大すると、そんな早期予約をしたいという人たちだけでは用意した数量をさばききれなくなり、アウトレット店を設置せざるを得なくなったといえる。

正規店頭販売価格は下げていないだろうけど、販売数量が多くなれば、ある程度のコモディティ化が進み、体感気温に左右される部分が出てくるということがわかる。

 

 

春夏秋冬どれもが衣料品業界にとっては重要であるが、その中でもとりわけ注視されているのが、夏の暑さと長さだろう。

暑ければ夏物が売れやすいが、残暑が長引けば秋物・冬物の売れ行きが鈍る。近年連続して猛暑が続いているが、残暑の長期化も顕著である。2024年は11月17日まで残暑が続き、10月の販売状況は各社ともに秋物が不振で大苦戦したことは記憶に新しい。

さて、すでに今夏については気象庁は「猛暑の可能性」を予測しており、そのことはこのブログでも以前に触れた。

25年夏も「猛暑」という長期予報

そして、この予報は今でも変わっていないと思われるが、その後に気象庁はまた新たに発表した。

定期的に発表される「エルニーニョ監視速報」というものだが、これによると

現在、エルニーニョもラニーニャも発生していない平常の常態で、今夏も平常の状態が続く可能性が60%

とのことである。

気象庁 | エルニーニョ監視速報

 

このサイトのグラフを見てもらえば分かるが、5月は100%平常、6月は平常の確率が80%となっている。7月、8月ともに平常の確率が60%となっており、エルニーニョとラニーニャの可能性はともに20%ずつとなっており、この予報が的中すると「平年並み」となる可能性が高いと考えられる。

エルニーニョもラニーニャも発生しないとなると、夏の気温も「平年並み」となる可能性も高くなるのではないかと思われる。

まだ「猛暑」という予想は変更・撤回されていないが、今後、猛暑から平年並みに変更されう可能性はあるだろう。

 

 

そして真夏の気温よりも気になるのが、残暑がいつまで続くのか、である。

これに関しては気象庁のどの発表を見てもわからない。20年くらい前までは9月の秋分の日前後から、昼間は暑いが朝晩は涼しくなるというのが常態だった。

ところが10何年前からは10月も半ば前後まで暑さが残るようになった。朝晩も真夏よりは涼しいとはいえ、昔のような秋の夜の涼しさはなくなった。

そして、2010年代後半からは10月下旬まで暑さが残り、12月も極端な暖冬が増えた。

この結果、夏服で過ごす期間が最低でも半年、2024年のように長ければ年間7カ月にも及ぶようになってしまった。

 

 

現在の日本で寒冷地を除くと多くの人が最も長く着用する服は夏物なのである。

夏の暑さだけでなく、長さも平年並みにおさまって10月半ばには涼しくなれば秋物衣料の売れ行きは期待できるものの、昨年10月の失敗から秋物衣料の仕込みや生産を絞っているブランドも多そうなので、また予定が崩れたとして10月販売が不振に陥る可能性もあるだろう。

いずれにせよ、今夏の天候予想は現時点では不確かなことが多い。そのため、今後は毎月発表される「今夏の予報」を各社はその都度、素早くキャッチして分析する必要がある。

 

 

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 comment
  • 広告うざいマン より: 2025/04/18(金) 8:55 PM

    広告うざいからせめて本文の間には入れず、本文の前後だけにとどめてほしいです(どうせ広告収入無いに等しいのだから笑笑)

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