
終わったのは「スニーカー文化」ではなく「スニーカー転売文化」に過ぎないという話
2025年4月15日 トレンド 1
日々、そこそこの大阪市内の都心と自宅近所をうろうろとしていて、無数の老人を見かけるわけだが、老人の足元はかなりの高確率でスニーカーで占められている。
ざっくりと体感的にはほぼ100%に近いのではないかと思う。
当方が子供の頃に見たギョーザみたいな革靴を履いた爺さんも、変なパンプスもどきを履いた婆さんもほとんどいない。
ほぼほぼスニーカーを履いている。それもナイキ、アディダス、ニューバランス、アシックスなどの大手スポーツブランドのスニーカーばかりである。品番的にはイケてないのかもしれないが、ブランド的には若者と同じである。
こうなると、スニーカーの定着化といえる。
これは老人層だけではなく、子供もそうだし、その他の成人男女とて同様で最早、スニーカーがベーシックシューズである。
スニーカーというベーシックシューズがあり、それとは異なる気分やTPOで他の靴を履くというのが今の日本人の生活習慣だといえるのではないかと思う。
スニーカーがベーシックシューズ化する理由は「楽で機能的」だからである。冠婚葬祭とか畏まった席でもない限り、男も女も老人も足の裏が痛くなるようなドレスシューズやそれに類した物は履きたくないのである。当方とて同様だ。
今後、この習慣はよほど画期的な靴が生まれない限りは覆ることがないだろうと見ている。スニーカーは定着したし、スニーカーありきの文化が確立したといえるだろう。
ところが、2~3年前から定期的に「スニーカーカルチャーの崩壊」とか「スニーカー文化の終わり」という記事やアホな業界人の戯言を見かけるようになったが、個人的には何を言っているのか全くわからない。
先日だと例えばこの記事。
あれほど盛り上がった「スニーカーノミクス」はなぜ終焉を迎えたのか? | クーリエ・ジャポン
クーリエ・ジャポンはご存知のように海外メディアの記事を日本語訳した物が多い。そのため、日本人が読むと「?」と感じる物も少なくない。
今回もその一つだと言いたいところだが、すでに日本人で某抜きモスアトモスの元社長だった人も何年か前に同様のことを記事として掲載しておられた。
数年前にスニーカーが流行していたころ、人々はランウェイや会社でもスニーカーを履いていた。コレクターたちは最新モデルを手に入れるため、何時間も店の前に並んだり、ウェブサイトやオークションハウスに群がったりした。
だがいまでは、スニーカーショップの行列は短くなるどころか、そもそもあまりできなくなった。限定版のナイキ「エアジョーダン 1」や、アディダスオリジナルスとカニエ・ウェストの「Yeezy」など、かつては定価の4倍以上で売買されていたスニーカーが、いまでは割引価格になっている。
「スニーカーカルチャーは死にました」と話すのは、SNSで300万人以上のフォロワーを持つ「シューチューバー」ことキアス・オマールだ。スニーカーを売買する通称「スニーカーヘッズ」たちは、60億ドル規模のリセール市場の低迷を懸念している。
2023年末、フランスの「Kikikickz」やオランダの「Restocks」といったオンラインマーケットプレイスが相次いで破産。2025年1月には、スウェーデン発のスニーカーショップ「スニーカーズエンスタッフ」が、「限定版スニーカー市場の世界的な衰退」を理由に破産申請した。
とのことだが、彼らが懸念しているのは、正しくはスニーカー転売市場(クソ)の崩壊なのである。スニーカー文化とかスニーカーカルチャーではなく「スニーカー転売文化」「スニーカー転売カルチャー」である。
これをごっちゃにして報道するメディアもいかがなものかと思う。この混同は決してクーリエだけではなく、各核メディアは同罪である。まさにマスゴミの所業と言わざるを得ない。
個人的にはスニーカー市場がまともに戻ったと思っていて、この記事の中にも同様の意見が紹介されている。
リセールプラットフォーム「StockX」のマーチャンダイジング・ディレクター、ドリュー・ヘインズによると、これはスニーカー市場が正常に戻りつつあることを意味するという。
とあるが、まさにその通りだ。
そもそも「レアスニーカー」にこだわらなくても各ブランドの通常ラインでもカッコイイデザインのスニーカーは少なくない。コーディネイトにそれを取り入れれば済む話である。コレクションとしての価値なら、2020年前後の「転売ブーム」以前からレアスニーカーコレクターはニッチな趣味として世の中に存在したから、そのままであり続ければ済む話である。
また、若者のマスファッショントレンドではスニーカーからワークブーツやローファーなどクラシックな物に回帰しており、それは海外でも同様のようで、
ファッションの流行も変化している。人々の関心はいま、ブーツやローファー、バレエシューズといったスニーカー以外の靴に移っており、ブランド側もこれに対応しようとしている。ニューバランスとホカはローファーを、アディダスはバレエシューズ風スニーカーを発売した。いまスニーカーで人気があるのは、ホカやオンのランニングシューズなど、よりスポーツに適したものだ。
との一節がある。
まあ、所詮「新しいトレンド」というのは「無い物ねだり」に過ぎない部分がある。スニーカーが定着すればスニーカー以外の靴を求める層が一定数は必ず存在するという話である。
ここまで老若男女を問わず定着したスニーカーは今後消滅することは考えにくく、冒頭でも述べたようにベーシックシューズとして存在し続けるだろう。
転売ブームの消滅を煽るよりは、スニーカーの定着文化を報道した方が公共の利益に近いのではないかと思っている。
スニーカーとか、10年もしたら加水分解でボロボロになったりするのに、プレミア付きでコレクションとか、昔から意味が分からなかったw
革のドレスシューズのほうが20~30年で定価が数倍になったりしてて、コレクションには良いんじゃなかろうか?w