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南充浩 オフィシャルブログ

コレクションショー情報はサブカル化していると感じた話

2025年4月11日 トレンド 0

先日、知人のお誘いに乗っかって海外メゾンの最新コレクションセミナーを拝聴した。

いわゆるパリコレとかニューヨークコレとかの最新ステージを録画編集した動画と講師の解説である。この手のセミナーを拝聴するのはどうだろうか少なくとも15年ぶりくらいである。下手をするともっと久しぶりかもしれない。

感想を言うと、あんまりよく分からない世界だった。(笑)

一応、仕事で過去にはデザイナーズブランドのコレクションショーなんかも観ていたことがあるが、当時からさっぱりわからなかったが、今もわからないままだった。

逆に当時よりも今の方がわからなくなっている。(笑)

当時は仕事ということもあって強制的に触れさせられていたが、元来興味が無いので、その方面の仕事が無くなると全く観てこなかった。

そのため、当時よりもわからないまま終了した。まあ、貴重な経験だったので後悔はしていない。

 

 

当方に限らず、もちろん情報としては業界関係者には必要な情報だが、それをそのまま各社の商品に落とし込んだところで、先端層とその追随者くらいにしか響かないだろうと感じた。

知人が再就職した某大手総合スーパーの衣料品部では、商品会議の席で常に「パリコレでは云々」「ミラノコレでは云々」という言葉が飛び交っていたとの証言を聞いているが、ぶっちゃけ、自社売り場の客層と乖離しすぎているだろうと突っ込まざるを得なかった。

パリコレの情報をそのまま落とし込んだところでスーパーの衣料品平場の客には全く響かないし、そんな物は誰も求めていない。

情報が重要であることはその通りだが、それを自社の客層にどのように落とし込むかのアレンジが重要なのではないかと当方は思っている。

上手く説明できるかどうかわからないが、パリコレの情報の一部をピックアップしてそれを平場商品に合う形であレンジするという作業が必要なのではないかと思う。

 

例えば「装飾系が復活している」みたいな情報があったとして、パリコレさながらのスパンコールギラギラカットソーとかスケスケスカートとかそんな物を作ったところでスーパーの客は誰も買わない。

「装飾系」というところを例えば、少しフリルをつけてみるとか、ワンポイントラメを入れてみるとか、そういうアレンジになるだろうと思う。

マストレンドというのは様々な角度からの寄せ集めみたいな部分があるから、コレクションショーの情報だけではダメで、ストリートとかスポーツとかそういう方面からの情報も必要になる。

その辺りの作業は、当方ごときに言われずとも売れている企業では普通にやっておられることだと思うが、スーパー各社の衣料品平場が弱っているのは、コンプレックスの裏返しなのかわからないが、コレクションショーの情報を過剰重視していることも一因ではないかと見ている。

 

 

ただ、90年代とか2000年代ではコレクション情報が今よりもマス層にも強い度合で求められていたと感じる。

当時の衣料品担当者はスーパーに限らず、だいたいが先端ファッションにあこがれたことがある人が多かった。今と違って人余りだったので、そういうところに就職できずにスーパーとか低価格ブランドに流れてきたみたいな感じが多かった。朝日新聞に入社したかったけど落ちた人が繊維業界紙記者に就職したのと似たような感じである。

しかし、今のマス層はコレクション情報を求める度合は弱まっているのではないか、というのが個人的な意見である。

客寄せとしても「〇〇コレクション」では大衆は集まりにくい。

 

マス層を集めやすいのは、アニメ・漫画である。

先日、大丸梅田店5階に期間限定ではあるが、ガンダムベースがオープンした。4月11日~10月31日までの約半年間である。

★【大丸梅田店5階】ガンダムグッズ大集結!関西エリア過去最大規模「THE GUNDAM BASE (ガンダムベース)」が期間限定オープン!4/11(金)から。 | 株式会社 大丸松坂屋百貨店のプレスリリース

~「ガンダムベースPOP-UP大阪」とは?~

🔷 関西エリアとしては過去最大規模の923㎡に、ガンダムシリーズのプラモデル(通称:ガンプラ)の他、アパレル・ステーショナリー・雑貨・菓子などのガンダム商品を多数取り揃え、2m大のガンダム立像の展示や、店内スクリーンによる映像体験も提供します。

🔷ガンプラ45周年を記念して世界各エリア/地域を巡回する「THE GUNDAM BASE POP-UP WORLD TOUR」(以下、「ガンダムベースPOP-UPワールドツアー」)のスタート地点となります。

🔷株式会社バンダイナムコホールディングスが大阪・関西万博で出展する民間パビリオン「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」で盛り上がる機運に合わせてオープンし、ガンダムを通じて世界中の人々とつながるタッチポイントとしての店舗を目指します。

 

とある。今回の大阪万博とのコラボなのである。

万博というきっかけがあったとはいえ、都心百貨店5階という婦人服のメインフロアに半年間も「ガンダムショップ」がオープンするというのは、2010年代まででは考えられない状況である。

こういうものはもっと上の改装の催事売り場で展開するのが百貨店の常だった。

もしかすると、場所的に埋まっていたので「仕方なく」5階に設置したかもしれないが、その可能性を含めたとしても5階にガンダムショップを開設するというのは昔の百貨店では考えられない。

これはとりもなおさず、ガンダムならある程度集客できるという百貨店側の判断だろう。それほどに集客力が見込まれているということになる。

 

百貨店までもがアニメ・漫画を大々的に取り入れたことは、もう完全にそちらがメインカルチャー化しており、トップメゾンのコレクション情報はサブカル情報化しているといえるだろう。

 

 

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