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南充浩 オフィシャルブログ

少額小包関税免除の抜け穴を塞ぐ「SHEIN」対策

2025年4月4日 トレンド 0

アメリカの新関税が発表されてえらいことになっている。

今の石破政権を当方は発足当時から1ミリも評価しないが、中国詣をしている暇があったらアメリカ詣をすべきだったし、電話会談を積極的に行うべきだった。

トランプ会談を「成功」と持ち上げていたメディアや自称識者は本当に着眼点がおかしい。もっと積極的に対応していれば日本の関税は24%よりも引き下げられた可能性が高いと見ている。

 

それはさておき。

今回の関税引き上げは本来は中国に向けた対策で、日本はそのついでくらいの位置づけだろうと思われる。

その中国対応において、これまで激安で異常なほど業績を短期間で拡大してきたSHEINとTEMUはかなり厳しい局面を迎えている。

珍しく地上波キー局が報道している。

中国南部の広東省広州市にあるこのエリアは、1000軒を超える縫製工場がたち並び、世界中で販売を行う中国発のアパレル通販サイト「SHEIN」の商品を製造している企業が多いことから「SHEIN村」と呼ばれています。 去年までは活気にあふれていたというこの村の景気は今、急速に落ち込んでいます。 縫製工場の従業員 「(受注が)60%から70%くらい減りました。今は多くの工場で仕事がないです」

とのことである。

 

当方はシーインが売れにくくなることに微塵も同情しないが、当事者としてはそれなりに大変なのだろうとは思う。あくまでも他人事としてだが。

関税引き上げによって、低価格が維持できにくくなるのはその通りだが、もう一つ注目すべき点は「800ドル以下の少額小包の関税免除の廃止」である。

さらに、中国から輸入される800ドル、およそ12万円以下の小包に対する関税免除措置を来月2日から廃止するとしました。

とある。

 

これはシーインに限らずTEMUも使っていたスキームで、これがあるため、低価格で消費者の手元に送付できていた。日本でも同様の手口で消費者に送付されている。

このことは、シーインが大きな話題となった2022年あたりから多くの識者や業界人によって指摘されてきたので、周知の事実だといえるだろう。

逆に普通の関税をいくら上げたところで、この少額小包がそのままの扱いであるなら、シーイン・TEMUは言うほどには困らないだろうから、この抜け道を塞いだことは当然である。逆にこれをやらなければ「ポーズ」としか言いようがなかった。

 

 

この報道では

縫製工場の従業員 「(企業は)どんどんベトナムなどに移転しています。あちらは人件費が安いですから」 外国に生産拠点を移転する企業もある一方で、打開策がみつからない多くの工場では不安が広がるばかりです。

とあり、これが当面の打開策だとシーイン側は考えているということだが、今回はベトナムやカンボジアに対する関税も大幅に引き上げられているので、どこまで効果が発揮できるのかは不透明ではないだろうか。

また、ベトナムやカンボジアなどからの少額小包の関税はどうなっているのだろうか。これについては報道では不明なので、もしご存知の方がおられたら無知な当方にお教えいただきたい。少額小包を放置したままだと関税引き上げの効果は薄いと考えられる。

 

 

この報道だと、今回の関税問題によって中国の縫製工場がベトナムなどの東南アジアに移っているように聞こえるが、実際のところは2010年代からすでにこの動きは大々的に起きていた。

中国国内の人件費が全体的に高くなって(都市部と内陸部では大きな差があるがその内陸部でも昔よりは人件費が上がった)、中国人の縫製工場経営者がベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーあたりに工場を移転しているというのはよくあった。

ついでにいうと、韓国人の縫製工場経営者も同様の動きを2010年代からしている。

アジアの海外工場を使ったOEM生産を手掛ける日本人業者はすでにこのころから「東南アジア工場と言っても経営者が中国人・韓国人がかなり多い」と言っていた。

 

 

24年の衣類輸入額 4年連続の前年超え 中国は低迷、ASEANは伸びる | 繊研新聞

財務省が1月23日に発表した24年(1~12月)の貿易統計(速報、通関統計)によると、衣類・同付属品輸入額は3兆6741億4000万円(前年比3.5%増)で、4年連続の増加となった。24年の平均為替レートは1ドル=150.97円(前年比7.7%の円安)。

主要国・地域別に見ると、中国からの衣類・同付属品の輸入額は1兆7830億5200万円(0.8%減)。構成比は48.5%(2.3ポイント下落)で、7年連続で6割を切った。一方でASEAN(東南アジア諸国連合)からの輸入額は1兆2747億5300万円(7.5%増)と、3年連続でプラス。構成比は34.7%(1.3ポイント増)と6年連続で3割を超えた。

とあり、中国比率は毎年減っていて、東南アジア比率は年々高まっているが、この東南アジア生産には中国経営工場製が多数含まれている。ついでに韓国経営工場も多数含まれている。

 

 

そんなわけで、この「シーイン村」の閑散は今回の関税引き上げが直接の契機となった可能性は否定できないが、中国縫製工場の東南アジア移転は10年くらい前からずっと続いている動きなのである。

それにしても、我が国も少額小包の抜け穴は完全に塞ぐべきだと当方は強く思っているが、石破政権では全く期待できないだろう。まったくやれやれである。

 

 

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