
マス層への有効な販促はタレント起用よりもアニメコラボという時代
2025年3月14日 トレンド 1
現在、趣味嗜好はかなり多様化しているということに異論を持つ人はいないだろうと思う。
ここで月一回の寄稿をしてくれているUS君は自転車が趣味で、ママチャリではない自転車に乗って結構な距離を走っている。詳細に尋ねて集計したことはないが、費やしている金額は結構なものだろうと思われる。
当方の業界内のガンプラ仲間の男性は、洋服はほとんど買わない(一応業界人なのに)が、ガンプラやその他趣味のプラモデルには年間何十万円か費やしている。
若者の酒離れとか言われているが、酒を飲み倒している若者も珍しくない。逆に酒を飲めない・あまり飲まないという業界のオッサンも相当数いる。
ことほど左様に個人の趣味嗜好というのは多様化しており、マス層に向けて売るための方策というのは、なかなか絞りづらくなっているといえる。
かつての衣料品メーカーや衣料品ブランド、衣料品小売店はマス層に売るための方策の一環として、有名タレントや有名デザイナーを起用した。この方策は今でも有効といえば有効だが、近年はその効果が低減してきたと感じられる。
もちろん、当たる場合もあるがさっぱり話題にならずに当たらないというケースも増えている。当方のようなタレントに興味の無い人間からすると、有名デザイナーや有名ブランドとのコラボはまだしも、タレントなんて誰を起用しようがさっぱり興味がわかない。当方の消費意欲はタレントごときでは1ミリも動かない。もちろん、そうではないという人も相当数いることはわかっている。
が、タレント起用というのは、好む層と無関心層をくっきりと分断する場合が増えていると感じられる。当然当方はどんなタレントであっても無関心層に含まれる。
どんな方策であっても一定数無関心層は必ず存在するが、有名デザイナー、有名タレントに対してはこの比率が増えているのではないかと思ってしまう。あくまでも自分基準なのだが。
無関心層はいるものの、圧倒的にマス層にリーチしやすいのは、現在では「アニメ・ゲームコラボ」だというのが当方の持論である。(異論は認める)
先日、1月中旬にグンゼが「ボディワイルド」の肌着で「ジョジョの奇妙な冒険」とのコラボ商品を発表した。
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』とグンゼ『BODYWILD』のコラボレーションボクサーパンツ発売! | GOODS | 「ジョジョの奇妙な冒険」公式ポータルサイト
この公式ポータルサイトによると発売開始は今年1月17日からだった。
BODY WILD×ジョジョの奇妙な冒険 コラボページ | グンゼ株式会社
サイトから画像を引用する。
業界紙記者時代も含めると、グンゼとは断続的に30年近い付き合いである。
その約30年間の記憶の中で、明確なアニメコラボはこれが初めてのことではないかと思う。グンゼも過去に様々なタレントを起用したり、ブランドとのコラボ商品を企画発売してきた。その中において、今回のジョジョコラボがマス層には最も効果的に響く販促なのではないかと個人的には思っている。
ただ、今回のジョジョコラボは各メディアではあまり報じられていない。
理由は明確で、ジョジョコラボ自体はもう何年も前から様々なアパレルやブランドと行われてきたので、新規性が乏しいということだと考えられる。
メディアの報道基準がいくつかあるのだが、その中に「新規性」というものがある。メディアがやたらと「〇〇初」と書いているのはそういう内容を優先的に取り上げているからだということは知っておいて損は無い。
もう、散々コラボされたジョジョではメディア基準の「新規性」が乏しいということになる。「ジークアクス」あたりとコラボをすれば「新規性」という点で採りあげられやすいだろう。
そんなわけで結果がどうなったのか気にはなっていたので、今週、グンゼの25年秋冬向け展示会を訪問した際に、広報担当者に尋ねてみた。
すると「かなり好調で、特に発売開始時点での勢いがすごくて一時的に完売した」とのことだった。現在の通販サイトでは在庫が復活している。
これはあくまでも広報担当者の口ぶりからの推測になるが、近年のタレント起用や他社ブランドコラボという販促施策の中で、今回のジョジョコラボはトップクラスに反応が良かったのではないかと思われる。
理由としては、ジョジョファンというのは、特定のタレントのファンよりも裾野が広く人口も多いと考えられる。熱狂度の濃淡はあるだろうが、緩いファン層まで含めるとその人口はかなり多い。
そしてボクサーブリーフが1枚1760円なので、安いとは言えないが高すぎるわけでもない。ガンプラならじHGを1個買う程度である。となると、緩いファンでも手を出しやすい。
もちろん、転売ヤーもある程度は購入客に含まれるのだろうが、グンゼは量産メーカーで、現在は在庫がある程度復活していることを考えると、転売ヤーはあまり儲からなかったと思われる。
広報担当者はアニメはあまり詳しくない方だったようで「アニメのキャラクターがそのまま入ったような商品が初回完売するほど売れるなんて予想外でした」という感想を教えてくれたのだが、現在はそういう時代だということになる。
そんなわけで、マス向けの販促としては各社ともにアニメコラボを積極的にやった方が良いと思うし、グンゼがマス層への知名度を高めるためには、他社ブランドコラボよりもアニメコラボ・ゲームコラボを積極的に行うべきだと当方は考えている。もし、グンゼの中の人が読んでいたら参考にしてもらいたいと思う。(笑)
ジョジョとのコラボなんてやってるとは知りませんでしたが、ジョジョとかドラゴンボールとか
その辺の長くやってるマンガ、アニメだと年代も幅広く訴求できそうっすよね。
ジョジョだと下は20代の女性とかでもファンがいるし、上は多分60代くらいまではファンがいるんじゃないかと。ドラゴンボールなんかだともっと幅広そうw
ガンダムは最初から40年以上だけど、作品は細分化してるからコラボでも年代幅広くは訴求できないよね、とか思ったらジークアクスは初代ガンダムファンまで取り込むという荒業を繰り出してきて笑いました。50代の私も、まんまと引っかかって久しぶりに映画館に行ってしまいましたw