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南充浩 オフィシャルブログ

「パリコレ参加」という肩書に対して厳正な目が向けられ始めたという話

2025年2月19日 デザイナー 0

西暦2000年頃から約20年間前後も言ったもん勝ち状態だった「なんちゃってパリコレ」も今年以降は厳しく精査されそうな気配が漂ってきたと感じる。

当方に実害は全くなかったが、「看板に偽り在り」を放置し続けることは好きではないのでこの傾向は遅すぎたきらいはあるが歓迎すべきことだと思っている。

きっかけは1年間以上に渡って朝日新聞の後藤洋平記者が断続的に「偽パリコレブランド」についての記事を書き続けたことである。

それを当方は何度かご紹介した。

「パリコレ正式参加ブランド」と「なんちゃってパリコレブランド」の判別の方法

 

そのブランドの「パリコレ参加」「ミラコレ参加」は自称しているだけかもよ(笑)

上のブログは今年1月のものだが、下のブログは23年11月のものである。

 

 

くどい様だが、繰り返すと、通称パリコレは正式にはパリファッションウィークで、公式メンバーに名を連ねたブランドだけがコレクションショーを開催するわけである。これはミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京も同様である。かつて東京コレクションと呼ばれていたが、今は東京ファッションウィークで、さらにスポンサーの冠がついて楽天ファッションウィークである。

大手新聞社、テレビ番組、業界メディアなどはこの区別をこれまで明確にせずに、ブランド側の自称のままに報道してきた。その結果、業界内には公式メンバーに名を連ねていない「自称パリコレブランド」「なんちゃってパリコレブランド」「偽パリコレブランド」が溢れることになった。(ミラノ、ロンドン、ニューヨークも同様だが、偽東京コレクションブランドは聞いたことが無い。笑)

 

 

なぜそんなことを騙るブランドがあとを絶たないのかというと、自称することで「箔」が付くからである。それをきっかけにブランドの服が売れたり、自身のブランドの服が売れないまでも、外注デザインの仕事が受注できたり、商品アドバイザーの仕事をもらったりできるというメリットがあったからだ。

自身のブランドの販促手法の一つとして「なんちゃってパリコレ」を自主的に開催するブランドも珍しくないし、現在ではパリでのショー開催を後押しする「なんちゃってパリコレエージェント」も少なからずいて、実際に「コンタクトされたことがある」という小規模ブランドの社長も当方の知り合いにはいる。

もちろんエージェントは手数料を取るわけだが、ブランド側からするとエージェントに手数料を支払ってでも、それを上回るリターンが見込めると考えているからなのは言うまでもない。

 

 

さて、一連の報道を受けて業界メディアのWWDが遅すぎるきらいはあるものの、大々的に報道し始めた。

 

主催者による「パリコレ」の使用差し止めは、不可能ではない 「パリコレ問題」弁護士の見解Vol.1

 

「“あの”パリコレ」のように形容詞がつくと誤認の恐れが高い 「パリコレ問題」弁護士の見解Vol.2

という弁護士の見解を掲載している。

 

両方の記事を読んでみればお分かりになるが、少しずつ両弁護士の見解は異なる。

これは法律の解釈の問題で、パリコレブランドに限らず全ての分野で起きることで、裁判官によって判決が異なるのもそのためである。

特に2本目の記事の以下のくだりは興味深い。

「パリコレ」の正式な定義がない中で、「パリコレ」という言葉を使うと直ちに誤認になるのかというと、正直難しいでしょう。「PFW」の外であっても、パリで実際にショーを開催すれば「パリコレ」だと考える人もいるわけで、その場合誤解しているとは言えません。国内では許容されている表現になっているので、「パリコレ」という言葉だけで景表法違反とするのは厳しいといえます。ただし、グラデーションはあるはずで、「“あの”パリコレ」や「“いわゆる”パリコレ」のように形容詞がつくと、一つしかない「パリコレ」、すなわち「PFW」だという印象を抱かせ、誤認の恐れが高いと判断される可能性は出てきます。

とのことである。

 

両記事で示されている共通の見解をひどくザックリとまとめると「これまでのような野放し状態は規制されるだろう」ということになる。ただ、その線引きが弁護士によっても法律の解釈によって異なってしまう。

個人的には2本目の記事の下線部分には大いに疑問を感じる。

パリで実際にショーを開催すれば「パリコレ」だと考える人もいるわけ

とあるが、実際にそういう浅はかな考えの人がいることは否定しないが、そのおかしな考えは修正してやる必要があるのではないかと思う。

「パリコレでコレクションショーを開催」するのと「パリで(勝手に)コレクションショーを開催する」のとではTOYOTAと豊田商事ほど事実が異なっている。

 

 

そのような浅はかな考えの人は、わけのわからないポッと出のようなブランドが「東京で勝手にコレクションショーを開催」して「東京コレクションブランド」を名乗っても納得するのだろうか?

実際、東京では年中様々なブランドが販促イベントの一つとしてファッションショーを開催している。もちろん、ブランドとしての販促イベントなので、ファッションウィークとは関係なく独自に開催するわけだが、これらが全部「東京コレクションブランド」を名乗ったとして、その浅はかな人は納得するのだろうか?(東京コレクションブランドを名乗るメリットがあまり見えないがw)

「偽パリコレブランド」もこれと同じ問題だといえる。もちろんミラノ、ロンドン、ニューヨークも同様だ。

当方が昔交流があったブランドも突如「ミラノコレクション参加ブランド」を名乗り始めたことがあったが、このミラノコレクションも公式なのかどうか今となっては疑わしい。

 

とはいえ、ここまで報道が広がり、弁護士が一定の見解を示している状況では今後は「パリ(ミラノ、ロンドン、ニューヨークも)コレ参加ブランド」という肩書には厳しい目が向けられるだろうし、規制検証も厳しくなるのではないかと思う。ぜひとも厳正に対処してほしいと願ってやまない。

 

 

 

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