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南充浩 オフィシャルブログ

2月は「西冷東暖」、3月は全国的に高気温という3か月予報

2025年1月22日 天候・気候 0

昨日、気象庁から恒例の3カ月予報が発表された。

近年の猛暑、暖冬、今冬の寒冬での衣料品の売れ行きを見ると、気温が衣料品の売れ行きを大きく左右することは最早、共通認識となっているだろう。

20年くらい前までは、トレンドやデザインによって気温による売れ行き変動を小さくできると考える業界人も多くいたが、現在はそんな人は少数派だろうと考えられる。

大手企業は、すでに気象情報の入手・解析を独自に進めていることと思われるが、そうではない中小・零細企業もあると思うので、気象庁の3カ月予報などを活用して対策してもらいたいと思う。

 

 

今回の3ヶ月予報はおもに2月・3月・4月についてである。

Microsoft PowerPoint – 20250121_3か月会報全般支援資料

向こう3か月の気温は、寒気の影響を受けにくいため、北・東日本では高く、西日本では平年並か高いでしょう。

とのことである。

 

衣料品業界においてはだいたい1月下旬から2月下旬までに春物衣料品(一部夏物衣料品)が店頭に立ち上がる。そのため、2月の気温というのは春物が動くかどうか非常に重要になる。

また3月は毎年、気温変動が激しく、異様に暖かい年もあれば23年のように寒冷な年もある。ここでも春物の動向が左右されることになる。

今回の3カ月予報をもう少し細かく分けた表を以下で見てみよう。

となっている。

北日本・東日本・西日本と3地域の2月・3月・4月と各月の気温の確率が示されているが、興味深いのが2月である。

当方のようなオッサン・オバハン世代の2月というと、立春とは名ばかりの厳しい寒さというイメージだが、近年の暖冬傾向では2月からいきなり気温が急上昇することが多い。子供のころの記憶では2月11日の建国記念の日は極寒だったが、去年も一昨年も2月11日はポカポカ陽気だった。

25年2月の予報で特徴的な点は、西日本が低気温になる確率が最も高く、東日本・北日本が高温になる確率が高いという点で「西冷東暖」傾向にあるという点である。

 

 

関西在住のバリバリ西日本人間の当方の体験でいうと、23年12月~24年1月にかけての気温も同様だった。この期間に東京出張はしていないが、日々の天気予報の気温を見ていると、東京よりも大阪の方が寒い日が多かった。逆に東京は「暖冬」と評しても良いほどの高温の日が多かった。大阪は年末寒波が襲来したが、その時の東京の気温は高いままだった。

この傾向は1月に入ってから変わらず、1月8日くらいから関西は大寒波が襲来したが、東京の寒波はそれほどでもなかった。

そして、これまでの常識で言うなら、東京は大阪よりも寒冷な気候だとされているが、今冬に関しては完全に逆転していたということになり、2月もその名残があるということになる。

 

 

そうなると、西日本の衣料品小売店は、2月に店頭に並べる春物は少なめにして、冬物の最終処分品を増やす方が賢明ではないかと考えられる。場合によっては東京で売れ残った冬物衣料品を関西に店舗間移動させて処分販売を行うという手もあるのではないだろうか。

逆に東京は2月から春物の立ち上げ陳列を多めにした方が商況を活性化できそうである。

 

3月になると3地区ともに高温傾向確率が最も高いから春物はかなり好調に動きそうだし、高温がどこまでの高温なのかは分からないが、3月下旬には東京、大阪、名古屋では桜の開花があるのではないかと思う。

4月は平年並みから高温という傾向と予想されている。

 

沖縄・奄美は2月・3月・4月ともに「低温」の確率が最も高いとされている。

低温とは言っても北国ほど寒いわけではないが、いつもに比べて気温低めということだから、意外と春物がいつもの年よりも長く売れるのではないかと思う。

 

あと、降水量だが、元のサイトを見てもらえばわかるように各地区ともに2月も3月も4月も少ない確率が高い。ということは雨や雪の降る日があまり無いと考えられる。

農業や林業にとっては少し気がかりだが、衣料品小売りからすると「雨のために客足が鈍った」という事態は少なそうである。

 

 

気になるのは

 

ラニーニャ現象に近い状態は次第に弱まるものの、海面水温は太平洋赤道域の中部で低く、太平洋熱帯域の西部では高い状態が続く。

 

という一文である。

今冬はラニーニャ現象ではないものの、ラニーニャ傾向と分析されており、西日本の寒さの原因がこのラニーニャ傾向にあったことは、各種の気象情報ですでに伝えられてきた通りである。

このラニーニャ傾向が次第に弱まるということは、春以降は23年と同様になる可能性が低くないということになる。ここでエルニーニョ現象やエルニーニョ傾向が始まれば、23年同様に猛暑・酷暑となる可能性が極めて高くなる。

エルニーニョ傾向にならなければ、暑いことは暑いが猛暑・酷暑とまでは行かない夏になるのではないかと考えられるため、4月以降の気象動向は気になる。

 

 

ただ、関西に住んでいて久しぶりの寒い冬を体感したわけだが、それでも寒波が去ると比較的暖かいと感じる日もあり、様々な気象情報でも指摘されているように「北半球は基本的に高温傾向が続いている」ということがわかる。その高温傾向のところに寒気が流れ込めば今冬のような寒波になるし、寒気が流れ込まなければこれまでのような暖冬に終わるというわけである。

いまや日本の四季の中で最長となった「夏」という季節がどう推移するのか、それによって衣料品の商況は大きく変わるので、4月以降の夏の気象情報はこれまで以上に重要になってくるといえる。

 

 

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