
ファウンドグッドの売り場を実際に見た正直な感想
2025年1月20日 売り場探訪 0
昨年2月に、イトーヨーカドーはアダストリアに依頼したファミリー向け総合カジュアルブランド「ファウンドグッド」が、昨年夏から関西にも広がってきた。
当方が足繁く通う「あべのキューズモール」1階にもファウンドグッド売り場が出来ていたのだが、昨年11月ごろにやっと気づいたので、それ以降は何度か見に行っている。
ザックリと売り場全体を眺めた印象だが、あまり特別感が無いというのが正直な感想である。あとイトーヨーカドーの蛍光灯の光量が暗くて、イマイチ暗鬱な雰囲気を感じた。
これはVMDの専門家による解説が欲しいところだが、当方は暗い照明が嫌いである。ハッキリ言って物が見えにくいし、色もわかりにくい。単に老眼なのかもしれないが、暗めの証明の店は衣料品だろうが、飲食店だろうが嫌いである。ムードが、という人もいるが、当方はムードよりも色や文字が鮮明に見える方が好きである。
西友もそうだが、量販店の暗めの蛍光灯というのは何とも言えない暗鬱な雰囲気を醸し出していると感じる。
それならまだオレンジがかってイキった間接照明の暗さの方がマシである。色と文字が見えにくいことには変わりはないが。
陳列を見ていると、棚とハンガーラックに並んでいるだけで、これも特別感は無くて、それまでの平場の延長線上に見える。あまりにも単純なハンガーラックと棚の配置なので、逆にそれまでの平場の方がマシに見える。
例えていうなら、量販店や百貨店の最地場での「〇〇円均一 最終冬物処分セール」みたいに見える。赤札が貼ってあるかどうかの違いだけにしか当方には感じられない。
商品は、特にメンズ、レディースともにカジュアル偏重が著しい。むろん、カジュアルブランドとしてはそれで良いのだが、イトーヨーカドーの衣料品平場の代替としてはどうなのだろう?と疑問を感じざるを得ない。
商品テイストはベーシックカジュアルだが、従来のイトーヨーカドー平場服に比べると若返った印象がある。とはいえ、30代~50代くらいをターゲットにしていると思われるが、今の若者っぽいカジュアルが好きではないという中高年層にはあまり刺さらないだろうというのが率直な感想である。
アダストリアの1ブランドとしての立ち位置ならこれで構わないと思うが、従来型中高年層も顧客に抱えているイトーヨーカドーとしてはどうなのだろう?と思わざるを得ない。
売場の設置に気付いたのが11月ごろなのでそれ以降の商品しか見ていないが、商品デザインはベーシック寄りなので万人向けだと思われる。ただしテイストは少し若い。
使用素材に関しては、特にセーター類は合繊物がほとんどで、いずれも合繊特有の光沢というかキラメキがあるので、当方としてはあまり買おうとは思わない。
サイズ感は今マストレンドのややビッグシルエット品番が多いと映る。
価格はユニクロと同等くらいだが、使用素材についてはユニクロの方が圧倒的に高品質だといえる。
というのが当方のファウンドグッドに対する評価である。
そんなファウンドグッドがちょうど「1月19日まで」として、何品番かを「値下げ価格からさらに30%オフ」セールを開催していた。
生来の安い物好きである当方は当然このPOPに吸い寄せられる。まるで誘蛾灯に吸い寄せられる蛾である。
「さらに30%オフ商品」を物色してみると、恐らく2024年春物だと思われる商品が多数あった。残り一部は今冬の不振品番だろう。
スエット類、薄手ブルゾン類、長袖カットソー、布帛シャツ類は恐らくは24年春物ではないかと推測される。長袖ボーダーカットソーは最終処分値1000円に、布帛シャツは最終処分値700円に値下がりしていたが、さすがにその値段なのでMサイズはほぼ品切れだった。
冬物不振品番のニットはいくら「さらに30%オフ」でも先述の理由で買う気も起きない。
いろいろと物色していると、24春物と思われる裏毛スエット類、中綿無しのMA-1タイプの一重ブルゾンを発見した。
裏毛スエット類は定価4400円が税込み2200円に値下げされており、そこからさらに30%オフである。MA-1ブルゾンは定価5940円が3300円に値下げされていてそこからさらに30%オフである。
裏毛スエット類の裏毛素材は綿98%・再生繊維(セルロース)2%という組成で、結構ガッシリしていて、目付も重い。そこでこれを買おうと思ったが、フーディーはすでにM、Lサイズはほとんど無い。白いフーディーは残っていたが、白は汚れが目立ちやすいので当方は嫌いだ。洗濯がめんどくさい。
そこで杢グレーのハーフジップを選んでみた。これはM、Lサイズが残っていた。手持ちにハーフジップスエットが無かったのでこれに決めたが、襟の高いバージョンなのでちょっと困っている。もう少し襟の低い物が理想だったのだが。
MA-1 ブルゾンは、ネイビー、ホワイトグレー、ペタっとしたミドルグレーの3色が残っており、普段ならネイビーを買うところだが、手持ちの服がほとんど黒とネイビーに染まっているので、あえてあまり買わないホワイトグレーを買ってみた。
素材組成はポリエステル100%だが、ポリエステル同士をボンディングしていて、裏面は何かの機能性素材みたいな表面感をしている。しかし、機能性は無いようで下げ札にも明記されていない。
恐らくは表地に採用されたポリエステルの裏面がガサガサで着用に適していないから滑りの良さそうなポリエステル生地を貼り付けたというところなのではないかと推測される。
いずれも30%オフなので、ハーフジップスエットは税込み1540円、MA-1 ブルゾンは2310円で合計3850円でおさまった。
ファウンドグッドの現在の店頭商品は積極的に良いとは思わないが、中には掘り出し物もある。そんな個人的評価である。
ただ、メディアでは「好調」とされているが、「半額からさらに30%オフ」という売れ残り品番がこんなにあって、本当にメディアが言うほどの好調なのかと疑問を持った。その多くが今春物とはいえ、スタート当初だから少なめに作っていたはずがこれほど残っているというのはそこまで「好調」ではなかったのではないかと思わざるを得ない。
とはいえ、商品はイトーヨーカドーの買い取りなのでアダストリアは腹も痛まない。さらにいうと、アダストリアの公式通販サイト「アンドエスティ」でもファウンドグッドは販売されているから、アダストリアとしては旨味しかない。ちなみに、今回さらに30%オフされた商品はアンドエスティのファウンドグッドには掲載されておらず(終了した?)ので詳細な商品説明を読むことはかなわなかった。
開始後、ようやく1年が経過したので、ファウンドグッドの今後の進化に期待したいところだが、現状のままの商品や売り場陳列のままでは、イトーヨーカドーの衣料品平場売上を回復させる特効薬にはなり得ないと感じられた。今後の精度向上が待たれる。