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南充浩 オフィシャルブログ

背伸びをしなくなったマス層には「ダサいけどわかりやすいネーミング」の商品が響きやすいという話

2024年12月23日 トレンド 0

以前から書いているように、かつてサブカルと呼ばれたアニメや漫画、特撮が世代を超えたメインカルチャーとなり、カッコイイとされてきたファッションが細分化し、サブカル化して久しいと感じる。

さらに言うとこの傾向は今後ますます強くなり、ファッションは各テイストの愛好家の事物となり続けるのではないかと思う。

 

近年、マス層のファッションへの捉え方が変わってきたと様々感じるのだが、マス層は「ダサくても分かりやすいネーミングや説明」を求める傾向が強くなっているのではないかと思う。

例えば、少し以前に掲載されたアダストリアの木村治社長のインタビュー記事である。

過去最高益達成のアダストリア、木村社長が語る「マルチブランド戦略は非効率」という定説を覆せた理由 | Japan Innovation Review powered by JBpress

 

この中にこんな一節がある。

 

木村 2つ目の理由は、グローバルワークの主力商品を改名したことです。グローバルワークは当社の中でも最もカジュアルかつ幅広い顧客層を持つブランドで、マス市場に向けて手頃な価格で多様な商品を展開しています。

グローバルワークの主力商品に、累計400万本の販売を記録した「ウツクシルエットパンツ」があります。元々、別の商品名だったのですが、素材とデザイン性を前面に打ち出したネーミングに変更し、テレビCMも展開したことで売上が大きく伸びました。

また、ブラウスも「さらさらリラックス」、ニットも「メルティニット」というふうに、現場のスタッフがお客さまの感触を聞き取りしながら、素材の特徴が分かりやすい商品名へ変更したことが成長につながっています。こうした施策が奏功し、グローバルワークの売上高は前期比11.9%増の約516億円を達成しました。

 

とのことで、もちろん好調の要因は様々あるのだろうが、商品のネーミングもその一つであるとアダストリア側は認識しているということになる。

 

 

たしかにアンドエスティで定期的に買い物をしている当方もわかりやすい(ダサいという意味も含む)商品名が多々あることは認識している。

2000年代半ばごろまでのマス客なら結構「意味は分からないけどカッコイイ商品名」を支持したのではないかと思うし、「わかりやすいネーミングの商品」を軽視する風潮が強かったと当方は感じている。

だが、近年、マス層にヒットしている衣料品類は、グローバルワークの例に限らず「わかりやすいネーミング」が多い。

 

例えば、靴下の岡本の「まるでこたつソックス」「ココピタ」などである。

ベタといえばベタなネーミングだが、どういう性質の商品なのかは名前を聞いただけでわかる。これが例えば「ヘップバーンソックス」とか「タンクフランセーズストッキング」とかだったらここまでヒットはしなかっただろう。

何となく横文字でカッコイイ響きだが、どういう性質の商品なのかはさっぱりわからない。

 

保温肌着系でも同様だろう。ヒートテック、スタイルヒート、ファイバーヒートなどなどである。こちらは横文字でそこそこカッコイイがいずれも「ヒート」が入っているため「熱い」ということは認識できる。

「ドライなんたら」も同様で、乾きやすそうということは認識しやすい。

 

グローバルワークの「ウツクシルエットパンツ」なんて意味がわかりやすい上に、一昔前なら「ダジャレ」で片づけられそうなほどにダサいネーミングである。

しかし、累計で400万本売れているということは、手ごろな価格も相まって手に取りやすいのだろうと思う。これが多分「ビューティフルシガレットパンツ」とか名付けていたらそこまで反響は無かったのではないだろうか。

ダサいけどわかりやすいネーミングで手ごろな価格だから、試着してみる。試着した結果、動きやすくて美脚効果がありそうなので購入するという流れだろう。

またネット通販においても、わかりやすいネーミングと手ごろな価格はクリックしやすいことだろう。クリックした結果、購入する場合もあれば、逆にそこから店頭に出向いて試着をして購入するというケースもあっただろう。

 

 

こうしたヒット商品の傾向を見ていると、マス層の傾向が「背伸びをしない」という方向に向かっていると当方は感じる。当方が大学生だったのは90年代前半だが、その頃はすでに「横文字で意味はわからないけどカッコイイネーミング」の服やブランドが持て囃されていた。持て囃していた人たちも多分イマイチ意味は理解していなかっただろう。そういう傾向はバブル期前夜から高まってきたように感じる。

バブル崩壊後もその傾向は続いていたが、当方は2000年代半ば以降だと見ているが、いつの間にかそういう「背伸び」をマス層がしなくなり始めた。

だから、わかりやすいダサいネーミングの衣料品がマス層で大ヒットしやすくなった。またネット通販の普及もその傾向を助けた部分もあるのではないかと思っている。

ネット通販のとっかかりは画像と名前と値段である。そこでクリックするかしないかを決めるわけだから、意味がわからん名前で価格が高すぎれば、クリックしないという人が多い。

クリックされて詳細を見てもらわないことにはその商品は売れないのである。

 

「背伸びをしなくなった」ということに対しては、特にファッション業界人は思うところは様々あるだろうが、当方は地に足がついている感じがして決して悪いとは思ない。

ただ、地に足が着くといわゆるバブル景気や爆破的な好景気は生まれにくくなるからデメリットでもある。ただ、個人的には意味も分からずに「背伸び」をしない方が、好ましいと思っている。

 

 

 

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