
需要はゼロにはならないが拡販も難しいメンズスーツという分野
2024年12月20日 売り場探訪 0
先日、久しぶりにネクタイを締めてみた。
紺ブレ、ウール混のツイードパンツ、シャツにネクタイという割とキチンとした服装をわざわざしてみた。エライ人が出てくる会見に出席するためだが、実際のところは、最近はカジュアル化が進んでおり繊維・衣料品業界ならもっとラフな服装でも会見出席で目くじらを立てられることは減った。体感的にはほぼ無い。
普段からラフな服装しかしていないので、今回はちょっとしたコスプレ感覚である。
ちなみに、紺ブレはユニクロでたしか4990円に値下がりした時に買った物、ツイードパンツはジーンズメイトとビッグジョンのコラボ商品で、たしか990円に値下がりした時に買った物である。
シャツは990円に値下がりしたユニクロで、シルク100%のネクタイはベイクルーズストアで990円に値下がりした物である。
(その当日のコスプレ衣装)
本来は堅いとされている仕事でも例えば、銀行の窓口とか外回り営業のような現場では、随分と服装がラフになって久しい。特に定着したクールビズ時では男性社員でもノーネクタイ半袖シャツ1枚で過ごすのは当たり前だし、見ているこちら側としても全く違和感がない。
逆に真夏の外回り営業の人が、スーツの上着までバッチリ着込んでいるのを見る方が暑苦しくて不快になる。
そんなわけで、当方は年に2~3度くらいはコスプレ感覚でネクタイを締めてビジネスっぽい服装をしてみるのだが、これはこれで気分転換になって良い。ただ、毎日スーツ、紺ブレスラックスだと飽きてしまう。
当たり前だが冠婚葬祭の無い普通の休日にはいくらコスプレ感覚でもスーツや紺ブレスラックスは着用したいとは思わない。動きにくいしシワになったりするのが気になる。
当方の知人でも何も用事のない休日にわざわざスーツやジャケスラを着用する人は見たことが無い。そんな人はよほどの変人・変態の類である。
そんなわけで、メンズのスーツ需要というのは、今後もゼロにはならないものの、カジュアル化がさらに普及することから総需要が減ることはあっても伸びることは無いと見ている。
当たり前だが、何の用事もない休日にわざわざスーツを着るような変人・変態の類の人口も増えることはないだろう。
そんな中、メンズスーツに関するこんなコラムが掲載され、興味深かった。
富裕層のインバウンド需要や外商顧客の獲得に力が入る都心百貨店では、商品単価が大幅に上昇している。紳士服フロアを見ると海外ブランドはもちろん、国内ブランドでもスーツの価格帯は10万円以上が主力になった。少し前まで6万~8万円台のミドルプライスを支持していた大人の男性が買う場は、百貨店から失われつつある。
ここ数年の円安や原料高の影響で大幅に値上がりした。低価格帯を強みにしてきた大手紳士服専門店でもスーツの平均単価は上昇傾向にある。24年4~9月の平均単価は、青山商事単体で3万3790円(前年同期比6.7%増)、AOKI3万600円(4.4%増)だった。
大手紳士服専門店にとって6万~10万円はまだまだ高価格帯。だが、百貨店販路で空白になったこの価格帯にチャンスがあるとみる。AOKIでは主力業態の銀座本店でオーダースーツコーナーを今秋にリニューアルした。インバウンドや富裕層の拡大、体験型消費を求めるなど市場の変化が背景にある。「洋服の青山」でも来春夏に高級ブランド「ヒルトン」「サビルロウ」を強化する。
スーツ需要全体が縮小傾向ではあるものの、ミドルプライス購入層を獲得するため、こうした市場の隙間を狙う価値はあるだろう。ただ、仕事着がカジュアル化する中、どこまで深追いするかは悩ましいところだ。
とのことで、短い記事なので全文を引用させてもらった。
その昔、2010年代半ばごろまでは、5万~8万何前円台というスーツが百貨店には確かに売られていた。これがいわゆる「ミドルプライス」と位置付けられる。
ところが、2020年以降は百貨店からミドルプライススーツが姿を消して10万円以上の商品ばかりになっているという。
もちろん、これはこれで需要はあるのだろうが、当方からすると自分の生活スタイルと照らし合わせると、10万円のスーツなんて、なんぼ品質が良かろうが、ウールのナンタラ糸がどうしようが、欲しいとも思わないし必要性を感じない。
年に2~3度のコスプレ衣装としては高すぎるし、その後の保管やメンテナンスの手間がめんどくさすぎるのである。
燃料・原材料費の高騰、円安基調などが相まって、低価格スーツの値段も少し上がっていることは理解できる。毎日の作業着としてのスーツなら青山、アオキあたりの3万円台のスーツを3着買ってローテーションするのがもっとも合理的で耐久性も高いと思う。
それでももし、ボーナスなどでちょっとだけ贅沢をしたいなら、コラムが言うところの「ミドルプライス」を選ぶという人は少なからずおられるだろう。
しかし、コラムの結びにもあるように、ビジネスシーンのカジュアル化が進む中で、どこまでミドルプライススーツを拡販できるかは見通しが難しい。
縮小するパイを奪い合って、最終的には10くらいのブランドでその小さくなったパイを分割するという形に落ち着くのではないかと思う。
とはいえ、一般のサラリーマンのビジネススタイルは低価格でしかも機能性があり、メンテナンスがラクなパジャマスーツやアクティブワークスーツ、トラベルスーツなどがマス層を席捲するのではないかと当方は思っている。