JIAM2024に行って最新型ミシンや刺しゅう機などを見てきたという話
2024年12月2日 製造加工業 1
久しぶりにJIAMを見に行ってきた。
正式には「JIAM2024 OSAKA 国際アパレル&ノンアパレル生産技術見本市」である。縫製・刺しゅう・自動裁断・インクジェットプリンターなどの機械類の展示見本市で、主な出展業者はそれらの機械メーカーである。
これまで原則として4年に一回開催していたが、たしか2020年の開催はコロナ禍のために延期となり、前回は2022年の開催だった。2022年開催はインテックス大阪4~6号館を使用していたが、今回は3~6号館なので展示スペースは前回より拡大している。
2022年の総来場者数は10452人となっている。
前回は行っておらず、その前も行っていない。さらにその前には行っていたが、その時に比べて、今回の訪問時の来場者数は少ないのではないかと感じられたが、なにぶん10年以上前のことになるので、もしかしたら思い出補正がかかっているのかもしれない。
アパレル企業、店頭販売員の人は一度は見に行っておいた方が良いのではないかと当方は思う。
機械類の展示なので、当方とてハッキリ言って半分くらい分からない部分が多い。しかし、アパレル企業や店頭販売員で、工場見学に出向く人は少なく、また意欲があっても機会が無いという人は多いから、JIAMに来場すると、ミシンや刺しゅう機、自動裁断機、インクジェットプリンターの実演デモンストレーションを多数見ることができる。
それらを見ておくとどのような機械がどんな感じで動いて洋服や雑貨類を製造するのかという一端が分かるし、どのような工程が存在するのかも理解できるだろう。
例えば、延反機の存在理由なんてご存知の無い店頭販売員も少なからずおられるのではないかと思う。
中小機械メーカーに加えて、台湾やドイツ、中国などの各種機械メーカーも出展しているほか、ブラザー、ジューキ、ペガサス、島精機などの大手機械メーカーはほとんどすべてが出展していて、大手はそれぞれ広いブースを構えている。
大手ミシンメーカー各社の目玉は
1、デジタル化
2、省人化
3、生産効率向上
の取り組みである。どこもそれぞれのシステムでそれを来場者に向けてアピールしている。
その中で気になったのが「生産効率向上」である。
例えば、ブラザーのブースでは新しいシステムとそれに紐づいた新型ミシンをプレゼンしていたのだが、工業ミシンには調整時間というものが必ず必要になるが、この新型システムとミシンを導入すると51分短縮することができ、この51分間で生産できる枚数が増えて生産効率向上につながるというのである。
詳細な技術のことについては当方は全く知識が無いが、この生産効率向上についてはすごいことだと感心するのだが、この生産数量増強というのは、縫製工場にとって必要な施策なのか疑問を感じてしまった。
生産数量の増強というのは、各縫製工場の注文数量が増えている状態なら必要不可欠でニーズが高い。しかし、国内縫製工場で受注量が増えて困っているという工場はそんなに多くない。どちらかというと少数派であるので国内ではこのシステムとミシンの需要は少ないのではないかと思う。
海外だと受注量が増加し続けている工場も少なからずあり、国内よりは需要は多いと想像できるが、それでも中国だと工場間の景気はマダラ模様で、良いところもあれば悪いところもある。以前のように大量生産受注が無くなったので小ロット生産に転じている工場も多い。
韓国は元々、小ロット生産がほとんどである。
東南アジアやバングラデシュそれからインドあたりなら需要はそこそこ多いのではないかと想像するばかりである。
ただ、全世界的に「大量生産大量消費は悪」「ファストファッションは悪」という風潮が強まっている中(実際に各国民の消費行動がそれに伴っているかどうかは別として)で、どんどん衣料品を増産しましょうという風潮は強まりにくい。
となると、このシステム自体の導入件数もどこまで伸びるのだろうか。イマイチ響かなかった来場者も多いんじゃないのかな?なんてことを想像した次第である。
しかし、この機械メーカー総合展を見ると、現在の衣料品製造工場というのはやはり「大量生産」が基本になって成り立っているということがよくわかる。
何万枚とかいう数量でなくとも、最低でも1型で数百枚レベルの生産数量は必要とされているということがわかる。それを基本に各機械類は設計製造されている。
1点ずつ縫うとか、一人で機織りするとか、そういう家内制手工業の時代にはもう戻れないし、そういう物を個人的には欲しいとは思わない。
また、そうなると、反物や衣服の価格が高騰し、それこそ昔のように貴族様やブルジョワだけが着られるとか、王様からの褒美が反物や衣服になるという時代になってしまう。
そういう意味では、アパレル関係のエライ人や店頭販売員、メディア人(縫製業界やミシン業界のメディアではなくファッション系メディア、経済系メディア)なんかは、工場見学に行きにくいのなら、JIAMなんかは毎回見に行って機械に対する見識を多少なりとも得て、衣料品製造への見識を広げるべきではないかと思う。
JUKIは、うちの金属加工工場にも、たぶん工業用ミシンだと思いますが部品の見積とか来て、たま~に部品作ったりしてます。精度厳しいのが多いので、あんまり受注出来てないですがw
ブラザーはミシンだけじゃなく、何気に金属加工の機械(CNC工作機)とかも造ってるメーカーなんすよね。段取り時間の削減は論理的には生産性向上になるんでしょうけど、実際には工場でボトルネックになってる所を改善しないとダメなんすよね~。
早く仕事終わっても他にやること無かったら、終業時間まで遊んでるだけになっちゃうわけでw