非効率かもしれないが子供層も取り込む必要性はあるという話
2024年11月29日 百貨店 2
現在、一般庶民のテレビ離れが加速していると報道されている。
実際、当方も特定の番組以外はテレビを見なくなったし、テレビのヘビーユーザーと言われていた老人層でもテレビ離れが年々増加していると報道されている。
若い世代や子供になるとテレビ離れは当たり前の状況だろう。
子供が見るテレビ番組というと、アニメと特撮番組が双璧で、あとはNHK教育テレビの各種番組ではないかと思う。NHK教育テレビの番組はさておき、アニメと特撮番組というものは、今の子供にとってオンタイム放送時にテレビで見る物ではなくなっていると言われている。
理由は、
1、ネットフリックスやAmazonプライムでのアニメ・特撮番組の充実
2、見忘れてもティーバーで見られる
3、子供が見やすい時間(ゴールデンタイム、日曜早朝など)に番組が放送されていない
というところにあるだろう。
当方が子供の頃なんて、夕方から夜8時ぐらいまではずっとアニメ番組と特撮番組を再放送含めて放映していた。16時から18時までは再放送番組、18時から1時間ニュースを挟んで、19時から20時まではその時々の新番組放送という具合である。
当方の息子が子供時代にはさすがに放送本数が少なくなったが、ドラえもんは夜19時からの放送だったし、それ以外にも19時から20時放送のアニメ番組はいくつかあった。
それが今では、ドラえもんはわけのわからん土曜日夕方5時くらいに移動させられているし、日曜朝7時からの特撮番組も日曜朝9時からという中途半端な時間に移動させられてしまった。あとは深夜アニメかである。
日曜朝9時だと親とお出かけしてしまっている可能性が高いし、夕方17時なら友達と遊んでいる可能性が高い。良い子は深夜には寝ている。必然的にテレビでは見なくなり、後日ティーバーで見るとか、ネットフリックスやAmazonプライムで見るということになる。
ティーバー、Amazonプライムなどがあれば録画することすら必要性が無い。
子供向けとされてきたアニメや特撮番組がゴールデンタイムから排除されたのは、例えば子供人口が減ったなどの相応の理由が考えられ、それも理解できるのだが、「テレビを見るという習慣が無い」子供をさらに量産していることになり、テレビ局としては自分で自分の首を絞めている側面も強い。
今の子供たちが中高生になったときに、見慣れていないテレビなんてわざわざ見ることはなく、ネット配信でそれを済ませてしまい、テレビ視聴者は現在よりもさらに減ることになるだろう。
子供のころの習慣や経験が無いことを大人になってからわざわざ始める人は相当に少ない。
これと同じことが百貨店にも言えるのではないかと常々思っている。
新宿伊勢丹や阪急うめだ店などの都心大型旗艦店は高額需要とインバウンド需要を取り込んで過去最高実績を更新し続けている。しかし、その一方で、中型店や地方郊外店は苦戦を続けており、百貨店全体としてまとめて見ると、現状維持がやっとという状態にある。
絶好調を続ける都心大型旗艦店は今後もある程度は安泰だし、生き残り続けるだろうが、百貨店全体としては今後も店舗数を減少させ続けることになると当方は見ている。
都心旗艦店を除くと百貨店は新しい客層をなかなか取り込みにくい。
理由は様々あるだろうが、子供の頃から百貨店に行くという経験をしたことが無い世代が増えているところにもあるだろう。
今の子供連れ家族が百貨店に行くことはほとんどないだろう。彼らはイオンモールを始めとする郊外型の大型ショッピングセンターへ行くことが多い。
自動車で行けるという利点もさることながら、大型ショッピングセンターには子供を連れて行っても退屈しないというところが大きい。アミューズメントパークもあり、おもちゃ屋もあり本屋もある。おまけにフードコートもあるから、子供の立場からすると「服と化粧品しかない百貨店に行くのは退屈だから嫌だけどショッピングセンターなら行きたい(行ってもいい)」ということになる。実際、当方は子供の時にそう思っていて、母親に連れられて百貨店に行くことは苦痛でしかなかった。まだ、ジャスコやイズミヤへ連れられて行った方が一億倍マシだった。
服屋と化粧品屋しか無くて、イキった飲食店しかない百貨店という施設は子供にとっては退屈極まりない存在だから、絶対に行きたいと思わない。それで退屈になってグズるから若い親としても百貨店に行くよりも大型ショッピングセンターに連れて行くことを選ぶ。
その子供たちが学生になり、20代になったときにわざわざ百貨店へ行きたいと思うだろうか。ファッションに目覚めて百貨店デビューする人もいるだろうが、その人が何割くらいいるのだろうか?割合からすると少数派ではないか。大多数の成長した子供たちは行き慣れた大型ショッピングンセンターへ行くだろうし、そのまた子供を大型ショッピングセンターへ連れて行くことになるだろう。
販売効率や利益効率を考えると、百貨店が洋服と化粧品と食材に特化したことは正解ではあったが、次世代客作りという点においては失敗だったといえる。
しかし、絶好調時なら少々の冒険は可能だが、全般的に衰勢にある百貨店というチャネルが今更アミューズメントパークやらおもちゃ屋やらを導入に踏み切れるはずもない。せいぜい、近鉄百貨店の郊外店のように衣料品ではないテナントを大幅に誘致して大家さんとして存続することが現実的な選択といえるのではないか。
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でこぽ より: 2024/11/29(金) 5:56 PM
来春閉店する百貨店のセール見に行きましたが、「対象年齢70代・・・?」という感じで欲しいものがなにもありませんでした。百貨店はもうだめだと思います。
いつも楽しく読ませてもらってます。
玩具店やアミューズメント施設はありませんが、東京の日本橋の高島屋だとポケモンセンターとか展覧会といったイベントがありますね。
ミニチュア絵本で人気のある田中達也さんの展覧会は親子連れで賑わっていました。横浜のそごうでも展覧会やっていました。
現状だとポケモンセンターみたいなアニメ、ゲームのお店か子供にも人気のある題材の展覧会が百貨店にとって若年層を取り込める機会なのかもしれませんね。