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南充浩 オフィシャルブログ

プロパー販売にこだわりすぎるのは却って損失を招くという話

2024年10月22日 決算 1

様々な物の値段が上がっており、一部の賃金も上昇しつつあるが、やっぱり基本的には「割高な価格」は敬遠されやすい。

また、売れ残った商品を無理やりに定価で売ることも難しく、処分が遅れると逆に値引き以上の損失を被る。

 

かつて、デフレ感がピークだった2000年半ばごろに「値上げして価値を売りましょう」という提案が一部で流行った。デフレの逆張りなのでこれはこれで存在意義はある。

ただ、問題はこのコンサルタントのギャラが値上がりしすぎて、後年仕事の依頼が減ったと言われている。また、アパレル業界の世間的に著名なコンサルタント諸氏のギャラの提示を側聞したことがあるが、中には「何千万円」というものがあり、非常に高額すぎて契約に至らなかったという例が多々ある。

なるべく高く売るというのは商売の基本だが、それでも「高すぎる」と売れにくいのである。

逆に決して安くはないが高すぎない値段設定で、いくら売れてもその価格設定を上げないというコンサルタントやアドバイザーは契約があまり途切れることがない。

 

 

そういえば、最近は「プロパー消化率のKPIガー」という声をあまり聞かなくなったような気がする。少なくともメディアでは少しトーンが落ちている。

「なるべく高く売る」ということが商売の基本だから、そのために努力をすることは正しいのだが、売れ残った物をいくらゴリ押ししても定価では売れるはずがない。なぜなら、定価で売れるならとっくに完売しているからである。

 

先日興味深い記事が掲載された。

《決算発表から》バロックジャパンリミテッド村井博之社長 「プロパー販売にこだわり過ぎた」 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

 

上期(24年3~8月)は減収営業減益となり、「大変恥ずかしい決算内容」と振り返る。特に国内事業の主力であるSCブランドで客数が減少。店舗売り上げで苦戦した影響が出た。その理由として「プロパー販売にこだわり過ぎてしまい、機動的な商品の消化を阻害してしまった」ことを挙げる。

 

とある。

この記事は国内と中国に別れて書かれている。中国については後程紹介するがそちらも大苦戦に終わっている。

まず、国内の苦戦については「プロパー販売にこだわり過ぎて、機動的な商品消化に失敗している」と理由を説明している。

これは恐らく、夏のバーゲンセールや、その他の時期の不振品番の値下げが不十分だった、もしくは定価販売期間を引っ張りすぎたということを意味しているのだろうと考えられる。

 

 

値下げする場合は基本的に損をしない程度に投げ売りすれば良いと当方は考えている。ただ、ブランドのステイタス性は犠牲になる可能性が高いのでその辺りは勘案しながら、適度でしかも飛びつきやすい値下げをするのが理想的だといえる。

ただ、厳しく言えば、どんなに心を込めて作ろうが上質な素材や仕様であろうが、売れ残った物は値下げしなくては売れない。特に上場企業は決算を公開しなくてはならないから、さっさと損をしないギリギリのラインまで値下げして売り切ってしまった方が得策である。

 

ではどうして、バロックが値下げに失敗したのかと考えてみると

1、利益を最大確保したかった

2、わけのわからないコンサルの唱えるプロパー消化率ガーを盲信してしまった

という2つの可能性があるのではないだろうか。

 

1の場合はよくわかる。当方とて販売経験があるがなるべく高く売りたくて値下げをせずに引っ張ってしまう。当事者になるとえてしてそんなもんである。

次に2の可能性も捨てきれない。大手の場合は必ずほとんどコンサルタント系が入っている。それもかなり複数入っている企業も珍しくない。そのコンサルタントがプロパー消化率盲信教徒だった場合、経営陣がそれに盲従してしまう可能性はかなり高いだろう。

外部から見ていたら、そんなことは周囲を見渡せば容易に理解できると思ってしまうのだが、内部にいる人間はそうではない場合が多い。これは当方とてそうだ。

 

そしてバロックの場合は主販路である中国でも苦戦傾向にあり、以下のように説明されている。

 

一方、不採算店舗の閉鎖を進める中国は、持分法適用投資損失(3億6000万円)が予想より膨らんだ。原因は「不採算店舗のスクラップ速度が遅い」こと。上期中に期初から34店を減らしたが、「まだ足りない。今後、スクラップの速度をさらに加速させる。また、直営店に代わる収益性の高いFC化とECの強化を急ぐ」と強調した。

 

とある。

中国経済については擁護派は「底堅い」と主張しているが、当方も含めて「厳しい」と見る人も多い。もちろん、不況の中国市場でも好調ブランドや好調分野もあるが、それはどの国の不況時でも同じである。

日本だってリーマンショック時、全般的には不況だったが、好調分野や好調企業はあった。日経平均株価が9000円台の時でも高騰している銘柄はあった。

中国もそれと同様だろう。

 

それはさておき、今回のバロックの不振決算の原因究明は過剰なプロパー消化率盲信に一石を投じる見解となったのではないだろうか。

衣料品に限らず、売れ残った物をゴリ押しして定価で売ることは不可能に近いので、不振品番は損をしないギリギリまで値下げしてさっさと売り切れべきだろう。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2024/10/22(火) 1:45 PM

    うちのダメダメ金属加工工場の無能な二代目バカ社長もアレで有名になった小山◯ってコンサルタントと、一般的にも有名な船◯総研の二社に高額なコンサルタントしてもらってましたね。

    小山某のほうは私がネットで批判してトラブってコンサルタント会員を退会しましたが、船◯のほうは「集客Webサイト」とかを500万だかで作ってずっーと効果出ないまま続けてました。
    二代目バカ社長が逃げ出した後の買収先の経営陣に「集客Webサイトなんか全く役に立ってないから閉鎖しましょう」と提案し続け、3年経ってようやく閉鎖できました。つごう10年間、無駄金を使い続けてました。

    ホント、コンサルタントとか雇わないほうが良いですわw

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