
ジーンズカジュアル専門店が成立しづらくなった理由
2024年10月21日 売り場探訪 0
関西は土曜日の午後に豪雨が降ってから涼しくなった。
とはいえ、21日の月曜日の大阪の最高気温は25度だし、火曜日は27度で29日の最高気温も雨ながら27度の予報である。
大阪は29日まで夏日が続くので、あと8日間は夏服で過ごすことが決定的である。
これほどまでに暑さが長引く10月を当方は初めて体験している。
季節柄、さすがに半ズボンは穿かなくなったが、それでも10月半ばまでは半ズボンを穿いていた。長ズボンに切り替えたものの、13~14オンスの定番デニム生地で作られたジーンズは穿く気にならない。
合繊100%、もしくは合繊高混率の薄手生地夏用スラックスを愛用している。
定番デニム生地のジーンズはやはり暑い。そして形にもよるが動きにくい。当方がジーンズを穿く期間というのは年々短くなってきており、長ければ11月~4月末だが、平均的には12月~3月くらいだろうか。
12~11オンスのライトオンスデニム生地のジーンズは11月、3月、4月、5月に穿くことはある。
かつて、大学生から30歳後半までほとんど毎日、定番デニム生地のジーンズを穿いていた。真夏だろうが真冬だろうが、定番デニム生地のブルージーンズを穿いてすごしていた。
ご存知の通り、メディアもアパレルも服装規定は他業界よりも緩いので、ジーンズを穿いていても許されることが多かったからだ。
それと個人的にもジーンズ関連の担当が多かったことも余計に拍車をかけた。そんな当方がなぜジーンズをあまり穿かなくなったのか。
個人的に考えてみた。
1、老化による当方の弱体化
2、他の快適な商品を体感してしまった
3、ブルージーンズがトレンドアイテムではなくなった時期が長かった
あたりではないかと思う。
1と2は密接にリンクしている。老化によって心身ともに弱体化すると、快適な物や機能的な物の方を好むようになる。特にスキニージーンズブームによってストレッチ混素材の快適性を体感すると、綿100%定番デニム生地で作られたジーンズなど着用したいとは思わなくなる。
また、2015年以降のワイドシルエットブームでゆとりシルエットのズボンを穿いてしまうと、綿100%デニム生地のレギュラーストレートジーンズなんて窮屈で不快でしかなくなる。
また、3のブルージーンズがトレンドアイテムから外れたという話だが、これは2010年代半ばから後半にかけて、若者のジーンズ着用率がとみに減った。当時ならスエットパンツ、ジャージパンツ、ワイドスラックス、ワイドカーゴパンツあたりだっただろうか。統計を取っているわけではないが、体感的に男性・女性ともに若者のブルージーンズ着用比率が大きく減ったと感じられた。
そうなると、オッサンたる当方とてそのトレンドに引っ張られる部分が出てくる。スエットパンツはオッサンが穿くと寝間着にしか見えないので外出着としては着用しないが、スラックスやカーゴパンツ、ジョガーパンツあたりは着用するようになる。またコーディネイト的にも当時の着こなしにはジーンズではない方が合わせやすい。
これらの複合的な要因で、ジーンズの着用率が全般的に下がると、その「ジーンズ」を最大のメインアイテムとして成り立っていたジーンズカジュアル専門店チェーンの業績は悪化せざるを得ない。
もちろん、ジーンズ以外のカジュアルパンツ(カーゴパンツ、スエットパンツなど)も置いてはいるが、ジーンズのイメージが強すぎて、必然的に集客力は鈍ってしまう。
ライトオン、マックハウスというジーンズカジュアル専門店チェーンの2トップがそろって経営難に陥り、身売りしたということは、ジーンズカジュアル専門店というスタイルがマス層向けでは成り立ちにくくなっているということに他ならない。
2020年以降、若者のブルージーンズ着用比率が高まってきている。特に2024年はジーンズを着用した若者が男女ともに大幅に増えたように感じる。
繁華街でジーンズを着用した若い男女を見る機会が増えたが、これは若者がジーンズの魅力を再発見したわけではないだろう。
着用してるジーンズを見ても、「いわゆる物作り系ジーンズブランド」は少ないからだ。ジーンズが再評価されたというよりもデニム生地の服がトレンドだから着用しているという方が正しいのではないか。
そうなると「物作り系ジーンズブランド」であるかどうかはどうでもよくて、それぞれ自分の財布と体型にあったジーンズを着用すれば良いということになり、ハニーズだろうがユニクロだろううがジーユーだろうが無印良品だろうがローリーズファームだろうが古着だろうが構わないということになる。
ジーンズカジュアル専門店という分野が成り立ちにくくなったという理由の1つには、このようにジーンズやデニム生地が総合的な衣料品の中の一つに過ぎなくなったということがあるのではないだろうか。
ジーンズやデニムが非トレンドだから着用しなくなり、トレンドだから着用するという消費者行動は、ジーンズやデニムが総合的な衣料品に完全に呑み込まれてしまったということを意味する。
そうなると、「ジーンズとジーンズを基調としたカジュアル『しか』ないジーンズカジュアル専門店」を支持する人は少なくなり、市場規模が縮小してしまう。ジーンズにこだわる人はもっとこだわりのブランドへ流れるだろうし、そうでない人は「ジーンズ『も』ある店」で買うという消費行動をとるようになる。その「ジーンズ『も』ある店」がユニクロでありジーユーでありビームスであり無印良品でありユナイテッドアローズであるということになる。
ジーンズとデニム生地が総合的な衣料品や総合ファッションに呑み込まれた時点でジーンズカジュアル専門店が凋落するというのは必然だったといえるだろう。ライトオン、マックハウスともに再建できずに消え去る可能性は決して低くないと当方は見ている。