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南充浩 オフィシャルブログ

マックハウスも投げ売り売却されジーンズカジュアル専門店の終焉が鮮明に

2024年10月16日 企業研究 1

ライトオンと足並みをそろえたわけではないのだろうが、ジーンズカジュアル専門店2位の売上高だったマックハウスも売却が発表された。10月11日のことである。

これで、ジーンズカジュアル専門店チェーンの1位ライトオン、2位マックハウスともに買収されたということになり、「ジーンズカジュアル専門店」という業態が大規模には成り立たなくなったということが顕在化されたといえる。

今回はマックハウスについて考えてみたい。

 

ジーエフHDがマックハウスを子会社化 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

ジーエフホールディングス(HD)は、出資するファンドを通じて、チヨダが所有するマックハウスの全株式を取得し、子会社すると発表した。10月15日からTOB(株式公開買い付け)を開始する。買い付け予定数は938万9880~1005万株。買い付け価格は1株32円。

マックハウスは、商品の刷新や不採算店舗の撤退などを進めてきたが、黒字化の見通しが立たず、19年2月期から6期連続の赤字だった。

 

とのことである。

マックハウスは長らく靴のチヨダの子会社として運営されており、歴代の社長もチヨダからの移籍が多かった。2000年代後半以降から衰勢となり始めたマックハウスだが、チヨダ出身の歴代社長では挽回することなく、現在に至った。

ちなみに2025年2月期の見通しだが、

売上高 135億円(対前期比12・4%減)

営業損失 8億9000万円

経常損失 8億5000万円

当期損失 10億7000万円

となっており、大幅減収の赤字継続である。

 

外野からこれまでのマックハウスの施策を見ていると、正直なところ、靴のチヨダ出身の経営陣の施策があまりピンと来ないものが多く、特に2010年代以降は靴のチヨダのノウハウがマックハウスという業態には適合していないのではないかと感じられた。

今回は靴のチヨダから、近年不振アパレルをダボハゼ積極的に買い集めている物流商社のジーエフHDに売却されることになったわけだが、ジーエフHD傘下にはジャヴァHDも存在しており、形態はやや異なるが、ワールド傘下になったライトオンと同様にマックハウスも百貨店・ファッションビル向け総合アパレルと同居するという状態となったわけである。

 

それにしても驚くべきは今回の買収額で1株わずかに32円である。この発表があった10月11日のマックハウスの株価は334円で推移だったから、実に9割引き強の投げ売りディスカウントセールである。天神橋筋商店街に軒を連ねるバッタ屋並みの低価格販売だ。

 

 

マックハウスはかつて2009年2月期には566億円の売上高があったが、減収に次ぐ減収で、ついに2025年2月期見通しでは2009年度比で77%減の売り上げ規模にまで縮小してしまったということになる。

これまで不採算店の撤退を繰り返してきたマックハウスだが、その結果、地方のショッピングセンター内のテナントと一部の地方ロードサイド店だけになってしまっており、ライトオンよりも都心店が少ないという状況になった。都心店はほぼ皆無というのが現状である。

その結果どうなるかというと、まず、知名度が低下する一方となる。そして、地方店だけになると、競合が起きるのが、ユニクロ、しまむら、アベイルになる。近年ならワークマンもその対象になるだろうか。

特に価格面においては、しまむら、ワークマンにはかなわないから、ますます店頭販売状況は厳しくなる。もちろん、衣料品の販売は価格だけの競争ではないが、今のマックハウスにしまむら、ワークマン、ユニクロ、アベイルを上回るブランド力や話題性があるだろうか。当方は無いと思う。そうなると、マックハウスを選ぶ消費者は増えない。

今のままなら、マックハウスは縮小均衡するほかない。再拡大できる可能性は限りなく低いだろう。

 

 

それにしても自力再建が不可能となってワールド傘下となったライトオン、ジーエフHDに9割引きでディスカウント販売されたマックハウスという結末を見ていると、ジーンズを基本としたカジュアルウェアチェーン店という業態自体がマス層から支持されなくなったということになる。

恐らく、低価格マス層はジーユー、ユニクロ、しまむらなどに奪われ、高価格帯はディーゼルなどのブランドや物作り系ブランドに奪われたというのが、このジーンズカジュアル市場の大雑把な構図だろう。

エドウイン、リーバイスは中価格帯の少し上に存在しているが、中価格帯はグローバルワークや無印良品などのSPA型ブランドに奪われていると当方は見える。

もちろん、リーバイスやエドウインの支持者もいるが、それとてジーンズカジュアル専門店で買う必要も無く、それぞれの直営ネット通販やアウトレット店、オンリーショップで買えば事足りる。

 

 

2000年代半ば以降、全国展開のトップ2だったライトオン、マックハウスは凋落し続け、地方の地域密着チェーン店も多くが倒産・廃業した。生き残ったチェーン店はそれぞれ独自路線を進んでおり、ボーンフリーやビッグアメリカンなどは大型高額地方カジュアルセレクトショップ化した。またジャックは小泉アパレルグループのコスギ傘下となり、低価格チェーン店化して細々と存続している。一方、ポイントはSPA化しアダストリアHDへと変貌し、大規模な成長を遂げた。ジグ三信は都心型セレクトショップ化しアーバンリサーチとして存続している。

結局、ジーンズカジュアル専門店チェーンという形態を全国規模で何とか守り続けてきたライトオンとマックハウスが自力存続が難しくなったということになり、やはり「ジーンズカジュアルウェア専門店」という業態が成り立たなくなったということになるだろう。

 

 

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 comment
  • ミナミミツヒロ的けち生活者 より: 2024/10/16(水) 10:36 AM

    これぞ専門記者という内容ですね

    >ボーンフリーやビッグアメリカン
    >大型/高額/地方カジュアルセレクトショップ化

    >ジャックは小泉アパレルグループのコスギ傘下
    >低価格チェーン店化して細々と存続

    >ポイントはSPA化しアダストリアHDへと変貌し、
    >大規模な成長を遂げる

    >ジグ三信は都心型セレクトショップ化し
    >アーバンリサーチとして存続し、一定の成長を遂げる

    >ジーンズカジュアル専門店チェーンという形態を
    >全国規模で何とか守り続けてきた
    >ライトオンとマックハウスは自力存続をあきらめる

    こういう内容こそ繊研の連載記事になるべきですよ
    細かな分析・データを加えて
    電子書籍で販売してもらえませんか?

    加えていうなら、地元のおじさんおばさんがやっていた
    個店規模の洋品店・メンズショップ@都内は
    20年以上前に大家業になりました

    帳合の面でも最低3社と取引があれば
    必要な商品をすべて揃えられたのだから
    ラクな商売だったと思います

    ジーンズを主体としたメンズカジュアル洋品店は
    VANショップに続いて
    個人が参入できる
    有力アパレルビジネスのいち形態でした

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