40歳未満の若い世代はジーンズカジュアル専門店に親しみを感じないという話
2024年10月16日 企業研究 3
ライトオン、マックハウスと立て続けにジーンズカジュアル専門店のトップ2が買収されて、当方としては感慨が深いのだが、この感慨には年代によって大きな差があると感じた。
ライトオンの買収が発表されてから某ウェブメディアの担当者から電話があり、かいつまんで解説をしたのだが、その担当者はピンと来ていない様子だった。
尋ねてみると、その担当者は34歳男性で、当方のちょうど20歳年少だった。ちなみに当方の息子2人も20代後半になっており、担当者と息子たちは年代が近い。
この34歳担当者によると「ライトオンなんて高校生の時以来買ったことがないです」とのことだったので、かれこれ15年以上買っていないということになる。
20代後半になった当方の息子2人からもユニクロやジーユー、アダストリアという言葉を聞くことはあるが、ライトオンで買ったという話は聞いたことがない。
とすると、恐らくは今の30代、20代にとってライトオン、マックハウスというのは「買ったことがない」「あまり身近に存在しない」という店舗なのではないかと思う。
もちろん、生まれ育った土地によっては、近所のショッピングセンターで親しんでいたというその年代の方もおられるだろうが、少なくとも社会人になってからはあまり利用しないという人がその年代でもほとんどではないかと推測される。
ちなみに当方のフェイスブックはオッサン・オバハンが多いので、ライトオンやマックハウスの話題にはそこそこ反応が多い。
ライトオン、マックハウスに反応する下限年齢はどの辺りかと考えてみたのだが、40代前半なのではないかと当方は推測した。
当方は1970年生まれの54歳である。担当者は恐らくは1990年生まれの34歳だろう。
98年にユニクロのフリースブームが起きた時、当方は28歳だったが、担当者は8歳だった。当方からするとユニクロというのは「新参者」でしかないが、担当者からすると「子供のころから存在している大手」ということになる。
ジーユーがリニューアルした2010年に当方は40歳だが、担当者は20歳である。
となると、この年代の人はユニクロ、ジーユ―で買うのが当たり前という購買行動となっている。この間、ライトオン、マックハウスは減収し続け店舗数も減らし続けてきたので、ますます疎遠になるというわけである。
そして、恐らく、現在44歳くらいがライトオン、マックハウスにそこそこの愛着?思い出?を持っている最後の世代ではないかと当方は推測している。
現在の44歳は98年当時18歳である。高校3年生か卒業したばかりで、恐らく大学生時代にはライトオンで買うこともあっただろうから、それなりに愛着はあるだろう。
ジーユーがリニューアルした2010年には30歳だから、どちらかというと「新参者」という感じを今でも持っていることだろう。
だから、当方の見聞きする範囲においては、30代・20代から「あのライトオンとマックハウスが!」なんていう感想は一切聞こえてこない。そういう感想があるのは40歳以上の中高年ばかりだ。
さて、ジーンズカジュアル専門店が提供してきたのは、ジーンズを基本としたカジュアルスタイルで、アメカジ、ミリタリー、ワークテイストがメインだったといえ、そこに時々スポーツが差し込まれた感じである。
2005年にクールビズが始まるまでは、カジュアルフライデーなんていう運動もあったものの特にメンズはビジネスとカジュアルがはっきりと別れていた。ビジカジなんていう言葉が市民権を得たのは2005年以降のことである。カジュアルフライデーなんて今の若い人が見たら驚くかもしれないが、全然カジュアルじゃなかった。
余談だが、カジュアルフライデーの際、まだ若かった当方はジーンズにシャツジャケットみたいのを着て行ったところ、当時の役員の人(当時60代)から「それはカジュアルフライデーではない」と手ひどくお叱りを受けた。彼らのいうカジュアルはスーツではなく、ジャケスラスタイルでもちろんネクタイを締めるのである。手っ取り早く想像してもらうとしたらチノパンと紺ブレにカジュアルっぽいシャツを着てネクタイを締めるスタイルである。
いや、そんなもん、ちゃんと言ってくれないとわからねえよ。
閑話休題。
その後、ビジカジが浸透し、完全にフリーカジュアルになったとはいえないが、ある程度はビジネスとカジュアルは融合してしまった。現在だとユニクロ、ジーユ―は両方売っているし、ビームスやユナイテッドアローズなどの大手セレクトショップも両方を扱っている。
言ってみればジーンズカジュアルは総合的なファッション衣料の一つに完全に組み込まれたということになる。
またジーンズというアイテム自体もこれまで何度も書いて来たように、元来は製造段階から特殊な集団だったのが、OBや独立組が増えたことによって、ジーンズ専門ブランドでなくてもその製造ルートを使えるようになった。そうなると、タケオキクチだろうがポールスミスだろうが、コムサだろうがジーンズを扱うようになる。ビームスもUAもジーンズを販売するようになる。
そして、ビンテージブームで培われた「やっぱりスラブ糸を使って織られた凹凸感のあるデニム生地でないと、タテ落ちしないからダサい」みたいな「謎のこだわり」もブームが去ることで徐々に薄れて行き、ストレッチデニム素材が基本となったスキニーブームの到来で一気に過去の遺物へと成り下がってしまう。スキニージーンズで重視されたのは如何に伸縮率が高いかで、スラブ糸の凹凸感なんてどうでもよくなった。
スキニージーンズブームが終了するとルーズシルエットの復活で、ジーンズは80年代調ののっぺりとした表面感が好まれるようになる。こうなるとますます、ジーンズは専門ブランドでなくともよくなってしまう。
もちろん根強いジーンズファンが消えたわけではないが、彼らはマスでもなくなり、そういうファンは桃太郎ジーンズやシュガーケーン、アイアンハート、ジョンブルなどのこだわりブランドに流れ、割安感を求めるマス層はユニクロ、ジーユ―、しまむら、などに流れてしまう。中間価格帯はグローバルワークや無印良品などのSPAブランドに流れてしまい、ジーンズカジュアル専門店はその存在意義すらほとんど失うことになった。
恐らくは10代後半~30代はこのような購買意識で生活しているのではないかと思う。
トップ企業として最後までマス層向けのジーンズカジュアル専門店であり続けようとしたライトオンとマックハウスの自力再建断念はこれらの経緯を象徴していると感じられる。
comment
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ミナミミツヒロ的けち生活者 より: 2024/10/17(木) 1:04 PM
にしてもヴィンテージ調ブ~ムは大手3社の首を
確実に締めてしまったと思いますジーンズカジュアル専門店が販路だった時代の
NB各社はシャツやトレーナー、コート
はてやベルトやバック類まで展開がありましたそしてジーンズメーカーなのに、デニムでない
パンツも実は豊富。各社コッパンもやってましたこれでMA-1やスニーカーも置いてる店なら
上から下までいまふうで全部揃う訳ですところがその後20年はジャンルを細かく割って
単価を上げて深堀りする路線になってしまったマァ消費者の大多数は離れますわな
ふつうの人たちは、単品ごとにコダワリまくって
雑誌読んで情報集めて、
いろんなお店めぐりをして
服にお金をかけたい訳じゃないですから裏をかえすと、全身廉価そこそこ品質で揃う
全年齢・全性別対象のチェーンは最強です -
ミナミさん的節約主義者 より: 2024/10/17(木) 9:03 PM
連投失礼
この不況なご時世でも、知人で
・あしもとはRed Wing
・下は桃太郎ジーンズ
・上はコダワリスウェット
・車はメルセデスのゲレンデなんちゃら
・バイクはハーレーというのがいますが、やはり実家が太い層です
給料はそう高くないけど堅実な職種に就き
趣味のお金は同居しているアパート持ちな
ご両親から出ている模様勤め人で仕事が忙しくても、手がねいっぱいだと
着る物にも神経つかう余裕がでるんでしょうなぁ・・・買い物したり、オシャレしたりする余裕も
結局はカネ次第というか正確には
先々の収入の見通しがあるかどうかミナミさんが年金手取り30万確約されていたら
どんな服装をするでしょうか?ちょっと興味があります
え?ワタシ?
きんじょのヨーカドー閉店セールで買った
7&アイの商品で全身今日もキメキメですよサテ、あまりもんで夕食すませますか・・・
これも優れた内容だなぁ。そしてミナミさんでしか書けません
1文1文がいちいち良いんですよ(一部編集あり)
>ジーンズカジュアルスタイルとは
>ジーンズを基本としながらも
>アメカジ、ミリタリー、ワークテイストがメインで
>そこに時々スポーツが差し込まれた感じ
ホントなるほどね、という感じです
そしてジーンズカジュアル専門店が
70年代のGパンブーム以降も大躍進が続いたのは
こうした複合的なスタイルのアイテム全てが
1店舗で揃ったからでしょう
私が記憶している範囲では、地場の個人店ですが
N3-Bや3型程度ですがスニーカーそしてリュックまで
置いているお店がありました
こうしたお店で秋冬物をぜんぶ揃えたとすると
95年ごろは最低4,5万かかったと思います
で、こうしたお店がピークだった80年代から
ときが流れる事40年。2024年現在は
ユニクロGUその他で全部揃いますが
全身トータル1.5万以下になりました
ただ当時の売場や個店は面白かったですねぇ
内装や什器類にも工夫があって
古い個店に多かったのは
カントリー調や山小屋ふう
そして奥には当然のように裾上げ用のミシン
そして、そのうち近所にユニクロとかいう
大きなカジュアル衣料店ができました
視察すると、お店の作りは思いのほか
従来のジーンズカジュアル専門店に近かったです
そして売っている物もほぼ同じ~
やや低品質な物で、値段もさほど安くない
90年代半ばの話です
今後、価格破壊がよほど進まないと
大躍進は無いと思いました