
不定期刊行に移行することでさらに存在感を無くしそうな雑誌「メンズクラブ」
2024年10月11日 メディア 2
イベントでも情報発信でも「決まったスケジュールで長期間行うこと」が必須だと感じる。
不定期開催、不定期更新だとよほどのコアなファン以外はわざわざ確認をしてもらえない。週刊少年ジャンプは毎週月曜日発売だからほぼ自動的にみんなが買いに行くわけで、不定期発行ならよほどの病的なファン以外は、めんどくさくて毎回発行日を確認するなんていう作業はしない。
当方の顔見知りで、当方以上に業界の古株で一定の知名度を持った方がおられるが、ブログ更新や動画配信なども積極的に行われておられるのだが、イマイチ閲覧数や再生回数は伸びない。理由は様々あるのだろうが、その人特有の気まぐれな不定期発信、不定期更新が原因の一つではないかと思いながら生暖かい目で眺めている。
この観点に立てば、雑誌「メンズクラブ」の不定期刊行への移行はさらに業績を厳しくしていくのではないかと考えられる。
創刊70周年、雑誌「メンズクラブ」が定期刊行終了 不定期刊行へ (fashionsnap.com)
ハースト婦人画報社がメンズメディアブランドの刷新に伴い、雑誌「メンズクラブ(MEN’S CLUB)」の定期刊行を終了する。最終号は10月10日に発売。今後は不定期刊行となる。
長らく月刊発行を継続したが、2023年3月発売号をもって、発行回数を年10回から年4回に変更。今年は創刊70周年のアニバーサリーイヤーだった。
とのことで、個人的にはライトオンの身売りよりもある意味で衝撃を感じた。
もちろん、当方が読者になった時期は90年代前半、しかも大学卒業後と遅かったので、古参読者などというつもりは毛頭ない。
しかし、その当時は勉強がてら毎月メンズクラブを読んでいて、結局、2010年ごろまでほぼ毎月買って愛読していたので結構思い入れはある。
ただ、2023年3月号をもって、年四回発行になっているから、発行部数・販売部数ともに相当の落ち込みだったと推測される。
そこで、一般社団法人日本雑誌協会のサイトで、3カ月間の平均発行部数を調べてみた。
一般社団法人 日本雑誌協会 (j-magazine.or.jp)
コロナ禍が始まる直前の2019年10月~12月のメンズクラブの平均発行部数は57000部強である。
コロナ禍が始まった2020年1月~3月のメンズクラブの平均発行部数は55750部となっていて、ほとんど影響を受けていないかに思われる。
しかし、そう考えた人がいるとしたら早計である。こういうものはタイムラグが必ずあるからだ。
コロナ自粛が始まったのは早いところで2月下旬であり、3月にもまだ全国には自粛は広がっていなかった。全国的に自粛が行われたのが4月に入ってからなので、影響は4月以降に出てくる。
そこで、2020年4月~6月の平均発行部数を見てみると、33350部に激減している。
一気に22000部ほど減少したということになる。
購読者が激減したというよりも、雑誌に広告を掲載するアパレル企業、ブランドが激減したのが原因だと考えられる。
一般的に雑誌というのは購読料だけでは製作コストがまかなえない。広告掲載料によって製作コストがまかなわれている。これはメンズクラブに限らず全ての雑誌においてである。
コロナ自粛で圧倒的に売上高が激減したアパレル企業やブランドが真っ先に削減するのは広告宣伝費である。そして広告宣伝費の最たるものとして雑誌広告が緊急で停止されたと考えられる。
実際、メンズクラブに限らずコロナ自粛以降のファッション雑誌は如実にページ数が薄くなった。広告掲載量が激減したからだ。
そして平均発行部数はここから3万部台で推移を続け、2021年4月~6月で29067部とついに3万部を割り込んで2万部台へ転落してしまう。
そこからじわじわと部数減少がさらに続き、22年4月~6月で平均発行部数は24000強にまで減り、年4回発行が発表される直前は23000部強にまで減少した。
ここまで発行部数が減ってしまうと、広告掲載量はさらに減り悪循環スパイラルに陥る。そのため、年12回発行の体制を到底維持できなくなってしまったといえる。
メンズクラブに限らず、メンズファッション雑誌はコロナ禍期間中に、年12回発行の看板をとうに捨てていて、広告が集まらない月や元々から弱かった月(2月号、8月号など)は合併号として年10回発行とか年9回発行へと移行してしまっていたが、メンズクラブはすでにそれすら耐えられなくなっていたということになる。
物事はすべて栄光盛衰があり諸行無常だが。長らく、「メンズファッションの教科書」と呼ばれたメンズクラブがここまで凋落してしまった原因はなんだろうか。コロナ禍がそれを早めたことは言うまでもないが、原因はコロナ禍だけではないだろう。もちろん、デジタルメディアの成長も一因だろうがそれだけでもない。
2010年までだいたい20年間くらい読んでいた当方の勝手な解釈をすると、メンズクラブは教科書的だったゆえに、ありがたい存在ではあったものの、一旦教科書の内容を覚えてしまうと、それ以降をわざわざ読もうとは思えなくなるという欠点があった。まさしく、欠点と美点は同じなのである。
当方からすると20年間も読んできたらもうそれ以上読む必要性を感じなくなってしまった。
その後、メンズクラブも編集長を交代させたりして誌面リニューアルに取り組んだ。その後もチラチラと書店でめくってみていたが、その頃になると編集長の好みなのか、レオンあたりのマイルドコピー版みたいになってしまっており、当方は読む価値を一層感じられなくなってしまった。
それならレオンなりSafariなりを読んだほうがまだマシである。
結局このリニューアルでも持ち直すことなく、コロナ禍が襲来してしまったわけである。
今後、不定期刊行になるそうだが、不定期刊行になると熱心な変態的ファン以外はさらに存在すら忘却してしまう。少々興味がある人でも「あ、気が付いたら発行されてて販売期間が終わってしまっていた」なんていうことも多発するだろう。実際に不定期開催イベント、不定期発信はそういう目に会っている。
不定期刊行になってしまうメンズクラブはさらに忘れ去られた存在となり、実質的に休刊・廃刊に近いと捉えた方が現実的といえるだろう。
comment
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ミナミさん的節約主義者 より: 2024/10/14(月) 9:38 AM
古くはVANの広告媒体
そしてメンズファッションの教科書
21世紀は要するに時代遅れのカタログ誌石津先生はこうなる事を
倒産前・50年近く前に予言しておられましたデサントのサインをみて
「いずれ誰もがああいう服を着るようになるよ」
とおっしゃったのが倒産直前そして倒産前の頃は講演会をしても
会場にジャケットを着た人がいない・・・2024年現在では、10月なのに
ポロシャツでOKの気候ですそして織物を使って芯を据えた服を着ている人を
ほとんど見なくなりました・・・当然ですが、時代が変われば気候も変わる
そして着る物はもっと変わっていきますそれにしても、この記事にコメントが
1つもつかないのがメンクラの没落を
象徴していると思いますメンクラよりこのブログのほうが
よっぽど影響力がありますよ
トラッドの教科書兼販促誌がついに・・・
したがって、芯が据えられた織物でできた服は
完全に需要が無くなったといっていいと思います
VAN倒産直前に石津先生がデサントの服をみて
「そのうちああいう服がみんなの普段着になるよ」
とおっしゃっていましたが、予言は的中しましたなぁ・・・
ただ、実態としての紳士服の終えんはもっと早かった
10年前には終わっていたような気がします
それでも宣伝媒体が持ったのは、伝統的な紳士服が
高単価ゆえに広告に流れるお金の額が大きかったから
でも、レナウンのネームを買った会社も
直系の工場については知らん顔でしたし
そして御本尊さまはレリアンは取ったけど
紳士服は見捨てた訳だし
数年前だったかな、セレクトの若手スタッフが
スーツを着て練り歩くイベントをやりましたが
ご自慢のヘンテコスーツを着た姿は
道行く人にとってはコスプレにしか
見えなかった筈です
月並みな話ですが、時代が変われば
着るものも変わるものですなぁ・・・
そういえば涼しくなったのに
土日にジャケット着てる人、
今年はまだ見ていません
私も芯ありの毛織物でできたジャケット
を最後に着たのは、もう5、6年前です
今着ている服で天然繊維が入っているのは
くつした・パンツに15%ずつ程度でしょうか・・・
今どきのパンツは腰裏すら芯が入っていません