フィラメントカウントと国内の検査機関の話
2024年9月25日 素材 0
離婚してからまる11年になって、新に12年目をスタートするわけだが、この11年間、自宅ではほとんどテレビを点けなくなった。以前にも書いた通り、決まった番組しか観ないためである。
ずっと観続けているのは仮面ライダーシリーズと戦隊シリーズだけであとはシリーズ物でも観たり観なかったりである。
大河ドラマもウルトラマンシリーズも同様に観たり観なかったりで、今回の「光る君へ」は基本的に恋愛物には興味がわかないので途中で視聴をやめた。ドラマでも漫画でも現実世界でも恋愛には興味が無い。何が楽しいのかさっぱりわからない。ウルトラマンシリーズは7月から始まったアークを毎週観ているが、トリガー、デッカーは観なかった。
7月からは久しぶりにアニメをそこそこ観ている。クソつまらなくて途中で視聴をやめたのは「グレンダイザーU」である。「異世界スーサイドスクワッド」「逃げ上手の若君」「キン肉マン」「杖と剣のウィストリア」は観続けており、「異世界」と「キン肉マン」は先日最終回を迎え、残る2本も次回最終回である。この4本は佳作と評価している。
テレビを観なくなった分、YouTube番組を視聴する時間は圧倒的に増えた。
アニメ漫画系、経済解説系、プロ野球解説系がメインで衣料品系はほとんど観ない。そんな中、たまに観ているのがナイロンポリエステル氏(なんちゅう仮名か)である。
生地関係の人らしく生地解説があるので、毎回ではないが何回かに1回観ている。ただ、最近は「ワークマンの〇〇(商品名)解説・検証」が多くなりすぎて、ちょっとスルーしていた。そんなに毎回ワークマンのアイテムばかり検証されても興味はわかない。
そんな中、この回はそこそこ面白く興味深く拝見した。
タイトルの「闇」はいささかうんざりする。某わ〇ぬき氏の動画を想起させる。闇を抱えてそうな工場経営者が他のアパレル企業やブランドを「闇だ、闇だ」と毎回言っているのは「鏡を見たことがあるんか?」と突っ込まずにはいられない。当初何度かは観たが芸風が嫌いなので以降は全く観ていない。
今回のも視聴回数稼ぎなのかもしれないが、タイトルはちょっとどうかと思うが、内容は興味深かった。
ミレーとワークマンの極薄フリースプルオーバーを比較している。
アイテムとしては個人的には全く興味が無いが、比較内容の解説はまともなものだったので評価をしている。
まず、価格差である。ミレーのは多分17800円くらいするが、ワークマンのは1900円くらいである。
これについては通常、生産数量の違いや製造コストの違いについて語られることが多いが、今回は「ミレーは自社に検証ラボを持っている」「編み傷があるようなB品生地を使うかどうか」という点にも言及されていた。
まず、自社に検査ラボを持っているという点についてだが、当たり前だが、ラボの人員の人件費が発生する。それ以外にも光熱費やら様々な検査の薬剤やら機材の費用が発生する。その分を製品価格に上乗せするため、ミレーの商品価格は高くなるというわけである。
国内のアパレル企業で自社の検査ラボを持っているところは少ない。商品に機能性が不可欠な大手スポーツウェアメーカーや大手肌着メーカーくらいだろうか。
その他大勢のアパレルはどうしているのかというと、カケンやニッセンケン、ボーケン、メンケンといった外部の独立した検査機関に「有料」で検査を依頼するわけである。
たまに費用を異様に値切ろうとしたり踏み倒そうとしたりするアパレル企業がいるということは、検査機関内部の人から聞くことがある。
次にB品生地を使うかどうかという点だが、この人が買ったワークマンの商品は裏返すと編み傷がある。ただ、編み傷といってもネップみたいなもので、街着や日常着、部屋着として着用するなら問題ないレベルである。この生地を使うか使わないかで、生地のロス率が大きく異なる。こういう生地を使わないミレーはその分、ロス率も高くなり製造コストが高くなるというわけである。
ガチのアウトドア用途であるなら、編み傷や小さい穴の開いた生地は使わない方が安全安心だが、部屋着や街着として着るなら安全とはあまり関係が無い。この辺りの用途に対する姿勢というのもブランドごとの戦略の違いといえる。
それともう1点興味深かったのは、合繊生地について「デニール」と「フィラメントカウント」について解説されている点である。
デニールが合繊の糸の太さや生地の厚さを表していることは、特に女性はよくご存知のことだろうと思う。タイツやストッキングで20デニール、40デニール、80デニールという表示で厚さを選んでいるからだ。
しかし、同じ20デニールでも生地の柔らかさが全く異なる生地があることも珍しくない。もちろん、後加工によって生地に硬さの違いが生じている可能性はある。しかし、後加工無しでも異なるケースは多くある。それがフィラメントカウントという値である。
この動画よりもユナイテッドアスレの解説生地の方がこの点に関しては詳しいのでご紹介しよう。
糸にはどんな種類があるの? | United Athle コラム【QUALITY THINKING】 (united-athle.jp)
あまり聞き馴染みのない言葉ですが、ポリエステル生地の風合いを左右する大事な表記です。
前述の通り、フィラメント糸は長繊維を複数束ね撚り合わせて作りますが、この束ねる繊維の数を「フィラメントカウント」と呼びます。
複数の繊維を撚り合わせて作った1本の糸を「マルチフィラメント」と呼び、魚網やテグス(釣り糸)のような1本の繊維だけで作られたものを「モノフィラメント」と呼びます。 このカウント数が多ければ多いほど、たくさんの繊維を束ねていることを表します。同じデニール(=糸の太さが同じ)であれば、フィラメントカウントが多い、つまりより細い繊維を束ねていることになるため生地の風合いがやわらかくなります。
とのことで、フィラメント(長繊維)を撚り合わせて1本の糸にした「マルチフィラメント(綿糸でいうところの双糸、三子糸、四子糸など)」で、細い糸をたくさん撚り合わせた方がしなやかでソフトな風合いになるというわけである。同じ20デニールでもフィラメントカウントの少ない(撚り合わせた糸の本数が少ない)生地よりもフィラメントカウントの多い生地の方が柔らかくなる。
YouTube番組でも最旬コーディネイトとかこのアイテムがイケてるという衣料品系ばかりでなく、この手の原材料解説動画というのも増えてもらいたいと強く感じた次第である。でもワークマンのアイテム徹底検証はこれからもそんなに観ません。(笑)