大都市都心も地方も網羅する「セカンドストリート」が支える古着需要
2024年9月5日 トレンド 1
2010年代半ば以降、マストレンドはかなり絞りにくくなっていると感じる。
例えば2009年からカジュアルズボンといえばスキニー一択だった。体型の問題でスキニーが穿けない・似合わない人はスキニーよりは少しゆとりのある細身ズボンを穿いていた。カジュアルだけではなく、ビジネススタイルでもスキニーもしくは細身ズボンが圧倒的でワイドパンツを穿いている人はよほど身なりに興味の無い人くらいになった。
体感的には7割以上は細身かスキニーを穿いているという具合で、売り場にもワイドパンツはほとんど置いていなかった。
しかし、2015年から10何年ぶりにワイドシルエット、ルーズシルエットが復活し始めた。その後、一気にワイドシルエット、ルーズサイズ一色にマストレンドが変わったのかというと、そうでもない。
相変わらずスキニーを愛用している人もいるし、細身ストレートを愛用している人もいる。売り場でも消滅しておらず、一定の型数は毎シーズン継続されている。
2010年代半ば以降、マストレンドが多様化、分散化したと感じる。
その原因は人々の価値観の多様化、分散化が大きいと思っている。その一方で、古着人気の再燃ということも大いに寄与しているのではないかと思う。
古着人気の再燃と価値観の多様化、トレンドの分散化はどちらが先かは判別が難しく、卵と鶏の関係ではないだろうか。
古着人気が再燃するということは、かつてのようにマストレンドが最新物一色には染まりにくいということになる。なぜなら、古着というのは最低でも1シーズン前の服である。下手をすると数年前とか10年前くらいの服である。ということは最新マストレンド品ではないということになる。
それの人気が再燃するわけだから、アパレル各社や各ブランドが毎シーズン仕掛けている「最新トレンドアイテムはコレ」みたいな売り方が効果を発揮しにくくなるのは自明の理だろう。
何せ、何シーズンも前の服を多くの人が着るわけだから。
当方は古着が嫌いである。何となく赤の他人の肌に触れた服をわざわざ買いたいとは思わないし着たいとも思わない。
あと、アメリカ村に軒を連ねているヒップホッパーみたいな古着店の雰囲気が嫌いだし、さらに言うと、店内に充満しているお香みたいなニオイも嫌いである。
それと、古着店というのはどうしても一点物とか数点物ということになり、他の同品番商品と比較するということもやりづらい。
そんなわけで、古着はほとんど買ったことが無いし、今後も買う気が一切ないので、近年メディアで言われる「古着ブーム」には違和感しか感じなかった。
特に「下北沢の名店〇〇」とかその手の個店や数店レベルのチェーン店にマス市場を左右するほどの力は無いとか思うからだ。
しかし、最近つらつら考えてみると、メディアが言うところの「古着ブーム(実際にブームかどうかは疑わしいが)」を支えているのは「下北沢の名店」とか「高円寺の名店」とかではなく、ゲオの「セカンドストリート」ではないかと思うようになった。
メディアが取り上げる古着の名店というのはだいたいが、東京都心や大阪都心に1店舗から数店舗を展開するというパターンで、店舗数を増やす場合でも他の地方大都市に1店舗ずつオープンするというやり方が多い。地方・郊外・田舎には「その手の古着店」というのはほとんど皆無である。
いくら、都心の人口が多いとはいえ、そんな貧弱な店舗網で全国のブームを起こせることは難しい。だから、当方は「古着ブーム」には無関心なのだが、ゲオのセカンドストリートは都心にもあるし、郊外・田舎の国道沿いにもある。そして、店舗数も国内800店舗を越えた。
都心にもあって田舎にもあって国内で800店を越えたというのは、ちょうどユニクロとほぼ同様の店舗体制になっているわけである。
そうすると、都心の需要ばかりでなく、田舎の需要も取り込めるから全国的な需要を下支えできる。
店舗数で言うと「しまむら」の方が圧倒的に多いが、しまむらの場合は都心店がほとんど無く、地方・郊外・田舎に偏重している。当方のように自動車が運転できない人間からすると、しまむらへわざわざ行くことは難しい。当然都心では「しまむら」の商品を見る機会が無いから、しまむらを利用することは無い。
実際にゲオのセカンドストリートは当方の近所の国道沿いにもある。レンタルDVD店「ゲオ」からセカンドストリートに変わってから、記憶では10年くらいが経過しているはずである。
ともすると、大規模チェーン店といえども、都心出店と地方出店を両立させられているケースはあまり見ない。ユニクロとセカンドストリートはその稀有な例だろう。
そんな中、先日、こんな記事を拝読した。
ゲオとTSUTAYAに大差をつけた「本質的な違い」 地方でも、居抜きでも出せる業態があるか? | 街・住まい | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
もっと重要なことがある。日本全国に出店を広げていると、当然のことながら東京を中心とした都心部だけを見ていても仕方がない。いくら東京の人口が多いとはいえ、日本の人口の9割は、それ以外の場所に住んでいるからだ。
彼らに向けてどれぐらいアピールできるかは、特に全国に店舗を展開するチェーンストアの場合は、如実に業績に影響するといえるだろう。「地方・郊外への展開可能性」はその企業を見る上では欠かせない視点なのである。
とある。
そして
「地方・郊外」を攻略して、斜陽化するレンタル業界から華々しく転換を遂げることに成功した事例なのである。
ちなみに、ゲオのこうした「地方」への眼差しは、どうやら創業時から続くDNAのようなものらしい。
ゲオは1号店と2号店を豊田市で始めたのだが、3号店を秋田に出店する。なぜ秋田だったか。それに対して、ゲオの創業者である遠藤結城は次のような発言を残している。
「都会に住んでいると地方を見なくなるものです。たまたまニチレイ時代に仙台支店にいた私は、東北地方を回った経験がありますから、地方の消費パワーは侮れない、競争が甘いぶん投資に対するゲインはより大きい、と思っていました」
と続く。
この記事は、同じDVDレンタル店ツタヤとの比較をしているわけだが、ツタヤは都心に意識高い系の蔦屋書店を出店しているわけだが、当方は蔦屋書店が使いにくくて嫌いなのと、あのイキった雰囲気が苦手なのでいつもジュンク堂で本を買っている。蔦屋書店のあのスタイルが通用するのはせいぜい都心ベッドタウンくらいまででガチの地方や田舎だと全く立ち行かなくなるだろう。
この記事の指摘や比較対象が全て正しいとは言わないが、仮に全国的に「古着人気」なる物が盛り上がっているとするなら、その立役者は間違いなくゲオの「セカンドストリート」ではないかと思う。
「古着=オシャレ」
我々の潜在意識の中にあるこの感覚、いったい何故なんでしょうか?
ゴミ同前のリーバイス中古ジーンズを高値で売る為に誰かが流布した洗脳なのでしょうか?我々は洗脳されているのでしょうか?
「店内に充満しているお香みたいなニオイ」
→これは人間の皮脂が酸化したニオイです。どの古着屋でも同じニオイしますよね。このニオイに嫌悪感を抱くのは人間の本能であり自然な事です(不潔なニオイだからです)