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南充浩 オフィシャルブログ

レナウンへの社名変更は中高年層にだけ響く施策

2024年9月4日 企業研究 0

早い物で、子供たちは3人とも成人してしまった。

第三子はたしか33歳の時に生まれているので今は21歳になる。この子が25歳になるころには当方は58歳になっているが、それでもまだ60歳には到達していない。

子供を持つ年齢というのは人それぞれだろうが、2024年現在の60代の人の子供というのは、25歳~30歳くらいになっていると考えられる。場合によっては30代半ばに達しているだろうか。

 

 

しつこいようだが、先日、小泉アパレル傘下のオッジインターナショナルが11月にレナウンへと社名を変更することが発表された。

これについて、当方はイマイチ狙いがわからないと書いたし、今もそう思っている。その一方で、ちょうど60代前半くらいの方からは「今の若者の親世代(ご自分も含めて)ならまだレナウンという社名に信頼性があるから、例えば自分の子供が新レナウンに入社するとか、新レナウンがらみの仕事をするとかになったときに、安心感があるのではないか」というような意味のご意見をいただいた。

これについては一理あると思っている。

他方、同じ60代前半世代の人でも当方と同じ意見の方も何人かおられる。当方からすると、60代以上の世代へのアピールのために社名を変えるのではないか、その年代の経営者層が決めた施策ではないか、とそんなふうに想像をしていた。

というか、それしか明確な理由が当方には推測できなかったからである。

 

 

そうすると、こんな記事が報道された。

 

レナウン改名のアパレル会長「愛着持たれている名前に」 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

小泉の植本勇会長は「レナウンはすべてのステークホルダーが愛着を持っている名前だ。業界や世間に関心を持ってもらい、前に進む決意を見せた」と説明した。

 

とのことで、この記事を読む限り、当方の推測はほぼ当たっていたといえる。

ちなみに小泉の植本勇会長は、1938年生まれというプロフィールなので今年86歳になる。関西ファッション連合の理事も長らく務められていたので、何度も関西ファッション連合のイベントでお見掛けしたことがある。ただし、業界の底辺たる当方なので、親しげに話しかけに行くことはおこがましくてはばかられるので、一度名刺交換した記憶はあるが、当方のことは覚えておられないだろう。別に覚えてもらう必要は全くないのだが、そういう程度の顔見知りではある。

 

 

ただ、「すべてのステークスホルダーが愛着を持っている名前」という認識にはかなり疑問を感じる。愛着を持っているのは60代以上の層だけで、40代以下は恐らく関係者以外はレナウンという社名に愛着は持っていないだろう。当方は54歳だが、衣料品に興味を持った時点が同年代より5~7年くらい遅れているので、レナウンという社名に全く愛着が無い。

50代でもレナウンという社名に愛着を感じている人は関係者や元関係者以外はそんなにいないのではないかと考えている。実際に同年代の業界人とはレナウンの話題になったことがない。

 

 

そんな当方からすると、縁もゆかりもない小泉アパレル傘下のオッジインターナショナルがレナウンという社名を引き継ぐのはちょっと違和感がある。業界でも過去に経営破綻したり、消滅したブランドや企業名が復活したことはある。

しかし、多くの場合は関係者や元従業員が引き継いでいるのでそれに対しては違和感は無かった。

例えば、ボブソンも一度消滅してから創業家の人が再度ボブソンを再スタートさせている。創業家の人なのでそれに対して違和感はない。

またビッグジョンも創業家は手放してしまったものの、元従業員たちが引き継いでいるので、これも違和感はない。

 

 

レナウンの場合は、恐らく60代以上、若くても50代半ば以上の層には響く社名なのだろうと思うが、それ未満の世代には全く響かない社名だと思われるが、植本会長からすれば「あのレナウンだから全世代に響く」と考えておられるのではないかと推測している。ただ、この推測は外れていると思うのだが。

もっとも、小泉アパレルにせよ傘下のオッジインターナショナルにせよ、主要な客層は中高年からシルバー世代なので自社の客層に対してはそれなりに響くのではないかと思うが、今後、もう少し下の世代にも客層を開拓したいというコメントもあったが、下の世代には全く効果は無いだろう。

 

 

それにしても「世代間の共通認識」というのは確実に存在していて、老若男女全世代に等しく認知されるということは相当に難しいということを改めて痛感する。

アパレルブランドで言うと、例えば「イネド」なんて今の40代~50代にかけては20~30年前の人気ぶりをいまだに覚えている人が多いと思うが、20代・30代になると覚えていないという人がほとんどだろう。コムサも同様である。現に売上高はピーク時から大幅に縮小しており、実店舗させ見かけることが少なくなった。

以前にも書いたことがあるが、今のファッション専門学校生はワコールやワールド、オンワード樫山という社名を知らないという生徒が多い。あれほどに知名度が高かった(今でも業界ではそれなりに高い)にもかかわらず、である。

 

 

それに比べると、異分野だが今でも全世代から集客できるプロ野球やポケモン、ウルトラマン、仮面ライダー、ディズニーランドなどは化け物コンテンツだといえる。

 

 

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