
オッジインターナショナルがレナウンに社名変更するという話
2024年9月2日 企業研究 2
一定の年齢層から上の世代にとっては「レナウン」という社名は特別の思い入れがあるようだ。
もっとも、当方にはその感覚がわからない。決して若ぶっているわけではないが、現在54歳ながら、当方が洋服に興味を持ちだしたのは業界への就職が決まった92年くらいからで、その時には「レナウン」という社名はもちろん知ってはいたが、予備知識の無い20代前半の当方にとってはあまり身近ではない存在だった。
「当方のその年代なら若い頃にインターメッツォの服を買ったことがありませんか?」という質問をいただいたことがあるのだが、残念ながら買ったことがない。92年にメンズファッション雑誌を買って読み始めたが、当時のメンズ雑誌の人気ブランドは「ポールスミス」だった。メンズクラブという雑誌では、レナウンのブランドが毎号掲載されていたが、当時の当方の好みではなかったので、存在は認知していたが買おうという気はまったく起きなかった。90年代半ばからはJクルーがレナウンからプッシュされていたが、これとてもアイビー系アメカジの割には他のブランドより定価も高いし、セールでの値引き率も低かったので結局買わずじまいだった。
それほどに当方にとっては「レナウン」の名前は親近感を持たない。
恐らく、当方が中学生くらいから衣料品に興味を持っていたら思入れもまた変わったのだろう。
そんな「レナウン」だが、消滅してからわずか4年で復活することになった。
オッジ・インターナショナル レナウンに社名変更 主力2事業でさらに成長へ | 繊研新聞 (senken.co.jp)
オッジ・インターナショナル(大阪市、辰己貴義社長)は、11月2日付で社名を「レナウン」に変更する。旧レナウンから継承した「アクアスキュータム」「ダーバン」ブランドの2事業が主力。
とのことで、小泉アパレル傘下のオッジインターナショナルは11月2日から社名をレナウンに変更する。
旧レナウンが、株式会社レナウンだったのに対して、新レナウンはレナウン株式会社となるそうで、この微差に一体何の意味があるのかよくわからない。
とりあえず、社名を受け継いだが、旧レナウンではないですよということを言いたいのだろうか。多分、一般の消費者にはあまり伝わらないだろう。
オッジインターナショナルは2020年に旧レナウンからダーバンとアクアスキュータムを受け継いだわけだが、売上高のほとんどがこの2ブランドによって占められている状況にある。
24年2月期の全社売上高(小売りベース)は129億円、主力ブランドであるアクアスキュータム51億円、ダーバン51億円となり、いずれも前期比2ケタ増となった。アクアスキュータムは約80店(アウトレット含む)で、メンズとレディスの店舗数が半々。メンズでは30~40代客の取り込みが進むとともに、インバウンド売り上げも伸ばしている。ダーバンは店舗数を絞り込み80店となった。都心店も地方店も主力アイテムのスーツを軸に顧客から支持されている。
とのことで、全社売上高129億円中、アクアスキュータムとダーバンが51億円ずつで合計102億円もの売上高がある。この2ブランドを除くと売上高はわずかに27億円しかない。
言ってみると、この2ブランド以外の既存ブランドが弱すぎたのである。
この社名変更、社名復活はそんなに好影響があるのだろうか?レナウンという社名に何の思い入れも無い当方からするとよく分からない。
オッジインターナショナルのままでも別段良かったのではないかと思う。ただ、50代後半以上の消費者や企業経営者層には響くのかもしれない。
とはいえ、倒産からわずか4年後に、あまり縁もゆかりもない会社が社名を受け継ぐのは、ちょっとおさまりが悪いように個人的には感じられる。
それにしてもオッジインターナショナルは、ライカの倒産後に「カステルバジャック」ブランドを受け継ぎ、新たにダーバンとアクアスキュータムを受け継ぎ、今度は社名をレナウンに変更するわけだから、なかなか得体の知れない印象がある。
もともとは、イトキンから独立した人が88年に立ち上げた企業だったが、2000年代前半に経営破綻し、2004年から小泉アパレル傘下になったという経緯がある。
もう、恐らくは創業メンバーもいないだろうからオッジという社名が消えることに関して嘆く人というのはいないのかもしれない。
また小泉アパレル傘下後もすでに20年が経過しているが、この20年間に入社したスタッフたちはオッジの社名が消えることに関してはどういう感想を持っているのだろうか。愛着はあまり無いのだろうか。
報道によると現在はダーバンとアクアスキュータムの2ブランドの商況は堅調なようだが、社名変更をしたからと言って爆発的に売上高が伸びるとは考えにくい。2ブランドの性質上、堅調に推移したりジワジワと売上拡大することは十分にあり得るが、一気に売上高が伸びることは難しい。まあ、そんなわけで新レナウンが誕生するわけだが、今後も堅実な存続が望まれる。
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キム ゴンウ より: 2024/09/02(月) 12:06 PM
採用活動でも「oggi インターナショナル」よりは「レナウン株式会社」のほうが、保護者の認知度もあって都合いいんじゃないですか。売上の高いブランドもレナウン色ですから、俺たちレナウンでよくね?!って感じで決まったのかな。私もご多分にもれず、今風のアーノルドパーマなら来てみたいな。
オッジ・インターナショナルのシャッチョさんは60過ぎだから結構レナウンに思い入れありそう。ググったら、もともとワールドの人でオリゾンティ、ライカを経て2011年にカステルバジャック事業とともにオッジ・インターナショナルに移って営業畑でのしあがったみたいっすね。
Yahoo!ニュースのコメント欄も「レナウン復活嬉しい!」みたいなコメントがいっぱいあってコメント数も30分くらいで160件越えてるから、レナウンに思い入れのある高齢者は結構多かったりするんじゃないっすかね?w