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南充浩 オフィシャルブログ

クロックスは近所のスーパーに行くときの履き物という感覚がぬぐえなくて老化を痛感したという話

2024年8月27日 トレンド 2

人間54歳にもなると、年相応に精神的にも衰えが露わになる。

同年代とか少し上の世代で「ワシはまだまだ若い」とかガナっている人を見ると男女問わず、正気なのかと呆れ果ててしまう。

新しい流行に対して、島本和彦口調で言うなら若い頃は「分かりたくないけど分かる」みたいな部分が多々あった。これは嫌いだなあ、でも流行しているということは理解しているし、〇〇層になら受けるのは理解できるなあ、まあそんな感じである。

最近は、え?こんなのがまた流行っているの?全く理解できないなあというものが増えた。

それはとりもなおさず当方の精神的老化なのだろうと思う。

 

そういえば、亡母もよく「自分が若い頃に流行した物が再流行して理解できないし、取り入れるのは抵抗がある」と言っていた。例えば、2005年頃に大流行したブーツカットやベルボトムに対しては、若い頃に大流行したパンタロンのイメージが払しょくできずに抵抗感があったようだ。

最近、当方が同様のことを感じているのが、クロックスのサンダルである。

 

最近、大阪市内の繁華街でよくクロックスのサンダルを履いている比較的若い男女をよく見かけるようになったと感じていた。当方が知覚したのが昨年後半くらいからだろうか。

東京都心ならもっとそれ以前から多く見られていたのかもしれない。

初めの頃は、「服装はキメキメなのにクロックスのサンダルを履いていて変なコーディネイトの奴らが増えた」と感じていたが、親切な読者やフォロワー諸氏から「バレンシアガとのコラボの影響ですよ」と教えていただいた。ただ、大阪市内の都心繁華街で見かける着用者のほとんどはバレンシアガコラボではなく、純正クロックスだった。

 

当方には、クロックスのサンダルは近所のコンビニやスーパーへ行く際に履く物という感覚が染みついている。もしくはショッピングセンターやスーパーマーケットにいる子供たちが履いているものという感覚も強い。だからキメキメの服装でクロックスを履いている若い男女を見るとどうしても違和感がある。

そんな中、昔から比較的懇意にしている東京都内のファッション雑誌編集者(男性)もつい先日、クロックスサンダルを履いた自撮り画像をSNSにアップしていたので驚いた次第だ。

 

彼らというのは、当方よりもはるかに良くも悪くもミーハーでファッションへの意識が高い。そんな彼らが履くということは、クロックスサンダルはファッション性があるということになる。

 

そうすると、こんな記事が掲載されていた。今年6月である。

Y2Kとともに再ブーム:バレンシアガとのコラボで火がついた、クロックスの新しい姿 | Fashion Tech News (zozo.com)

最初のきっかけはバレンシアガだ。ハイブランドとしてだけではなく、ストリートファッションとしても人気のバレンシアガとクロックスが、2018年にコラボレーションをしたのがきっかけで注目が集まった。
ハイブランドとのコラボレーションということもあり、その価格は発売当時で9万円以上。通常のクロックスの10倍以上の価格から、発表と同時に話題になった。
同時に「Y2K」ブームも到来し、厚底の「メガクラッシュクロッグ」も登場。ハイブランドのクロックスとまではいかずとも、クロックスが若者に再び「イケてる靴」として認知されるようになった。
とのことで、当方が昨年後半に知覚したキメキメの服装なのに足元はクロックスのサンダルという若者は、この流れを受けてのことだといえる。

これについてはWWDに2017年10月に2018春夏用としてのコラボ記事がすでに掲載されていたが、興味の対象外だったのですっかりと読み飛ばしていた。

「バレンシアガ」が「クロックス」とコラボ 高さ10cmの厚底シューズ

 

2021年にはこんなインタビュー記事も掲載されていたがこれも興味の対象外で以下同文。

「クロックス」を変えるマーケティングの達人に聞く 「週末、近くのコンビニに行くための靴でありたい」 

ここで

「クロックス」は2002年にボートシューズブランドとしてアメリカで生まれた。日本に上陸したのは恐らく05年で、その翌年には大ヒットした。恐らくみなさんが「クロックス」と聞いて思い浮かべるであろうサンダルは、“クロッグ”というカテゴリーに分類される。

と語られているが、歴史的にはその通りで、当方も2005年前後にクロックスの存在を知った。

 

そこから爆発的な流行となり、低価格のパクリ品も含めて「クロッグ」タイプはオッサンから子供まで履くサンダルとなり、2000年代後半にイオンモールへ行くと、クロッグを履いた親子連れだらけという有様だった。これに伴って、クロックスのサンダルは近所のスーパーへ行くときに履く物というイメージが固定化されたといえる。

ただ、日本上陸当初は「オシャレサンダル」「はずしに最適」という形で紹介されていたということはあまり知られていないと感じる。上陸当初前後に当時のメンズクラブに編集長の短いコラムが掲載されていた。当時はファッション雑誌を隅から隅まで読んでいたから、当然、当時の林信朗編集長のそのコラムも読んだ。

そこには、だいたいこんな意味のことが書いてあった。

クロックスという新しいサンダルブランドで、クッション性が高く快適。コーディネイトのはずしにも使えるだろう。自分はキメたファッションのはずしとして使っている。

というような感じである。彼はたしかミントグリーンのクロックスサンダルを着用していたのではなかっただろうか。(うろ覚え)

 

その直後からクロックスはあっという間にイオンモールへ行くときに履くサンダルになってしまって、逆に当方は驚いた。

それがまわりまわって、バレンシアガというブランドの力によるところが大きいとはいえ、イケてるサンダルと認識されつつあるというのは、20年経って原点の評価に戻ってきたようにも感じる。

ふと気づいたのだが、逆に最近はクロックスを履いてスーパーやイオンモールで走り回っている子供を見かけなくなった。近所のオッサンもあまり履いていない。(類似品ですら履いていない)なんだかイメージ好転とは反比例するようである。

 

当方もクロックスはもう15年以上日常使い続けている。主にゴミ出しするとき、近所のコンビニへ行くとき、スーパー万代へ行くときである。黄緑色のクラシッククロッグというあの商品で、穴が開いていて通気性が高いので、冬場はもう廃版になった穴が無くてボアが敷かれた物を使っている。

(15年以上もゴミ出しの時に愛用している当方のクロックスのクロッグ。当時2900円くらいで買った)

 

 

ただ、いくら「イケてる靴」と認識され始めたからと言って、これらの自前のクロックスをオシャレ靴として履こうとは全く思わない。当方が履くとどう見てもゴミ出しをするオッサンにしか見えないからだ。それにフォルム的にも丸っこくて、当方に限らずシャープなデザインの服には合っていないようにいまだに思う。

リバイバルした物を取り入れることに抵抗があると言っていた亡母も恐らくはこんな感じだったのだろうと、今回は老人のそんな感想である。

 

 

 

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 comment
  • ミナミミツヒロ的けち生活者 より: 2024/08/28(水) 11:20 AM

    業界の古老らしい?ご意見ですね

    そして業界人の薄っぺらさwが良く現れている

    ふだんは嫌いな庶民wの間で流行っている物が
    実は気になるから、取り入れてみたい

    そこで「はずすアイテム」としてコーデに登場ww

    とはいえ、シルエットといい、質感といい
    ひと様の前で履くもんじゃありませんわな

    うんどー部員の便所サンダルwとどっこいどっこい
    レベルのものでしかありません

    いっとき、チャームを付けるのが流行ったようですが
    あっという間にポシャリました

    コンバースまでなら、なんとかなるけど
    オールインジェクションのベランダサンダルでは
    いくら業界人が持ち上げても、限界がありますよ

    そーいう訳で、私はオサレ安全ぐつを人前で
    今後も履き続ける事にしますw

  • もみじ より: 2024/10/08(火) 12:37 PM

    ウチの会社の50歳ぐらいの女性も
    くるぶしソックスは今の若者が履いても全然問題ないけど
    私達の若い頃は「ダサい靴下」の代名詞だから
    今はOKだと分かっていても私は履けない
    って言ってました。

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