ビッグシルエットはマス市場から再び消えるのか?多分消えないと思うという話
2024年8月26日 トレンド 2
ビッグサイズのマストレンドがそろそろ終わるのではないかと言われ続けながら2024年も残すところ4カ月強となってしまった。
ビッグサイズトレンドが続いている期間というのは、人によって多少の認識の差はあるが、当方からすると2016年ごろからマストレンド化が進んだと認識している。
というのも、ジーユーで商品を初めて買ったのが2016年夏の半袖Tシャツだった。
それまで、ジーユーはピチピチ路線だったので、Mサイズだとピチピチで着られないし、Lサイズだと手が長くて着るのに抵抗感があったため、いくら590円とか390円に値下がりしても買わなかった(買えなかった)からである。
とは言っても、2016年夏のTシャツも現在の目から見ればジャストサイズというくらいのピチピチ感だったが、それでも2015年物よりは何センチかはサイズ感が大きくなっている。
2017年になるとサイズの大型化は顕著で、このころから当方はジーユーの値下がり品を多く買うようになって行って、その後は、このブログでも書いているようにユニクロ値下げ品以上にジーユー値下げ品を買うようになって今にいたる。
だいたいMサイズを買っているし、稀にLサイズを買うこともある。当方は腕の長さが短めなので長袖はMサイズ、半袖だとまれにLサイズを買うが、わざと超ダボダボにするためにXLサイズを買うようなことは無い。それは半袖だろうが長袖だろうがあまりにも当方が着ると無様すぎるからである。
ズボンもゆったりシルエットになり、少し痩せた今だとジーユーのMサイズが穿ける。Mサイズでキツイ場合はLサイズなら間違いなく穿ける。XLサイズでないと穿けないようなズボンは無い。
このように考えてみると、マストレンドを体現しているジーユーは早ければ2016年から現在まで9年間ビッグサイズが続いているといえる。
また、他のマスブランドもだいたい似たような感じで、2015~2017年のどこかでビッグサイズ化しており、2024年までそれが続いているから長ければ10年、短くても8年間はビッグサイズが続いているといえる。これだけ長期間続けば、業界人が「そろそろ終わる」「そろそろ終わりたい」と考えるのも無理はないだろう。
その前の15年間くらいはピチピチピタピタのタイトシルエットがマストレンド化していた。バブル期のビッグサイズトレンドへの反発も手伝ったのだろうか、市場に並んでいる服はピチピチピタピタ一色という状態が2010年代半ばまで続いた。
両方の服を着比べてみた感想でいうと、体は圧倒的に今のビッグサイズがラクである。タンスの奥底に2015年までのピチピチ服をほぼそのまま残しているが、たまに着てみると、身体を締め付けられてすごく苦しいと感じる。生地が硬い物なら気分が悪くなるほどである。
現在でもたまにその当時の服を着ることがあるが、それは、その当時に「少し大きめ」とされていたサイズ感の物である。今だとそれはジャストサイズというサイズ感なのでたまに引っ張り出して着ることもある。
さて、そんな中、ジーユーから今秋の新商品の案内が断続的に届くようになった。
メンズの中に1品だけ「ウォッシュドスリムフィットTシャツ(長袖)」というものがあった。ついにピチピチピタピタが復活するのだろうか?
試しにこの商品のサイズを公式通販サイトで確認してみると、
Mサイズ 肩幅42センチ 身幅48センチ
とある。
数値だけで判断するのは完全ではない部分もあるが、従来のビッグサイズに比べると相当にピチピチピタピタのサイズ感だといえる。
ちなみに、
今夏のドライポンチクルーネックT(5分袖)は
Mサイズ 肩幅50センチ 身幅55センチ
となっている。
同じMサイズでも、肩幅で8センチ、身幅で7センチ(立体化すると約14センチ)もの差があるということがわかる。スリムフィットTシャツのLサイズよりもまだデカいサイズ取りが現在のビッグサイズTシャツである。
余談だが、在庫処分店の店頭やスーパーの平場衣料品売り場で服を買うオバチャン・オジチャンには「Mサイズやったら、ワシは着られるから大丈夫」と言って試着を一切しないで買う人が少なからずいる(今まで何度もそういうお客に応対した)が、同じMサイズでもここまでサイズが違うということが実際に起きているので、試着ができる店では必ず試着されることをお勧めしたい。
さて、最大公約数のマストレンドを実現するジーユーがこれを企画製造してきたということは、ピチピチピタピタへの回帰の可能性があるということを示しているといえる。
では、2000年代のようにピチピチピタピタ一色への回帰、ビッグシルエットの消滅が起きるかというと、当方はそれは起きないだろうと見ている。
まず、2010年代半ば以降の「マストレンドの多様化・分散化」である。
何度も書いて来たようにビッグサイズがマストレンド化してもスキニージーンズは市場から消えていない。マス層を担っているユニクロ、ジーユーもスキニージーンズを継続し続けている。ということは一定数は今でも売れているということである。
次に考えられるのがネット通販の浸透である。
これも何度も書いているが、試着なしで買うネット通販ではビッグサイズが安全なのである。タイトシルエットだと5㎜、1㎝の差で小さすぎて着られないということが起きる。返品やサイズ交換はできるだろうが、手間がかかるし、送料も余分に生じる。しかし、ビッグサイズなら1㎝や2cm違っても「小さすぎて着られない」ということは起こりにくい。ネット通販が一定の売上高を維持し続けるのなら、ビッグシルエットは依然として重宝されることになるだろう。
また、これに際して、当方よりはよほどにファッション感度の高い東京の某ファッション雑誌編集者に質問をしてみたところ「タイトシルエットに限らず、リバイバルしても完全に昔の状態に戻るトレンドは存在しない」という答えが返ってきた。個人的な体感でいうと、最早身体もビッグシルエットのラクさに慣れているので、昔みたいな締め付けるようなタイトシルエット服はいくらマストレンドになってもちょっと着たくないというのが本音である。そして恐らく同様に感じる人も相当数いるのではないかと推測する。
そんなわけで、タイトシルエットが復活しても現在のビッグシルエットが完全に市場から消滅することは考えにくく、タイトもビッグも混在するという状況になるのではないかと考えられる。
ただ、洋服をたくさん売るためにはマストレンドを一気に反転させることが最も効率的かつ最も売上高が期待できるので、業界としてはビッグシルエットの消滅を仕掛けたいのではないかと思うが、消費者もそう簡単には踊らなくなっているので、現実的にはタイトとビッグの混在・共存という形に落ち着くのではないだろうか。
comment
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とおりすがりのオッサン より: 2024/08/27(火) 10:55 AM
やりらふぃーってなんぞ?とググると
【「やりらふぃー」とは、TikTokでバズった「Meland×Hauken」の楽曲「CHERNOBYL2017」のサビ部分の空耳のこと。
そして、その曲に合わせて踊る人たちの似通ったファッションを「やりらふぃーファッション」と呼ぶのです。】とのこと。ああギャル男的なやつですねw
ビッグシルエットの終焉は2029年です。
横軸のシルエットの流行周期は約12~14年間隔なので、2016年後半から今のビッグシルエットへの転換が始まったとするとその終焉は約2029年になるかと。今現在「やりらふぃーファッション」として世間からバカにされイジメられるスタイルはピチピチのインディゴブルーのダメージスキニーです。このイジメ対象者層がワイドパンツを履き出す頃がビッグシルエット終焉の時かと(イジメは人間の本能なので決して無くなりませんし商売にも利用されます)
2024年現在でビッグシルエット終了などと言ってる輩は単に服を売りたいだけの詐欺師です。