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南充浩 オフィシャルブログ

「お盆明けに再値下げされた夏服を買うのは損」という論調が成り立ちにくくなってきた

2024年8月22日 お買い得品 0

さて、35度越えの猛暑も23日で終了し、それ以降は32~34度くらいの最高気温が続く。

別途11月までの3カ月予報をまとめるが、10月までは「高温予報」が出されていることは以前にも書いた。

これによって、当方は少なくとも確実に10月中旬までは半袖で過ごすことになるだろう。もしかすると、10月末まで半袖で過ごしているかもしれない。

 

 

ちなみに2023年10月の記憶を顧みてみる。

昨年10月はそれまでと比べると日中でも涼しい日が多く、10月15日前後で当方は半袖Tシャツの上から長袖シャツを羽織るようになった。

「今年は涼しくなる時期が少し早くなった」と思いながら暮らしていたが、また下旬から暑さがぶり返し、11月頭の3連休は夏日が戻ってきて、当方は10月下旬から11月5日ごろまで再び半袖生活をするようになった。

そんなわけで、当方の半袖生活は長ければ半年間、短くても年間5か月間にも及ぶのが常態となった。

 

暑がりのオッサンとレディースは少し違うということは重々承知している。また暑がりでない男性とも異なるだろう。

しかし、そういう方々でも10年前、15年前と比べると夏服の着用期間は確実に延びている。また、クールビズ適用期間も開始当初の2005年に比べると延びている。

当初のクールビズは6月1日から9月30日までという、通常の衣替えに準じたものだった。しかし、その後どんどん延長され5月開始で10月末終了という企業や組織も珍しくなくなっており、後者の場合だとクールビズ期間は半年間にも及んでいる。年間の半分がクールビズで過ごすというすごい状態である。

 

 

業界メディアも「長い夏」というテーマを取り上げることが多くなり、アパレル各社やブランドの夏服への取り組みが随分と変化したことを報道している。

例えば

《改めてセールを考える》売り上げが限定的だった百貨店 長く暑い夏に対応、正価販売を伸ばす | 繊研新聞 (senken.co.jp)

長く暑い夏に対応し、正価販売を強化した結果だ。セールがひと段落する7月後半からの盛夏物の期中投入や、スタイリング提案の強化など、セール縮小の動きが広がった。

とのことで、従来の店頭のスケジュールだと、7月頭にセールがあり、ダラダラと値下げセールを引っ張り、7月下旬か8月10日ごろに秋物を投入という店が多かった。

散々書いてきたように、カジュアルでもビジネスでも夏服着用期間は最大半年間に延びている。となると、7月下旬や8月10日に秋物を立ち上げたところで、さほど動かない。

ビジネスとしては「見せる」という行為も重要だから否定はしないが、秋物を立ち上げたところで動きにくい店がほとんどということになると、その動きが縮小するのは極めて当たり前といえる。

 

 

これが20年~15年くらい前までなら「先物買い」をするという人が相当数残っていた。

「一足早く秋の気分」みたいな感じで買う人である。実際にここまでの長期間の暑さでもなかったから、8月上旬に買っても9月20日ごろには秋物を着られることが多かった。

しかし、現在の暑さと消費者の気質は大きく異なり、実際に7月下旬で新作夏物の投入も珍しくなくなっている。

そうなると、これまでファッション指南系の人々が唱えてきた

 

「8月のお盆明けに値下がりした夏服を買うのは損」

 

という理論が成り立たなくなってきたのではないだろうか。

この理論の基となるのは「7月下旬から8月10日にかけて秋物が立ち上がり、夏服は供給されなくなる」というスケジュールだったと考えられるからである。

 

 

必然的に「服を買うならもう秋に備えた方が良い」という論調になる。そしてその源流は「先物買い」の購買行動にあったといえる。

実際に供給側もそういう体制になっていたが、現在では7月のセールが終わっても最低でもあと2カ月は暑い夏が続く。下手をすると2か月半から3ヶ月間は暑いのである。

そうなると、「夏服を買うのは損」という論調は気候的にも、供給的にも成り立たなくなってくる。

 

 

おまけに当方が着用しているメンズカジュアルでいうと、マストレンドは5年間くらいほとんど変化していない。「ファッションの鮮度が落ちる」ことを指摘するファッション指南系の方もおられるが、その「鮮度」も成り立ちにくくなっているといえる。

レディースはもう少し敏感なのかもしれないが、メンズでいうと去年夏と今年夏では半袖Tシャツも半袖ポロシャツも何も変わっていないように見える。

厳密にいうと少しくらいは違うのかもしれないが、よほどのマニア以外に見分けは付かないだろう。

ガンプラに興味が無い方々が通常のジェガンとジェガンD型の区別がつかないのと同様である。

 

7月セールでの値下げ品が少なくなってきたとはいえ、逆に期末には売れ残り品は必ず値下げされるのだから、7月セール終了後にさらに値下げされた夏服を買うというのは、気に入った色・柄・形が残っているのなら、結構お得な買い方といえるのではないだろうか。

そして、夏の期間が長くなったこと、供給側も夏服を長期間引っ張るようになったことで「セール明けは秋物を早く買うべき」という論調は成り立ちにくくなってきたといえる。

そんなわけで、当方は8月も9月もさらに値下げされた夏服を買うことになるだろう。

 

 

 

 

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