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南充浩 オフィシャルブログ

商業施設の目玉テナントは衣料品ブランドではなくサブカル店になった

2024年8月20日 売り場探訪 2

以前にも書いたが、コロナ自粛明け以降、大阪市内で最も混雑が激しいエリアが梅田で、難波・心斎橋もそれなりに混んでいるが一歩及んでいないと感じる。

特にそれを強く痛感したのは昨年12月のことで、仲間内での忘年会をやろうということになり、店を予約しようとしたのだが、検索した時期が少し遅めだったことと金曜日の夜開催ということもあり、梅田では店が予約できなかった。諦めてダメ元で難波を検索すると予約できた。

この時点で、梅田の混雑ぶりというのを改めて体感し、難波は一歩及んでいないということが分かった。

 

さて、そんな梅田の再開発は続いており、新たな大型商業施設も建設されている。

大阪市内の中では梅田の一人勝ちだと感じるわけだが、こと商業施設という点においては、JR大阪駅周辺が一人勝ち状態で、そこから遠く離れると大阪市内の中心地にもかかわらず、スカスカの商業施設が珍しくない。有名なところでは西梅田のイーマ、ブリーゼブリーゼあたりだろう。またハービスENTあたりも相当に厳しそうに見える。特に衣料品などの物販は物悲しさがある。

例えばこの動画

7か月前の動画だが、その廃墟ぶり、ガラガラぶりがよくわかる。

 

 

個人的な体験で言うなら、梅田の場合、JR大阪駅周辺で衣料品などの物販のほとんどは事足りてしまうため、よほどの珍しいテナントでもない限り、西梅田の外れにまで行かねばならない理由がなくなる。

当方の場合だと、西梅田の外れにわざわざ行くとするなら、安い居酒屋に行くだけである。

 

 

そんな中、都心廃墟ビルとして著名なイーマ、ブリーゼブリーゼの陰にひっそりと隠れていて、知名度の低さから忘れ去られているのが、ヌー茶屋町だといえる。

そのヌー茶屋町が改装リニューアルプランを発表した。それがこちら。

NU茶屋町/2024年夏から2025年秋に順次リニューアル、「アニメイト梅田」などオープン

具体的には、3階にアニメ・コミック・ゲームの専門店 「アニメイト」の大型店舗を2024年秋から2025年春にかけて段階的にオープンし

とあるが、アニメイト以外の情報が無いので、その他のテナントプランはいまだに未定で流動的なのではないかと推察される。

 

 

この発表を見たとき、久しぶりに、多分5年ぶりくらいに「ヌー茶屋町」という名称を思い出したわけだが、気になってヌー茶屋町のフロアガイドを恐らく10年ぶりくらいに見に行ってみた。もちろんウェブでである。

JR大阪駅はもちろんのこと、阪急うめだ駅からも遠く離れている茶屋町エリアには当方の場合、よほどの用事が無い限りは足を運ぶことがない。

最後に訪れたのは2019年か2020年なのでたっぷり4年間は足を踏み入れたことも無いという「当方にとっての忘れ去った土地」である。

 

2005年に開業した小型の都市型商業施設だったヌー茶屋町は、当時は「隠れ家的」なイメージの小型商業施設としてそれなりに注目度はあったと記憶しているが、徐々に話題性が欠落し、2010年代半ば以降はすっかり露出が減ったと感じる。

小型施設なので各フロアにそれほど多くのテナントは誘致できないが、アニメイトが移転開業する予定の3階を見ると、TOWER VINYLとABCクッキングスタジオの2つしかテナントが残っていない。(24年8月20日現在)

 

 

残りはテラス席とポップアップスペースになっており、その他は店舗名が記載されていないから、空きスペースになっているということになる。

3階はイーマ、ブリーゼ並みの廃墟感がありそうだ。

 

ちなみに4階もテナントは2店舗しか埋まっておらず、こちらはテラスもポップアップもないのでより一層の廃墟感が強いのではないかと推測される。

 

 

こう見ると、開業当初の勢いとかプレミアム感というのはとっくに消失しているといえ、恐らく来館客数もコロナ自粛があったとはいえ相当に激減しており、コロナ自粛明けも回復していないということが考えられる。

だからこその改装リニューアルだろうと考えられるのだが、現在廃墟化が進んでいる3階にはアニメイトが決定したというわけだが、さらなる廃墟たる4階はいまだに決定しておらず流動的ということになるのではないだろうか。

 

それにしても、ヌー茶屋町の起死回生の一手としては、アニメイトを誘致することだったということになる。

個人的な体感では、衣料品ブランドのテナントを誘致して来館客数を大幅に増やすというのは、現在は不可能に近い。以前に他の施設のリニューアルプランの記事で「衣料品テナントが減って、メイクや飲食、サブカルが増える」というものがあったが、これが現在のメインストリームだといえる。

決して衣料品ブランドのテナントが不要というわけではないが、マス消費者層の興味の対象としては最早、衣料品ブランドは1番手ではなくなっており、高くても5番目か6番目くらいではないかというのが個人的な意見である。

それよりもメイク、飲食、食品、コスメ、サブカルあたりのテナントを集積した方がマス層の来館につながりやすい。

すでに百貨店ですらそのことに気が付き始めており、髙島屋京都SCのまんだらけ誘致や心斎橋パルコのサブカルテナントの充実がそれを証明している。

今回のヌー茶屋町のアニメイト移転誘致というのも成功するかどうかはわからないが、イキった衣料品ブランドのテナントをやたらと集積させるよりははるかに集客装置となり得る確率は高いと考えられるので評価をしたい。

そんなわけで、サブカルがメインストリームとなっていることをさらに決定づけるリニューアルプランの発表だったといえるだろう。

 

 

 

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 comment
  • キムゴンウ より: 2024/08/20(火) 12:26 PM

    NU茶町とが阪急三番街のところを道一本渡ればすむところですよね
    あんなにアクセス良くても厳しいようですね
    そういえばKITTEはどえらい人でしたよ 久しぶりに繁盛してるなを感じました
    中に 旧大阪中央郵便局の壁が使われていて 古い人間にがそれがうれしかったですね

    優勝劣敗は世の習いですが 100円でラーメンや餃子が食べられた中華料理屋が潰されて
    ナウいけど縁のないビルや 癖の強い中華料理のバイキングが合った東映会館が無くなり
    ナウくて上の方に映画館しかないビルができ そのビルは阪神百貨店の隣なのにガラガラという事実
    大日イオンのように 室内にこどもの遊び場を作って15分150円 終日2000円なんかのビジネスすれば
    いいのにね

  • ミナミミツヒロ的けち生活者 より: 2024/08/21(水) 9:50 AM

    このポスト、文字数は少ないのに極めて良質だと思います
    このレベルで現状を把握できている人は極めて少数です

    「都心廃墟ビル」この言葉のセンスがそもそも良い

    一か所で足りる化の行き着く先は
    「オールジャンル一か所一強化」で
    2番手以降が存在不要になってしまう

    この現象は東京でも地方都市でも同じです

    都内はマスだけれども、1つのターミナル駅に
    1つ最強ビルがあって、残りはゴミです

    そして都民はそんな所まで出かけません
    近所にイオンがあってウニクロGU日用品なら
    なんでもあるから。しかも品質も悪くない

    で、負け組立地はすぐ「隠れ家」とか「ブティック」
    と言い出すものの、3年もすれば即・廃墟

    そして飲食では人材の確保がきついし
    アパレルでは単価が安い

    となると生き残るのはサブカル・アニメのみ
    そのうち家電も廃除されるんじゃ?

    超マニヤ相手のひっそり商売は
    それこそミリタリ屋ではないけれど
    五反田あたりのほうが良しいようで

    ウラハラなんて今では死語でしょうな・・・

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