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南充浩 オフィシャルブログ

今夏の猛暑は機械仕掛けの冷却服でなければ凌ぎがたいレベルに達しているという話

2024年8月2日 トレンド 2

8月の月間天気予報が発表された。

以前に書いたように概して高温傾向なのだが、地区別に見ると少し落差がある。

名古屋から西日本は8月18日まで(現在判明しているのが18日まで)の予想最高気温は35度越えが続く。

一方、東京は8月5日以降、猛暑日は収まってだいたい33度~34度、雨の日は32度くらいの日が続き、18日までは猛暑日の予想は無い。

まあ、33度、34度も暑いことは変わりないが、やはり体感的に35度を越えると異次元の暑さだといえる。34度くらいまでは「まだ我慢できる暑さ」だが、35度に達すると「我慢できない暑さ」になる。

 

 

で、大阪で連日の猛暑を過ごしていると、吸水速乾素材以外の洋服は着用できない。強いて挙げればリネンだが、個人的な体感ではポリエステルの吸水速乾素材の方が汗も吸うし速く乾く。

だが、吸水速乾服を着たところで暑さは全く軽減できない。汗でべた付くのを防ぐ、速く乾燥してくれるという点だけが救いである。

昔、(多分今でも)ファッション雑誌には「猛暑を乗り切る服装」みたいな特集が毎年夏に掲載されていたが、ぶっちゃけ実践したこともあるが、掲載されているようなリネンのシャツとかコードレーンのジャケットとかそんなもんではとてもじゃないが当方の汗は吸収できないし、着ている当方も全く快適さを感じない。辛うじて我慢できるのが吸水速乾服という感じである。

女性には時々「汗をかきにくい」体質という方がおられるが、全く羨ましい限りである。

 

 

2010年代半ば以降、毎年夏は猛暑日が続くようになり、いわゆる現状の通常の衣料品では「身体を涼しくする」ということは実現できないと強く認識するようになった。

そこで、3年ほど前には一念発起して遅ればせながら「空調服」を買って着用してみた。当方としては自宅の冷房代を節約して、室内で空調服を着て過ごそうと目論んだわけなのだが、いざ着用してみると想像していたよりもはるかに暑い。

35度の室内で扇風機にあたっているという感じなのである。

これでは耐えきれないということでそれ以降着用していないのだが、実際に涼しさを感じるためにはさらなる新技術を用いた新製品が必要不可欠だという結論に達した。

 

 

そんな中、こんな記事が掲載された。

ワークマンの「ウェアラブルデバイス」が好調 6月に20万点を突破、なぜ?:プロダクトInsights(1/2 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン

人気を集めているのは、40度の環境下でも「ひんやり」を感じられる「ウィンドコアアイスペルチェベスト」(1万7800円)。ウエアとデバイスがセットになった「ウィンドコアエントリーセットベスト」(9800円)、ファン未使用時はファン部分を隠せる「ウィンドコア リペアテック(R)2WAYハーフジャケット」(3500円)など。ペルチェベストの特徴は、冷却効果のある電子部品「ペルチェ素子」(冷蔵庫などに使われている技術)と呼ばれる素材を使用しており、最速、約1秒で冷却が開始すること。冷却面積は76平方センチメートルで、環境温度が25度の場合、表面温度は6度になるという(環境により多少の変化あり)。

ウェアラブルデバイス関連の商品は7~8月に販売が集中するが、今年は6月時点で前年比110%増の20万点を突破した。7月(単月)も好調に推移し、同112%増という結果に。

とのことである。

空調服を含む電動ファン付きベストはたしかに「無いよりはあった方が良い」といえるが、当方が体感したように「外気と同じ温度の熱風が循環する」わけで、涼しいとはあまり感じられない。また使用する環境下によっては、熱風をそのまま取り込んでしまって逆に危険になることもあると言われている。

となると、電動ファン以外のさらなる「機械的な冷やす技術」が必要ということになり、それはもう既存の繊維の技術でどうこうできることではない。もしかすると、将来的には「汗を吸って数度温度が下がる繊維」なんていうのが発明されて普及するかもしれないが、現状で可能なのはバッテリーに接続して電力で強制的に機械部品を動かして冷やすという技術になる。電動ファン付きベストがこの発想だし、記事で採りあげられているペルチェベストはその思想の発展型だといえる。

 

 

このペルチェベストは記事のスペックによると、内部温度は外気温よりも19度低くなるということがわかる。スペック通りに効果が発揮された場合、最高気温40度だと衣服内気温は21度ということになる。

このスペックが本当に発揮されれば相当に涼しさを感じられ、冷え性の女性だと「寒いくらい」になってしまう。あくまでも理論上は。

これが1か月で20万点売れるということは、通常タイプの電動ファン付きベストでは「そこまで涼しいとは感じられない」という人が相当数いたということになり、さらなる涼しさを求めていたということがわかる。

電動ファン付きベストはある程度普及したものの、当方のように「無いよりはマシだがそこまで涼しいとは思わない」という人も多数出てきたことに加え、この猛暑で一層の涼しさを求めている人も増えていると考えられるので、このペルチェベストに限らず、今後は「本当の冷却アウター」が各社から開発投入されることになることだろう。

 

 

それにしても、ワークマンはこういう「機能服」を伸ばして、商品デザインなどを工夫して自社の他業態でも売るべきであり、ファッションへシフトしようとするのは中長期的な姿勢でなければ得策ではない。やはり餅は餅屋で、得意分野では一日の長があるのだから、機能服を強化して、そこに商品デザインをブラッシュアップすることで拡販するのが最も得策ではないだろうか。あえてノウハウの無いファッションに挑戦するのは、徒労に終わるどころか、短期的な視点しか持てないのであれば、却って企業業績を損ないかねないだろう。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2024/08/02(金) 11:21 AM

    メルチェ素子使った冷却服なんてのも出てるんすね。
    でも、チラッと見たところ、背中にペルチェ素子貼ってあるだけのようだから、その部分が冷えるだけで常に身体に密着できるわけでもなさそうだし、あんまり効果でないんじゃないんですかね?でも、売れてるなら効果あるのかな?
    あと、逆側は排熱しないとダメなはずなので、屋内で使うと電池の加熱と合わせて室温は若干は上がりそうな気がw

  • とおりすがりのオッサン より: 2024/08/02(金) 11:35 AM

    連投すんませんが、ITメディアに載ってるワークマン公式のサーモグラフィー画像は嘘っぽいすね。あの画像は、背中側から撮影してるように見えますが、本当に作動してるところなら、外側へは排熱してるからペルチェ素子部分は赤くなるはず。着ている内側を撮影したなら青くなってるはずですがインチキイメージっぽいすw
    ま、ペルチェ素子は電流逆に流せば熱い面と冷たい面が逆転するので、公式画像のように出来ないことはないし、ちょっとググったら他社で保冷保温両方できるベストとかも売ってますね。レビューしてるサイトみたら、結構効果はあるみたいでした。

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